立ち呑み日記・チョコ高騰 [おやつ]

「あとたった4年しか食べられない・・」
と、去年あたりから、おやつのチョコ菓子をボリボリやりつつ悲嘆にくれる13歳のムスメ。

いわく、2020年にチョコレートが全世界から姿を消し、金塊より値が張るぜいたく品になる、のだそうな。

そんなガセネタをまた、
と、検索してみたら、ありゃマ、あながちウソとも言い切れない。

アメリカの大手チョコレート会社二社が出した報告書で、地球温暖化などの影響と、インドや中国などでも消費量が増えているところから需要と供給のバランスが崩れ、2020年にはカカオ100トンが不足、その10年後の2030年には200トンもが不足になるそう。

近い将来、チョコはココアパウダーが入らないのを誤魔化すためもっと甘くなるであろう、と、製菓業界紙も予言しています。

そこまでしてウソんこのチョコなんか食べたくないなあ、
と、チョコと縁の薄いワタシなど思いますが、愛好家にとっては最重要課題でありましょう。

ワタシの身近にも何人かいますが、その偏愛ぶりといったらないです。一人など、板チョコを日中に一枚、寝るときにベッドで一枚、食べる。

「わしもじゃよ」
と、この人の父君も平然と言っていたものです。この方はベッド板チョコの習慣を終生続け、百歳の天寿をまっとうしました。

ひとくちにチョコと言いますけど、各国によってこれほど味の異なるお菓子も他にないんじゃないでしょうか。

そして他国のチョコはまずく感じる。

日本に住んでいた間は気付きませんでしたが、日本のチョコって甘さ控えめで優しい味です。フランスのはもっとうんと濃く、ブラックが勝った鋭角的な味です。

これがお隣りのスイスとなると、がぜんまろやかなミルクチョコが主流になります。ベルギーもまたチョコ大国ですが、フランスともスイスとも違った味。

「で、どんな味なの? ハッキリと!」
と、斬りこまれると困るんですが、フランスチョコの鋭角からカドをとった味、の、ような気が、しないでもないです。

先日たまたまスペインのチョコを食べる機会があったんですが、フランスチョコに慣れた身からすると実に意外な風味でしたヨ。甘さ控えめで、舌ざわりがどことなくザラっとしている。

これホントにチョコなの?
と、銀紙の表示をひっくり返しちゃったほどでした。

チョコを南米から欧州へもたらしたのは大航海時代のスペインですから、これこそが本来のチョコの風味、なの、かも。しれません。

大別すると、チョコにキレを求める国とまったりを求める国がある、ような、気が、しないでもないです。フランスやスペインは、キレ。

「ハーシー」のアメリカは、これはもうまったり以外の何物でもない、いかにもアメリカ風の独特の風味がしますよネ。

して本場、南米はどうなのか。聞くところによると、メキシコほどチョコの種類が豊富でおいしいところは他にないそうです。

ヘーエ食べてみたいなあ、と、思わないこともないですが、ワタシなどチョコはつまむより、赤ワインと胡椒で煮詰めて鹿や猪肉などのソースにしたもののほうが格段に好きです。


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 木の上部の剪定ってこうやってるんですネ。下の車も上方の座席から動かし少しずつ移動しています。

前菜は、カレーサモサ、トマトサラダ
主菜は、牛挽き肉ステーキ、レンズマメ煮込み、いんげん塩茹で


立ち呑み日記・カスバの女 [宿題]

11歳のムスコが地理の宿題をやっている・・

・・と、いいますか、宿題があるというので教科書を形式的に開いてハナほじっている。「都市の暮らし」という単元で、欧州、アメリカ、北アフリカの都市のあり方を比較してまとめるもよう。

