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立ち呑み日記・ご朱印帳 [おでかけ]

ご朱印集め
という、趣味といいますか信仰詣で、みなさまご存知ですか?

江戸時代から盛んだったようですが、21世紀、ことに2010年から先大流行中なんだそうです。パワースポットの脚光とあいまったもよう。

大きな文房具屋にはご朱印帳コーナーがちゃんとあるほどで、これを一冊買い求め、神社仏閣をめぐっては社務所で300円ほどのお布施をわたし、墨も鮮やかな達筆で有り難きお言葉を拝受する。

「大人のスタンプラリーって感じかな」
とは、ご朱印帳がもう四冊にもなったという幼なじみ。

ただしスタンプラリーと異なるのは、ご朱印は仏様や神様のお姿そのものとおぼしめし、ありがたきものの集合体であるご朱印帳をあだやおろそかに扱うべきでなく、ふだんは神棚ないし仏壇、あるいはそれらに匹敵する清浄なる場所におさめておくものだそうです。

幼なじみは転勤族の夫ぎみと北海道から九州まで数年ごとに引っ越し、その間子育てもありながらも、家族も親しい友もいない土地での無聊(ぶりょう)をなぐさむ街歩きに精を出すうちおのずと土地の名刹(めいさつ)に足を運ぶこととなり、その一期一会を手元に残すのに始めたら
「もうハマッちゃって」

この夏ワタシが一時帰国した折に、
「ぐちぐちもやってみない?」
と、誘ってくれたので、ホイホイくっついていくことにしました。初心者のワタシは帳面を持たず見学のみです。

行先は浅草で、まずはパワースポットにして縁結びで名高いという今戸神社へ向かいます。

台東区内をめぐるミニバスを降りるなりびっくりしましたが、お若くオッシャレな方々がずいぶんとたくさん、ワタシらオバサン二人連れと同じ方角へ足を向けてるんですね。

お寺まいりといったら年寄りくさい趣味、という思いこみははるか以前のこと、今は、「寺ガール」が席巻する、「エコの」「癒し系」へと変貌しているんです。

今戸神社の境内も、すっかり今風でした。

ヨーロッパの庭園内カフェによくあるような、鉄のテーブルとベンチがあり、「お好きにどうぞ」ということになっている。

ここの絵馬は、角(かど)を立てないというところから丸いんですが、書かれているお願いの胸キュン具合といったらないです。

だれそれくん(さん)が好き♡ 思いが通じますように・・

ワタシらも二礼二拍手一礼でお参りしてから、幼なじみはさっそく社務所に声をかけます。

日陰のベンチでは、文庫本広げてくつろいでいる二十歳前後の青年もいました。

ワタシが二十歳前後だった1980年代の趣味嗜好とは明らかに異なる青春、だなあ・・

あのころは、初詣に仲間たちとブランドものに身をつつみ神社仏閣にくり出したことはあっても、境内でまったり寛ぐなど思いもよりませんでした。

スピリチュアルなパワースポットにわざわざ行かずとも、開園間もない東京ディズニーランドで十二分にパワーを充足できた、とも、言えますが。

幼なじみは墨の香りも清々しいのをおしいただき、次なる神社へまたぞろ循環ミニバスで向かいます。

この日はとても暑く、詣(もう)で終えて入った居酒屋の生ビールがまた大いによろしかったです。


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また逢う時まで、東京。今はパリに戻り、新学期に翻弄されてマス。

前菜は、トマトサラダ
主菜は、鶏ロースト、じゃがいもロースト、いんげん塩茹で、グリーンサラダ


立ち呑み日記・青春の酩酊 [おでかけ]

ディープ・ウォーター・エクスプロージョン
なる学生向け食前酒(?)の存在をロシア人の知り合いにおしえてもらったことを、テラスの日陰でポルトガルの食前酒ヴィーノ・ヴェルデのキリリと冷えたところをゴクリとやりながら思い出しました。

ただ今、親しい三世帯でポルトガル南の小村でプール付き一軒家を借りてのバカンス中。

ポルトガルのヴィーノ・ヴェルデは微発泡白ワインで、アルコール度数が、フランスのシャンパンが13度のところ10度と軽やかで、際限なくイケちゃいます。

庭のプールで、子どもらが盛大な水しぶきあげているのがテラスから紫陽花越しに見えます。

さて、ロシアのディープ・ウォーター・エクスプロージョン。まずショットグラスにウォッカをなみなみ注ぎ、ここへ空のビールジョッキをかぶせエイヤッと一気にさかさまにする。

