立ち呑み日記・ガレットデロワ [デザート]

ただ今フランスのパン屋はガレット・デ・ロワ(「王様のガレット」)一色です。

一昨年くらいから日本でも売られるようになったようですが、ガレット・デ・ロワというのはアーモンドのあんを焼きこんだパイで、中にフェーヴという陶器の小さな人形がしのばせてあります。

日本はおそらく食品衛生法の都合上、しのばせてあるのはアーモンドで、フェーヴは別添えでありましょう。

これをみごと引き当てると「王(女王)様」ということになる、たのしい行事です。

そもそも1月6日の「公現節」というキリスト教の行事食で、東のほうから占星術師の三博士(王様)が贈り物携え生まれて間もないイエスを訪ねてきたのをあらわしたもの。

フランスでは14世紀からもうガレット・デ・ロワが食べられていたそうな。

その当時からつい先ごろの1980年代初頭まで、フェーヴ(「そら豆」)といったらその名通り乾燥そら豆が入っていたそうで、思い返せば1990年代でも、時に模様も何もないただのコイン状のものが無味乾燥に入っていたものです。

今やそんな簡素なフェーブなどあり得ないことでしょう。

だって、フェーヴは食玩と同様、
(どんなの入ってるのかナ、シリーズならそろえたいナ)
という期待感が購買力を高めるわけですからね。

店によっては「今年のシリーズ」が店頭にずらっと陳列してあります。あれを目の当たりにしちゃうといやがおうでも鼻息荒くなりますね。

しかしながら、ワタシはモノ申したい。

名店のガレット・デ・ロワはなぜ、なぜッ、平面的でおもしろみのないフェーヴばっかり入ってるのか(ドンッ、と机をたたく)。

具体的な店名は伏せますけど、アノ名店も、コノ名店も、そうなんです。

平面的なのはおそらく、裏面に店名を刻むのにつごうがいいから。名店は、かっぱ橋みたいな問屋お仕着せでなく、自社謹製フェーヴというわけです。

うちの近所の、名店に数えてもいいパン屋のガレット・デ・ロワは、とおってもおいしいです。パイ皮パリパリで歯にさっくり当たり、中のアーモンドのあんが上品な甘さ。

これを食べている一片から、立体に趣向を凝らしたミニチュアオブジェが出てきたら
(さぞいいだろうになあ・・)
と、思うんですが、ここ数年、小さなタイルに絵が描かれたものばかりなんです。

趣向はその絵にちゃんと凝らしてあるんですが、でももう少し、複雑な立体であって欲しいわけですヨ。陶器の人物や動物や、あるいは有名建築物だったり、ケーキやフルーツだったり。

そこで界隈をさまよい、まずいと分かっている店のガレット・デ・ロワにも手を出すわけです。こういう店こそ、フェーブは期待できますからね。

業者から少量ずつ仕入れる都合上、ひとつとして同じでないフェーヴが入っている可能性大です。

「ヘーエよくできてる」
と、みごと引き当てたフェーヴをみんなでのぞきこむ楽しさ、コレクションに加えるうれしさ。

ただ、少人数で切り分け割に早めに引き当てちゃった場合、その後誰も手をつけようとせず、いつまでも、いつまでも残る、というモンダイを孕むことにはなります。


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オ、ミモザだ、南フランスの花です。これから2月にかけて寒いですが、春へ向かっていくんだなあ・・と、うれしくなります。

前菜は、野菜ポタージュ
主菜は、鶏ローストの残り、カレーとねじりマカロニ、インゲン塩茹で

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