教科書をのぞきこんでみると、なかなか興味深いです。

たとえば、欧州の都市はギリシャ・ローマ時代の「まち」を基盤に発展し、中世に教会を中心に栄えたところが現在の旧市街となり、そこから外へ外へと広がった。

パリなんかその典型です。

住まいの価格はパリ市内は割高で、隣接する市に戸建て住宅が広がり、さらに高速道路や郊外電車でもっと行った先に天を突く公団団地が密集する。

シカゴなんかはこうじゃないんですってネ。

シカゴはボーイング社、マクドナルド社など名だたる大企業の本社があるアメリカ屈指のビジネスの街なれど、シカゴっ子は市内には住みたがらないのだそうです。

市内にはゲットーと呼ばれる貧民窟があるのみで、お金に余裕の出来た人はこぞって郊外の庭付き一軒家をもとめる。

シカゴ市内の住民と郊外の住民とでは収入が倍近くも違うものだそうです。

教科書にはシカゴ郊外の街のようすが掲載されていますが、碁盤の目のように整然とした車道に沿って、前庭と長方形の戸建てと緑の庭がきっちり並んでいる。

「ET」などアメリカ映画でよく見かける街並みです。

パリはお金に余裕の出来た人は郊外ではなく、東京の成城や田園調布にあたる市内の16区や8区のアパルトマンをもとめるところです。

北アフリカからは、アルジェリアの首都アルジェが紹介されています。

アルジェリアは19世紀から1962年までフランスの植民地で、このとき建築されたフランス様式の高層建築が今日の経済街の主要をなしている、と、なにしろフランスの教科書ですから、やや鼻ピクピクなのはまぬがれません。

「フランス統治以前からある旧市街カスバには鄙びた小さな家ばかりが並ぶ」
と、繁栄は自分らがもたらしたと言わんばかり。

アルジェリアは先年悲惨なテロもありましたが、素敵なところなんですってネ、パリの地下鉄構内の大型ポスターでもよく見かけます。

旧市街カスバはユネスコ世界遺産だそうです。

♪ここは地の果てアルジェリア・・
と、やはり口ずさまずにはいられません。

「カスバの女」は戦前の映画「望郷」に想起した歌謡曲で、懐メロ特集というと耳にしますが、それにしても「地の果て」とは、日本在のアルジェリア人から苦情が出ないものなんでしょうか。

日本からの空路直行便はなく、また、この曲が発表された1955年といったら海外旅行など夢また夢でしたから、「地の果て」はしっくり来たのでありましょうが。

フランスからアルジェリアは、地の果てどころか飛行機でたった2時間、人気のバカンス地です。

いいナ。行ってみたいナ・・

・・とまあムスコがペンもにぎらずボケーとしているのをいいことにオカーサン(ワタシです)がつい没頭しちゃいましたが、これではいっこうに宿題がはかどりませんから教科書をムスコに返し、
「集中してやりなさい」
と、鹿爪らしくやりました。


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この日曜日、クラシックカーのイベントがあったようで、たくさん見かけました。乗っている人も1950年代などその時代にあった服装をしていて、いやはやコレクターの凝り性とはスゴイものですネ。

前菜は、温製ニンジン千切りサラダ
主菜は、七面鳥ささ身のムニエル、ベシャメルソース、カリフラワー、蒸しじゃがいも

立ち呑み日記・ガレットデロワ [デザート]

ただ今フランスのパン屋はガレット・デ・ロワ(「王様のガレット」)一色です。

一昨年くらいから日本でも売られるようになったようですが、ガレット・デ・ロワというのはアーモンドのあんを焼きこんだパイで、中にフェーヴという陶器の小さな人形がしのばせてあります。

日本はおそらく食品衛生法の都合上、しのばせてあるのはアーモンドで、フェーヴは別添えでありましょう。

これをみごと引き当てると「王(女王)様」ということになる、たのしい行事です。

そもそも1月6日の「公現節」というキリスト教の行事食で、東のほうから占星術師の三博士(王様)が贈り物携え生まれて間もないイエスを訪ねてきたのをあらわしたもの。

フランスでは14世紀からもうガレット・デ・ロワが食べられていたそうな。

その当時からつい先ごろの1980年代初頭まで、フェーヴ(「そら豆」)といったらその名通り乾燥そら豆が入っていたそうで、思い返せば1990年代でも、時に模様も何もないただのコイン状のものが無味乾燥に入っていたものです。