ビールジョッキの中央に、ウォッカの水槽ができるわけです。そこへしずしずとビールを注ぐ。

ビールに沈むウォッカの水槽をしばし眺めてみたいところなれど立ちのぼる泡で水槽がひっくり返り、すぐさまジョッキをにぎった手首をかるーくまわします。

するとビールの中にウォッカのうずしおがたちのぼり、間、髪入れず、グッとあおる。

「みごと一撃で頭クラクラとなるわけです」
と、ロシア人の知り合いはなにぶんにも理系の研究者なもンですから、しごく冷静に解説してくださいました。

こういうのみ方って、世界中にあるんですってネ。

ロシア人の知り合いは冷戦時代のソ連で青春時代を迎えたわけですが、対するアメリカにも同じく「ボイラー・メーカー」というのがあるそうです。

ビールにバーボンを注いでのむ。ボイラーを焚いたようにカッと身体が熱くなるところからそう呼ばれるのだそうな。

韓国にもまたあり、その名も「爆弾酒(ボクタンジュ)」。

「あーらそんなカクテルでなくてもヴィーノ・ヴェルデで十分ヤバイわヨ」
と、オリーブつまみながら、アナが言い出しました。

アナは、ともにバカンスを過ごしている古い友人フランソワーズの息子のツマで、スペインはアンダルシアっ子です。

ヴィーノ・ヴェルデをワタシは今回初めて知り、口当たりもお財布にも軽いのに大ファンとなりましたが(750ミリリットル1本250円ぐらい)、アンダルシアとポルトガルは近く物価も安いというので、学生時代、仲間たちと旅してはのみ歩いたそうです。

ポルトガルにはいたるところにカフェがあるので、一杯ひっかけまた次へ。

そうしたら何軒めだか十何軒めだか何十軒めだかに、「?」と、自分でもわからないうちにガクっと腰が抜けた。酩酊のせいとは気づかなかったそうです・・

・・マ、ひとはかようなオバカを重ね、いつの日か鹿爪らしい大人になるわけですナ。こういうところ、ロシアもアメリカもフランスもスペインも日本も韓国も違いはないです。

お酒の禁忌なアラブ諸国でさえ、それなりのオバカがあることでしょう。

バッシャーン、と、プールからひときわ大きな水しぶき。目をやれば、満開だった紫陽花が、ここに到着した日と比べてずいぶん色あせているのに気づきました。

バカンスも、終わりが近づきました。


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 電信柱と電線が通っているのが日本をほうふつとさせるのかなあ・・と、パチリ。フランスは地下ケーブルなので空に向かったこの線は、無いんです。

前菜は、カワをむいた輪切りキュウリのディルとヨーグルト和え、赤ピーマンのマリネ
主菜は、まぐろさしみ、千切りキャベツ、白飯


立ち呑み日記・追いオリーブ [おでかけ]

ただ今ポルトガルにおりましてスペイン時間でバカンス暮らしの真っ最中ですが(前回の立ち呑み日記をご高覧くださいませ)、一同の中のスペイン勢の、オリーブオイルの使いっぷりといったらないです。

何にでもじゃぶじゃぶやる(じゃぶじゃぶ、ですゾ)。

いつだったか、速水もこみちの「追いオリーブ」がインターネットの俎上に上りましたが、あれッぱかりのたらたらなど子供だましみたいなもンです。

なにしろ初日に買った6リットル入りの「樽」が2週間持ちませんでしたからね。

まずは朝ごはん。

ポルトガルのこのあたりのパンは、外側が分厚くずんぐりした田舎風パンです。ガチガチの外側へ苦心してパン切りナイフを入れ薄切りにすると、これをトースターで焼く。

キツネ色に熱いところを賞味するというより、冷め加減にして表面をガサガサに保ちます。このガサガサをおろし金にして、ニンニクをみっしりなすりつける。


そこへ上からオリーブオイルを蛇行させながらビャーっ。それはもう遠慮仮借ないビャーっ、です。

しかるのちにトマトをうすーくうすーく切って載せ、塩パラパラ(好みで胡椒ガリガリ)、で、かぶりつくわけです。しかも一枚といわず何枚も何枚も。

やってみるとやめられない止まらない、やみつきになっちゃいました。

オリーブオイルとニンニクのあいまったところへトマトの清々しさが加わった風味が、見上げるとくっきりした青空とぴったりの相性。

フランスで、去年までも同じメンバーでバカンスをともにしてきましたが、誰ひとりこの食べ方してませんでした。

「そりゃそうよ」
と、スペイン勢を代表して、フランソワーズの息子のツマでアンダルシアっ子のアナ。
「フランス行ったらバターたっぷりぬったパンとクロワッサン食べなきゃ」