今やそんな簡素なフェーブなどあり得ないことでしょう。

だって、フェーヴは食玩と同様、
(どんなの入ってるのかナ、シリーズならそろえたいナ)
という期待感が購買力を高めるわけですからね。

店によっては「今年のシリーズ」が店頭にずらっと陳列してあります。あれを目の当たりにしちゃうといやがおうでも鼻息荒くなりますね。

しかしながら、ワタシはモノ申したい。

名店のガレット・デ・ロワはなぜ、なぜッ、平面的でおもしろみのないフェーヴばっかり入ってるのか(ドンッ、と机をたたく)。

具体的な店名は伏せますけど、アノ名店も、コノ名店も、そうなんです。

平面的なのはおそらく、裏面に店名を刻むのにつごうがいいから。名店は、かっぱ橋みたいな問屋お仕着せでなく、自社謹製フェーヴというわけです。

うちの近所の、名店に数えてもいいパン屋のガレット・デ・ロワは、とおってもおいしいです。パイ皮パリパリで歯にさっくり当たり、中のアーモンドのあんが上品な甘さ。

これを食べている一片から、立体に趣向を凝らしたミニチュアオブジェが出てきたら
(さぞいいだろうになあ・・)
と、思うんですが、ここ数年、小さなタイルに絵が描かれたものばかりなんです。

趣向はその絵にちゃんと凝らしてあるんですが、でももう少し、複雑な立体であって欲しいわけですヨ。陶器の人物や動物や、あるいは有名建築物だったり、ケーキやフルーツだったり。

そこで界隈をさまよい、まずいと分かっている店のガレット・デ・ロワにも手を出すわけです。こういう店こそ、フェーブは期待できますからね。

業者から少量ずつ仕入れる都合上、ひとつとして同じでないフェーヴが入っている可能性大です。

「ヘーエよくできてる」
と、みごと引き当てたフェーヴをみんなでのぞきこむ楽しさ、コレクションに加えるうれしさ。

ただ、少人数で切り分け割に早めに引き当てちゃった場合、その後誰も手をつけようとせず、いつまでも、いつまでも残る、というモンダイを孕むことにはなります。


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オ、ミモザだ、南フランスの花です。これから2月にかけて寒いですが、春へ向かっていくんだなあ・・と、うれしくなります。

前菜は、野菜ポタージュ
主菜は、鶏ローストの残り、カレーとねじりマカロニ、インゲン塩茹で

立ち呑み日記・パスポート更新 [困った!]

11歳のムスコのパスポートの更新に在パリ日本大使館へ行きました。

有効期限は、数日後に迫った今月18日。実はこのことに気づいたのが、先月下旬、一時帰国で日本に発つ前夜のことでした。

天を仰ぐとはこのこと。

日本へ入国できたとて、フランスに戻る時、
「有効期限が短すぎてまかりならぬ」
と、羽田のカウンターでつっぱねられたらどうしよう・・

4日月曜から新学期が始まる都合上、どうあっても滞在は伸ばせません。

「成田まで来て家族海外旅行がドタキャンになりました(泣)」
という投稿を、フェイスブックで見つけた矢先のことなんです。

この方は学期休みにベトナム旅行を家族一同前々からたのしみにしていた。小学生二人の子どもたちは人生お初の飛行機で、前夜は興奮のるつぼだったそう。

ところがなんということ、大荷物たずさえ空港のチェックインカウンターでEチケットと家族四人のパスポートを差し出したところで、
「お客様・・」
と、実に心苦しそうな声で渡航できない旨伝えられたといいます。

なぜというに、ベトナム入国にはパスポートの有効期限が六か月残っていなければならないのに、下のボクちゃんのパスポートのみ、ついうっかり五か月分しかなかった。

年末年始の観光旅行のわけだし五か月もあったら十分じゃないの、と、頭をかすめぬわけにはいきませんが、決まりは決まりです。

同じことが、うちら家族にふりかかって来てもおかしくない状態です。だからといって一時帰国をとりやめるわけにはいかない。

日本滞在中にパスポート更新を考えてはみましたが、申込みから丸一週間かかるところ、週末と天皇誕生日と官庁の年末休業をかんがみると、無理。

ただ、どの国も入国に際しパスポートの有効期限を条件にしているわけではなさそうで、フランス大使館のHPを開いてみたんですが、明文化はなし。

と、いうことはダイジョブ?・・

・・と、心千々に乱れながら、楽しかった滞在を終え羽田のチェックインコーナーでおののきつつ、家族全員のパスポートを差し出します。

今は、カウンターでなく各自がATMみたいな機械にパスポートをかざしてチェックインするんですが、ムスコのパスポートだけ、ピーピーいうばかりで通らず、
「おかしいですね、やはりカウンターへどうぞ」