本国ポルトガル人は朝何食べてるのか。

調べたところによると、寝起きはこれといって食べずお腹の空いてくる10時ごろカフェでコーヒーと小さなサンドイッチなど軽食を食べるのが一般的だそうです。カフェは、ワタシらが滞在している小村にも5、6軒はあります。

さてオリーブオイル、焼き魚にも肉にも、お皿にとった白飯なんかにも、どんどこかけまわしちゃう。

フランスにはオリーブ油のほかに落花生油、ヒマワリ油などもよく使われますが、こちらのスーパーを覗くとオリーブ油優勢のようでした(あるいはワタシらが見つけられなかっただけかも)。

オリーブオイルは、一番搾り、搾ったのを精製したもの、その混合など種類がいろいろで、ワタシが一番安いのを右から左へカゴにとろうとしたら、
「これは混合だから風味が大人し過ぎるワ」
と、スペイン語と似ているポルトガル語のラベルを読み上げながらアナに注意されました。

一番搾りが最上等というわけでもなく、あくまで好みの問題だそうです。

ポルトガル人はオリーブオイルでどんな料理をするんだか。せっかく本国にいるのに不明のまま、西・仏・日の混合料理を毎日賞味しております。

おしょうゆは、卓上サイズのものがスーパーに普通に並んでいます。


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大西洋の水は冷たいです。

前菜は、ガスパッチョ
主菜は、チョリソとレンズマメの煮込み、グリーンサラダ

立ち呑み日記・スペイン時間 [おでかけ]

1日って朝・昼・晩という分け方だけではないのだなあ・・
と、ヒルネから目覚めた18時過ぎ、アクビしながらつくづく思いましたね。

ただ今、ポルトガルの首都リスボンから南に200キロほど離れた大西洋寄りの小村に、三所帯で一軒家を借り受けてバカンスにいそしんでいる真っ最中です。

構成員は、古い友人のフランソワーズとその連れ合い、スペインから合流したフランソワーズの息子一家、それにうちら家族。

ポルトガルなのに、スペイン時間で生活しております。

朝は9時過ぎにゆっくり起きる(ここはまあ万国共通の休日モード)。昼食が一日の正餐で、14時半ごろから。たっぷり食べ、のみ、そしてヒルネです。

ヒルネ(シエスタ)は、スペインでは気温が50度までも上昇する夏など不可欠で、
「一日に夜が二回あると思って」
とは、フランソワーズの息子オリヴィエのツマでセビリヤっ子のアナ。

ポルトガルの、今われわれのいる村はそこまでの猛暑でなく日中せいぜい30度ですが、ヒルザケはまわりますし、スペインの習慣を踏襲することにしました。

ポルトガルは本来、日本やフランスと同じく昼食は12時から13時ごろ、夜は19時から20時ごろにはじまるもののようですが。

今われわれがいる村は、端から端まで歩いて10分もかからないくらいの小ささで、どことなく昭和30年代までの日本のような趣にあふれているんですヨ。

池波正太郎の随筆に、かつての日本にはひとつの町内に、蕎麦屋があり八百屋や魚屋や金物屋などの商店があって自分の町から一歩も出ることなく生活が営めた、という記述がありましたが、まさにそれ。

鄙びた村に食料品店がありパン屋があり肉屋魚屋八百屋があり、床屋やネイルサロンまでも、ある。

こんな田舎にまあと驚きましたが、中国人経営による安売り雑貨屋まであり、カフェにいたっては数軒もあります。

車の往来がほとんどなく外部から来る人もめったにいそうもないのによく経営が成り立つものだと感心せずにいられません。

角ごとにベンチが置かれ、老人たちがのんびりおしゃべりに興じている。

「ボンディーヤ(こんにちは)」
と、外国人(ワタシです)にも声をかけてくださいます。

ポルトガル人は概して小柄で、老爺の多くは森から切り出したとおぼしき、自分の背丈より高い杖をついているのがゆかしいです。

含羞というのか、ポルトガル人ってつつましやかで、人々が醸す雰囲気が日本人と似てるんですヨ。

「そう、隣国なのにまるで違うの」
とは、セビリヤっ子のアナ。

スペインとポルトガルはソリが合わないというより、隣国を存在しないものとみなすほどお互い無関心なんだそうな。

大航海時代など歴史をともにする双生児、それもお互いソッポを向いた、背中合わせにくっついたシャム双生児、と、譬(たと)えられているそうです。

さて、ポルトガルのスペイン時間で、ヒルネから覚めた18時過ぎ、車で20分ほどの海へ繰り出すことになりました。

大西洋は水が冷たいので泳げず、足をつけるだけ。

西日となる20時ごろまで砂浜でのんびりして、帰ってから晩ごはんは22時過ぎからになります。


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村の魚屋へイワシを買いに行く途中にパチリ。

前菜は、トマトサラダ
主菜は、イワシの網焼き、ニンニク風味モロッコいんげん、白飯(ショーユをかけまわして食べる)

立ち呑み日記・格安便 [おでかけ]

「け、欠航?!」
と、大荷物を引いて汗ふきふきやって来たオルリー空港で、出発便掲示板を見上げ家族一同どよめくまいことか。

ただ今より待ちに待ったバカンスで、ポルトガルへ行くところなんです。

毎年夏は、スペイン国境に近い寒村の、ふるい友人フランソワーズの家に居候を決めこんでいたんですが、相続のあれやこれやで、ついにフランソワーズは先祖代々の家を手放したんですね。

そこで、スペイン在のフランソワーズの息子一家ともども、物価の安いポルトガルに短期貸しの一軒家を見つけて集合することになった次第です。

物件探しと交渉は、仏・西・英語堪能なフランソワーズの息子オリヴィエが請け負ってくれました。寝室が7つだか8つだかある、プール付きの大きな家。が、賃料は三世帯で割れば、ちっとも高くないんですヨ。

飛行機も格安便が見つかりました。

オリヴィエ一家はセヴィリヤから、フランソワーズはともに住む地中海沿岸の彼氏の家から、それぞれ車でやって来ます。

国境を二つ越えて運転して来るフランソワーズたちはまだしも、セヴィリヤからポルトガルは目と鼻の先だそうな。

午前中ゆっくり出発して、子どもが小さいところからひんぱんにトイレ休憩し、夕刻にはリスボンから南に200キロの小村サオ・ルイに到着。

その翌日にわれわれ一家が空路で着き、リスボンの空港までオリヴィエが迎えに来てくれる算段です。

それが、勇躍出発とやってきたパリの空港で、どう目をこすって確認しても、「欠航」の文字。

「どういうことよ」
と、こういう時って腹の底から野太い声が出るもンですナ。

おっとりがたなでインフォメーションに詰め寄ると、
「目の前のこの列に並んでください」

それはもう目に入るだに卒倒しそうになるほどの大行列。漏れ聞こえてきたところによると、リスボン行きと同じくバルセロナ行きも欠航なんだそうな。

「なぜッ」
と、通りがかりの係員にすがれば、
「コンピューターの不手際です」

「明日の仕事のアポどうしてくれるッ」
と、くってかかっている人がたくさんいます。

リスボン行きは各社から何便も出ているものの、格安のこの航空会社はどことも連携していないので、
「明日以降に振り替えとなります」
と、にべもなく答えはひとつ。

弊社としましては誠心誠意、本日の宿とお食事を無料でご用意させていただきます、
と、係員が総出で両手をメガホンにして告げるうちに、大行列に蔓延していたイライラガミガミも静まって行ったようでした。

うちは帰れないこともないものの、往復のタクシー代と、エレベーター無しの最上階まで大荷物を今一度上げないとならないことをかんがみて、無料のご用意にあずかることにしました。

宿は空港近くの感じのいいビジネスホテル、Wifiつなぎ放題で、うちの二匹は現金なまでの小躍りぶり。ただ、お食事は同じ境遇の一同が別室に集められ、学食と見まごう、ややトホホな晩餐でした。

格安便も、一長一短ですネ。

翌日、飛行機はちゃんと安全に運行しましたが、到着の段で、着陸路を使える優先順位が低いらしく、リスボン上空をぐるぐるぐるぐる旋回しました。


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そしてこうなりました。手前右にプールがあります。

前菜は、ガスパッチョ
主菜は、ソーセージの網焼き、じゃがいもピューレ、グリーンサラダ


立ち呑み日記・河べり散歩 [おでかけ]