お代官様に直訴する水呑み百姓よろしく、
「どうか飛行機に乗せてくださいッ」
と、かきくどく心づもりでしたが、カウンターではこれといってやり玉にもあげられず、にこやかに発券してくださいました。

うちの子どもらは父親がフランス人なのでフランス国籍もあり、フランスの入国審査では念のためフランスのパスポートも共に持たせました。すると、フランスのパスポートがあれば日本の方は開きもしませんでした。

やれやれ。これにて一件落着。

とはいえこのままパスポートを引き出しにしまっちゃうと更新を忘れそうです。そこで机の上に出しておいて時差ぼけの目で日々にらみ、時間みつけて本日出頭。

前回の5年前はオカーサン(ワタシです)が本人に代わり署名しましたが、今回はムスコ自らミミズののたくり字でやりました。


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バス停でパチリ。写真中央の木立はクリスマス飾りです。


前菜は、オイルサーディンとトマトのサラダ
主菜は、七面鳥ささ身のムニエル、ファルファーレ(りぼん型パスタ)のトマトソース、いんげん塩茹で、グリーンサラダ

立ち呑み日記・ワカモーレ [食前酒]

ワカモーレが
「食べたい、食べたい、食べたい」
と、13歳のムスメ。

ワカモーレはメキシコが本場のアボカドのペーストですが、フランスでもスーパーの冷蔵コーナーに必ずあるほど一般的です。

「誰だってこれ観たら食べたくなるって」
と、ムスメはiPADの画面をこちらの鼻先へつきつけます。

どういういきさつで見つけたのか、≪ワカモーレの作り方≫というスペイン語の映像で、色つき粘土とレゴを使った3Dアニメが始まりました。

緑色の粘土のアボカドにアニメの包丁がしゃっしゃっと入ってパカンと割れたところへ、これもアニメのスプーンで、びるるん、びるるん、と、すくいだし、石の器に入れていきます。

するとアボカドはぱらっとした緑色のレゴにかわり、同様に赤い粘土のトマトへしゃしゃしゃしゃっと細かく包丁が入るや石の器の緑のレゴに混じり赤く細かいレゴが散る。

みじんの白い玉ネギや深緑色の香草、黒い点々の胡椒(の、レゴ)なんかも入ります。

それを、にぎりこぶしぐらいの石が、ごり、ごり、ごり、と、押しつぶしていきます・・

・・レゴは渾然一体となって薄緑色の粘土へとまたかわり、ハイ出来上がり。

しゃっしゃっ、パカン、びるるん、びるるん、しゃしゃしゃしゃっ、ごり、ごり、ごり・・・という音とレゴが想像力をかきたて、ムスメの言うように実物の食べ物でないのに喉が鳴りました。

矢も盾もたまらず、作ることにします。念のためクックパッドでもレシピを確認。

ワカモーレといえば語学学校時代、クラスメートの誰かしらのアパートでの持ち寄りパーティーというと、お決まりのようにボールでドンと出ていたものです。

トルティーヤという、とんがりコーンみたいなスナック菓子ですくって食べるのが本流ですが、大袋をあけても若い胃袋にはまるで足りず、持ち寄りのスティック野菜やポテトチップや薄切りバゲットまで総動員して口に運びました。

ワタシもまた狭い下宿部屋でパーティーを主催した時は見よう見まねで作りましたヨ。アボガドの種を上にごろごろ乗せておくと変色しない、なんて裏ワザも、この時知りました。

が、あれから早や30年(!)、レシピは忘却の彼方。考えてみれば、食前酒のおつまみに最適なのになぜ今まで作ろうとしなかったんだか。

レシピを検索して知りましたが、本場メキシコではすべての料理の味つけのベースにするためよけいな辛味は加えないのだそうです。

アボガド、細かく刻んだトマト、玉ねぎ、コリアンダー、ライム、以上を、本場メキシコでは先の3Dアニメのように石の器でにぎりこぶし大の石を用いてごりごり混ぜる。完全なピューレではなく、ある程度形を残しておくのが「本場流」だそう。

うちに石の器はないのでカフェオレボールでやりました。つぶすのは、フォークとスプーンです。

ライムを絞り入れるとグッとエキゾチックな「本場」の風味になりました。が、11歳のムスコなどそのせいで一気に敬遠。初心者はレモンのほうが穏やかでいいかもしれません。

トルティージャの大袋も買ってみましたが、それよりセロリですくって食べると軽やかで、食前酒が大いにすすんじゃいました。


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ホームに入って来た地下鉄を撮ろうとオタオタするうちに行っちゃいました。仕方なく対面のホームをパチリ。

前菜は、アボカド、レモンで
主菜は、牛(フォーフィレ)ステーキ、じゃがいもピューレ、モロッコいんげん塩茹で

立ち呑み日記・江戸小路 [追究]

今回の一時帰省は羽田発着だったんですが、羽田国際空港には江戸の町を模した一角があり、にぎやかなイベントが催されていました。

江戸の街からタイムスリップしてきたような扮装の方々が、時代劇の一シーンのごとく闊歩しているんですね。お侍さんあり、町人のお兄(あに)いさんあり、女野菜売りあり、お奉行様までも街に繰り出している。

これから飛行機で本国へ戻る外国人観光客たちがこぞってカメラ向けてましたヨ。お江戸の善男善女とともにフレームにおさまっている方もたくさん見かけました。

と、そこへにぎにぎしくやって来た、花魁道中・・

・・ウーム、と、見送りながらつい腕組んじゃいましたヨ。

けばけばしいお召し物といい、四方八方から頭にささった鼈甲(べっこう)色の簪(かんざし)といい、確かに大いなる華をもたらしますが、もうちょっとこう違った人選で、江戸のきらびやかな女性を登場させられないものなんでしょうかネ。

だって花魁といったら教養があり自らお客を選び、財力に長じた大人物のみ、それも何度も足を運んだ挙句でないと親密な関係になれない、と、喧伝されますけど、そういう側面は、マ、きれいごとで、その実像は金銭で身を売るセックス産業の犠牲者ですゾ。

極貧家庭から身売りされて借金に縛られ、お大尽から身請けされる以外に自由などこれっぽっちもなく、多くの末路は梅毒に苦しむ。

そういう、衣装だけ見たら華やぎながら悲しい宿命の女性をですね、外国人旅行者も多いところでお江戸の素敵な存在のごとく登場させるのはいかがなものか、ト、かように思うわけでございます。

他に華やぎの代打はないんでしょうか。

大店や上級武士のお嬢様なんてどうでしょう。

当時はこういうやんごとなき姫たちも海辺へ潮干狩りに繰り出したそうで、男たちはおみおつけの実にする貝を熱心に獲るというより、美女ウォッチングに精を出したものなんだそうです。

こういう深窓の令嬢は独りでは出歩かず、必ず複数のお供がつきますから、潮干狩り道中はなかなか壮観になります。

ただ、こういうお嬢様がたは自活しているわけではないんですね、女性が職業をもって当たり前の今日、海外からの賛同を得られるでしょうか。

花魁はそこいくと完全なる自活労働者です。

(大奥)
と、わが貧弱なる頭脳に天啓が走りましたね。

大奥こそ当時最高の女性キャリア集団、しかも華があること間違いなし。

御年寄(おとしより)、というのが最高身分で町屋敷を与えられることもあったといいますから、大奥連中(れんじゅう)が市中に繰り出してもおかしいことはありません。

中臈(ちゅうろう)が将軍とその正妻のお世話係で、ここから将軍の側室が選ばれるところから容姿端麗な女性ばかりだったといいます。

その下の御小姓(おこしょう)が将軍の正妻の小間使いで7歳から16歳ぐらいの少女が多かったそうで、大奥はさながらAKB48グループのごとく後続もまた控えているわけです。