一点曇りなく晴れあがった連休(フランスもこの週末連休だったんですヨ)の最終日曜の午後も遅く、散歩にでも出ようかとのろのろ立ち上がりました。

久々に夫婦ふたりきりで、といいますか、うちのローティーン二匹は「行かない」ともう即答。せっかくの連休、思うさまパソコンいじっていたい、ト、まあそういうことです。

とりあえずセーヌ河べりにでも出てみますか。

テレンコ歩み出しかかったところで、家財道具を隙間なく積みこんだボックスカーから、ムスメのなかよしサミアちゃんとオカーサンが顔を出しました。

向かいの、官舎に住んでいるサミアちゃん一家は、なんと引っ越しだそうです。

官舎は定年になったら出ないとならないので市営住宅へ何年も前から申し込んでいたところ、この四月末に急に空きが出た。

この官舎にはムスコの大親友マチスくんも住んでいて、ムスメとサミアちゃん、ムスコとマチスくんの四人組でおやつ持って近所の公園に繰り出したもンでした。

マチスくん一家も去年、将来を見越して引っ越しているので、これで小学校時代のご近所四人組はいよいよ解散。

時は過ぎますねえ・・

・・と、ややしんみりしながらテレンコ続けると、割にすぐさま河岸にぶつかります。

セーヌ河岸にはブキニストという屋根付きの箱に並べた古本屋が風物詩なんですが、これを横目に石の階段を河べりまで下りて行きます。

水際すれすれには、座りこんでピクニックしている善男善女がずらり。反対側の芝生の植込みやベンチでもまた善男善女がそれぞれにペットボトルやワインを囲んでいます。

使い捨てコップでなくれっきとしたワイングラスで赤ワインを賞味しているグループがいたのでつい目が釘づけになると、案の定英語の会話が耳に入ってきました。

ホラ、よく英国製でバスケットに納まったピクニック用のガラスや磁器製の本格食器セット、見たことありません?

英国人はせっかくのおいしいものはちゃんとした食器で賞味しないと味気なく感じるものなんだそうです。

フランス人はどちらかというと実(じつ)をとるほうで、ピクニックの食器にはこだわらないように思います。手頃値段のワインを、使い捨てコップで気軽にいく。つまみも、買ったなりからじかにつまむ。

うちらも何か持って来ればよかったナ。

「プロスタグランジン」
と、しかしワタシのオットは理系なものですから河辺のピクニックなどさして目にもとまらず、不意に口を開けばそういうこと言い出すんですね。

テレンコ歩んでいる先に、柳の大木が触手を揺らしている。

柳には鎮痛の働きがあることが太古の昔から知られ、それをヒントに開発されたのがアスピリンで、その鎮痛作用の源がプロスタグランジンなるたんぱく質の分子なんだそうな。

「あらまあそうなの」
と、ツマ(ワタシです)はしみじみ関心深そうに生返事しながら、水面を往来する遊覧船に手をふります。

柳の木の向こうでは社交ダンス愛好家たちがアルゼンチンタンゴに興じていたので、踊りに不調法なワタシら夫婦はその背後にベンチを見つけ、傾きかけた日を浴びながらしばし眺めることにしました。


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ダンス愛好家たちを避け、のーんびりしたところをパチリ。

前菜は、鶏出汁の野菜ポタージュ
主菜は、ベシャメルソースをかけた鶏ロースト(の残り)・じゃがいもロースト(の残り)・カリフラワー

立ち呑み日記・エプコット [おでかけ]

今回のフロリダ・テーマパーク旅行で(前回・前々回の立ち呑み日記をご高覧ください)、我が子ながらフランス人とともにする旅なのだなあ・・と、思わずにいられませんでしたね。

大枚はたいて国際線で行ったんだし遊園地の乗り放題パスは最大限活用してくれなきゃ、と、右へ左へ連れ出そうとする日本人オカーサン(ワタシです)に反して、
「バカンスなんだから好きにのんびりして当然でしょ」
と、てーんでガツガツしないうちの二匹。

ユニヴァーサルスタジオの三日券の切れた最後の一日、ディズニーワールドのなかの「エプコット」という、科学と各国博覧会風テーマパークに行ってみることにしました。

ディズニーワールドというのはいくつもの遊園地の集合体で、その全部を合わせると山手線の内側の1.5倍もあるそうなんです。

多くの人が泊りがけで来ていて、二日券や三日券であれこれ行っているようでした。

「ホンッとにここだけの券でいいのね」
と、入場券売り場の方に念をおされたくらいでした。

一日券は、割高になっちゃうんです。

エプコットEPCOTは、Experimental Prototype Community of Tomorrow(実験未来都市)の頭文字をつなげたもので、常設の万博みたいなテーマパーク。

前半に科学をテーマにした乗り物が集まり、後半には、英国、フランス、カナダ、日本、建国時代のアメリカ、ノルウェー、中国、ドイツなどのパビリオンか集まっています。

この、各国のパビリオンがおもしろかったんですヨ、ご当地風建物が並び、その国を本当に歩いている感じ。

日本エリアに、五重塔や正倉院や姫路城が本格的に再現されています。館内には三越が入り、原宿などによく
ある外国人向けみやげもの店になっているんですが、大盛況でしたヨ。

階上はカツカレーやラーメンなどもあるレストラン。

「あっちにフランスコーナーがある」
と、フランス人2匹(うちの2匹です)は目もくれず突進していきます。

2匹は、パリのうちの近所にあるようなカフェレストランに、それはもう磁石でぐいッぐいひきつけられるばかりでした。

たまさかに家族で外食となると2匹は、ピザ、スパゲッティー、マクドナルドを盛んに主張し、間違ってもフレンチレストランなど行きたがりません。なぜというに、肉や野菜ののったお皿となれば家の晩ごはんとそんなにはかわらず、外食の「感じ」がでない。

それがまあ目の色かえて、牛肉の赤ワイン煮だのサーモンのクリームソースだのを自ら注文するんです。

「食後のチーズも食べるよ」
と、11歳のムスコなど言い出す始末。

カフェレストランの中は、フロアの人たちも全面的にフランス人で、食事がすんだらこのまま徒歩で自宅アパートに帰れそうな気さえしてきました。

2匹はこれで大いに里心つき、
「もうアメリカは十分、家に帰りたい」

各国のパビリオンでは、ドイツコーナーのソーセージと生ビール各種など、各国のつまみとお酒がたのしめ、各館めぐっていろいろ賞味したら
(さぞいいだろうなあ・・)
と、ワタシなど大いに後ろ髪ひかれながら、午後も遅くならないうちにホテルへ戻ることとなりました。


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ホテルはユニヴァーサルスタジオリゾートの中にとりましたが、60年代がコンセプトでなかなかよろしい雰囲気でした。

前菜は、なし(パリにもう戻って来ているんですがアメリカで食べたものを書きます)
主菜は、シェラスコ(ブラジル風焼き牛肉のそぎ身)、フライドポテト

立ち呑み日記・いざ遊園地 [おでかけ]

復活祭の学期休みで、アメリカはフロリダのユニヴァーサルスタジオリゾートに泊りがけで遊びに来ているところなんですが(昨日の立ち呑み日記をご高覧ください)、早朝のホテルって、実に活気がありますネ。

(いざ遊園地へ出陣するぞ)
という気勢にあふれている。

(だからしっかり腹ごしらえしなきゃ)
といわんばかりに、レストランコーナーではみなさんおテンコ盛りのお皿に向かっている。

ここのレストランコーナーはカフェテリア方式で、朝は、パンケーキ、フレンチトースト、ワッフル、クロワッサンサンドなどをメインに、ポークソーセージ、ベーコン、スクランブルエッグ、さいの目ポテトフライ(モーニングポテト、と書かれてました)などをずっしり添えたひと皿が中心です。

これぞアメリケ~ンブレックファスト。

ワタシら親子もパンケーキ(一人あて4枚)と持ち重みするつけ合わせにのぞみます。パンケーキにはメープルシロップをこれでもかーッというほどかけまわしました。

さて、オナカイッパイのイッパイになったところで無料送迎バスで遊園地へ向かいますが、早朝から腕まくりして息ごんでいるのは、
「初心者である」
ということが、割に早く明らかになりました。

ワタシら親子もまたそうでしたが、遊園地三日券を買って来ている都合上、
「なにも一日に全部詰めこまなくても」
という気持ちに割りとすぐなり、のんびりムードへと移行する。

とはいえ待望のハリー・ポッターエリアに限ってはエクスプレスパスという有料の優先券もなく、行列しないことには乗りたいものにも乗れません。

ハリーポッターの町では、魔法の杖専門店で、映画の中でハリーが初めて自分の杖を選ぶシーンと同じシーンがお客の中から一人指名され再現されるんですが、魔法学校の生徒の扮装をしたうちのムスメが長年の念願かなってみごと選ばれ、オカーサン(ワタシです)としても肩の荷をひとつおろした気分になりました。