どうです、むしろ花魁道中より華やぐくらい。

羽田国際空港関係者は、ぜひともご一考いただきたく、お願いしたい次第でございます。


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今が一番太陽のない季節。これで夕方6時です。朝も8時半近くまで真っ暗です。

前菜は、ニンジン千切りサラダ
主菜は、牛(フォーフィレ)ステーキ、にんにく風味じゃがいもピューレ、いんげん塩茹で

立ち呑み日記・パリの我が家へ [おでかけ]

「ひどい天気だねえ」
と、ド・ゴール空港からパリへ向かうタクシーで、、運転手さん。

11時間半のフライトの果て、フランスの現在時間19時は昨日までの午前3時で、目がシバシバすることこの上なし、とっぷり暮れた窓へ目を凝らしに凝らすと、外はしとしと雨のもよう。

パリの年末年始は春のような毎日だったのが、いきなり気温が下降し陰気な雨となったそうです。

東京地方も例年になく暖かでした。

「日本は大気汚染がひどいってホント?」
と、運転手さんに聞かれたんですが、どうなんでしょうか。

東京とパリはどっこいどっこいのような気もしますが、福島原発も収束からほど遠いと聞き及びますし、日本の空気は世界的に評判悪いんでしょうか。

「だってホラ、首都に茶色い濃霧が発生して鼻先が見えないって言うじゃない」

・・・それ、北京のことじゃないかしら。

「ありゃ、ペキンは日本じゃなかった?」

運転手さんは、北アフリカはモロッコの出身だそうで、ワタシらにしてみればモロッコとチュニジアとアルジェリアの違いは分かりづらいですもんネ。

パリで、アニメをはじめとする日本文化大好き!  という、おもに若者に出会うことがよくありますが、かならずしも市民の全員が全員日本通というわけでもないんですね。

ニッポンではチョンマゲで帯刀している、とは、さすがに思わないでしょうが、アジア諸国の区別はあいまいです。

「日本でネム食べて来た?」

ネムはベトナムの揚げ春巻き。フランスは歴史的にベトナムと関係が深く、ことに1970年代にベトナム難民を多く受け入れ、彼らが生活の糧にベトナム料理店を営んだところからこの一品料理が浸透することとなり、今では学校給食にのぼるまでになっています。

東京にも今や200軒あまりのオッシャレなベトナム料理店があるそうですが、いまだ行く機会に恵まれません。

「日本は、ネムでなく、スシ」

スシSushi、とこう言いながら、緑のアボカドと黄色いタクアンが芯のフトマキを思い浮かべられても
(違うんだけどなあ)
と、思いましたけど、本場もののお寿司はどうあっても想像つきますまい。

パリの街角を見渡せばここにもあっちにもあったベトナム料理店は1990年代後半ごろに姿を消し、テイクアウト中華へとって代わりましたが、こういう店にはスシもネムも置いているんです。

「運転手さん、パリでモロッコ料理のおいしい店ご存知?」
と、今度はこちらから訊ねてみました。

「妻」
と、ひと言。「外へ食べに行く気は起きないね」

モロッコ、チュニジア、アルジェリアのマグレブ三国のなかでモロッコは料理が格別においしい国とよく耳にしますが、家庭料理もまた抜きんでているのでありましょう。

男は黙って妻が食卓に出した料理を食べる、と、80歳を過ぎたワタシの父など日本の男は家庭料理の味つけには無抵抗のような気がするんですが、マグレブの、ことに古い世代の男は、厨房に立つ家族へ、
「この肉をこうしてああして・・」
と、細かく口出しする、と、聞いたことがあります。

運転手さんチはどう? 
と、聞いてみたかったんですが、ちょうどそこでタクシーは懐かしきわが家の前に着きました。


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また日常に戻ります。
みなさま、あけましておめでとうございます。今年も「立ち呑み日記」をどうぞご贔屓に何卒よろしくおねがいいたします。

前菜は、トマトとゆで卵のサラダ
主菜は、フォーフィレ(牛肉)ステーキ、小粒じゃがいものニンニクソテー、いんげん塩茹で


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