ここの杖は特別製で、ハリーポッターエリアに点在する印のところで示された通りに杖をふると杖先のセンサーが反応して、じゃなかった、本当の魔法がつかえ、ショーウインドーの人形が動き出したり、井戸から水がピュッととび出たり、します。

ホグワーツーツ魔法学校行き列車がまたおもしろかったです。

ロンドンのキングスクロス駅から乗るんですが、前方に並ぶ人たちが、壁に次々と吸い込まれて消えるのが見てとれます。

ワタシら親子もまた後方の人たちから見れば不意に壁に吸い込まれ、プラットフォーム93/4番線へ。列車の窓は画面になっていて、映画で見たような光景が映し出され、行きと帰りでは風景が異なりました。

ハリーポッターを堪能し、他のエリアで乗り物にほんのひとつかふたつ乗ったところで(ワタシは棄権)、
「暑い、もうホテルに戻りたい」

3日もいるんだし、とのことで、そりゃマそうだワと、はやばやとホテルのプールサイドでのんびりすることになりました。

無料バスがホテルに着くと、朝からのーんびりして午後も遅くなってから遊園地に繰り出そうという家族連れが少なからずいました。


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大阪のUSJほどではないですが、ハリーポッターコーナーはやはり一番混んでます。

前菜は、なし(もうパリに帰って来てますがアメリカで食べたお食事を書きます)
主菜は、芝エビのケイジャンソースとチーズ入りポレンタ、蒸しブロッコリー、白飯



立ち呑み日記・オルランドへ [おでかけ]

「アメリカへ行きたいかーッ」
という福留功男アナウンサーの雄叫びが響き渡った気がして(脳内に)、復活祭の学期休みに出かけることとあいなりました。

アメリカは、フロリダのオルランド。

オルランドはテーマパーク銀座でディズニーワールドがあり、ワタシら親子が目的とするユニヴァーサルスタジオが、あります。

ユニヴァーサルスタジオは2つの敷地からなるんですがそのどちらにもハリー・ポッターの町があり、ここに来るのが13歳のムスメの長年の夢でした。

ハリー・ポッターエリアは大阪のUSJにもありますが、ロンドン裏町の石壁の背後に広がる魔法使い横丁の再現は、ここオルランドだけなんですヨ。

ふたつの町は、魔法学校行き列車でつながっている。

このふたつの町を列車で行き来するには2パーク共有チケットを入手せねばならない・・
テナこと、オカーサン(ワタシです)は首っ引きで調べてあります。

なにしろ近所の公園に出かけるのとワケが違い、大枚はたいて国際線で行くわけですしね。その緊張といったらこれまでのどんな家族旅行とも比べられないくらいでした。

言葉の通じないところで何かあったらどうしよう・・

「欧州住まいなんだし英語話せるんでしょ?」
と、おっしゃりたいでしょうが、住んでいる都合上フランス語はあれとしても英語は学生以来というありさまです。

パリからオルランドへは直行便はなく、乗り継ぎ時間がよかったので行きはニューヨーク経由にしました。

「なんという無知ッ、乗り遅れ必至だぞ」
と、トランジットがほんの1時間半と告げるや旅慣れた親戚に頭ごなしにやられ、大いにひるみました。

ニューヨークのJFK空港といったら入国審査が入念で遅々として進まぬひッどい行列で知られ、しかも乗り継ぎ便でも荷物をいったん引き出さねばならずその時間がさらにかかる、というんです。

目の前真っ暗になって航空会社のパリ支店に電話で問い合わせたところ、
「荷物は目的地へ直接行きますからダイジョブですってば」

ところがこれが真実でなかったこと、ニューヨークに着いてからわかりました。

飛行機が着陸するや航空会社の方がワタシら親子を待ち構えていて、乗り継ぎ時間が迫っているところから「エクスプレスパス」という赤い札を渡され優先的に入国審査をというので大いに気をよくしたのもつかの間、目の前になぜか荷物のターンテーブルがある。

荷物は直接行くんだし関係ないけどネ、
と、たかをくくりながらも念のため聞いてみると、
「あなたはここで自分の荷物をとらねばなりません」
と、「ユー・ハフ・トゥー」の構文でかえって来るではないですか。

聞いてよかったー、
と、これほど思ったこと、なかったです。

着替え無しに暑いテーマパークにのぞむことになる、だけならまだしも、荷物引き取りにニューヨークへ戻らなければならぬとなった日には、短期滞在のバカンス台無しなんでもンじゃないですからね。

時計にらみつつ荷物を引き出し、すぐまた預け、「エクスプレスパス」ふりかざして列に割りこみ、飛行機は念願のオルランドについに到着しました。

テーマパークの町は、夕刻でも35度という暑さでした。


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ホテルのプールにのーんびりした風景がありました。プールはいくつもあり、ここがただ今遊泳禁止だったからなんですが、このあと解禁となったら鴨は飛び立ち、子どもたちの群れがバッシャーンといきました。

前菜は、なし(もうパリに帰ってきているんですが、アメリカ旅行中のメニューを書きます)
主菜は、量り売りのサラダバー(サラダ菜とロケットサラダの土台に、トマト、冷鶏肉、ツナ、つぶしゆで卵のマヨ和え、コーン、マヨ和えマカロニ)、サウザンアイランドドレッシングで




立ち呑み日記・未来の寝室 [おでかけ]

これ、フランス人にしか思いつかないよナァ・・
と、展示の操作パネルをいじりながら、まったく感心しました。

学期休みで、「フチュロスコープ」というテーマパークに行ったんですヨ。

「フチュロスコープ」は、フランス西部のポワチエという小都会の郊外にあり、パリからTGV新幹線で直行できます。

ホラ、世界史でやった「トゥール・ポワチエの戦い」の、ポワチエです。

パリから日帰りも可能ですが、隣接するホテル群との1泊2日プランがあり、ワタシら親子もそれを利用しました。

ディズニーランド・パリと異なり、入場者の9割がフランス在住者、うち3分の2がリピーターだそうで、ワタシらもそのクチです。

みんなリピーターなんだろうなあ・・
と、ホテルの朝食ビュッフェを眺めまわして思いましたね。

朝食は10時までなんですが、寝坊してぎりぎりに行ってみたら、みなさんまだまだのーんびりなさっている。

ワタシら家族が最後かと思えばさにあらず、背後から何家族もがちっとも焦っていない足取りでやって来ます。

開園は10時、人気アトラクションには行列を避けるためにも朝一番に入り必死に走らないとならないんです。

しかしそれも初回で卒業済み。

「フチュロスコープ」は、先端科学と4Dなど映像の、科学万博みたいなテーマパークで、アトラクションの大半はIMAXの大型球形映画館です。

(一度見りゃ別にいいナ)
と、なってもいいところをリピーターにさせるのは、年一度、アトラクションのいくつかが入れ替わるから。

「これ去年はなかったね」
と、リピーターは全アトラクションを制覇しようとはがんばらず、今年版を中心にのーんびりまわります。

2月末からのこの学期休みは、スキー場や高速道などの集中混雑を避けるため、フランス全土を3ゾーンに分けて休みの期間がずらしてあるんですが、ポワチエ地区の学期休みはとっくに終わっているので入場客はパリ地区からの家族連れしかおらず、意外なほど空いてホントによかったです。

さて、のーんびり出撃したわれわれは今回の新顔「未来エキスポ館」へ、行列用柵がバスケットボールコートほどもつづら折りになっているのを横目に、すんなりすべりこんだんですね。

等身大スマホみたいな鏡に全身が映るとヴァーチャルブティックで洋服だけ着せ替わる、というような体験型展示がいくつもあります。

そこに、「未来の寝室」、というのがあったんですね。

手前のパネルを操作すると、光のぐあいでクローゼットの扉が好みの色やデザインに替わるのみならず、寝室全体が森の中になったり、魚泳ぐ深海になったり、雪降る山中になったり、ベルサイユ宮風の豪華なしつらえになったり、する。

そういう別世界の真ん中に、ダブルベッドが鎮座ましましているわけです。

「ロマンチックだなあ・・」
とも、言えましょうが、
「むしろラブホって感じだなあ・・」
と、どうしたって思わずにいられない。

最先端技術の雄、日本だったらこれ、家に居ながらにして別天地を味わえる
「未来のお茶の間」
という方向になるのではありますまいか。

そのほうがドラエもんのポケットからも出て来やすそうです。


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通りがかりにパチリ。隅田川沿いにバブル時代に制作展示された、ビール会社(だったと思いますが違っていたら平にご容赦)の「黄金のウンチ」同様、名インダストリアルデザイナー・フィリップ・スタルクによる「自由の女神の持つ炎」です。ダイアナ妃が事故で亡くなった時はここが鎮魂の碑みたいになってました。

前菜は、スモークサーモン、プチトマト
主菜は、舌平目グリル、パエリア風野菜とムール貝入りサフランご飯、いんげん塩茹で

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