立ち呑み日記・パリの我が家へ [おでかけ]

「ひどい天気だねえ」
と、ド・ゴール空港からパリへ向かうタクシーで、、運転手さん。

11時間半のフライトの果て、フランスの現在時間19時は昨日までの午前3時で、目がシバシバすることこの上なし、とっぷり暮れた窓へ目を凝らしに凝らすと、外はしとしと雨のもよう。

パリの年末年始は春のような毎日だったのが、いきなり気温が下降し陰気な雨となったそうです。

東京地方も例年になく暖かでした。

「日本は大気汚染がひどいってホント?」
と、運転手さんに聞かれたんですが、どうなんでしょうか。

東京とパリはどっこいどっこいのような気もしますが、福島原発も収束からほど遠いと聞き及びますし、日本の空気は世界的に評判悪いんでしょうか。

「だってホラ、首都に茶色い濃霧が発生して鼻先が見えないって言うじゃない」

・・・それ、北京のことじゃないかしら。

「ありゃ、ペキンは日本じゃなかった?」

運転手さんは、北アフリカはモロッコの出身だそうで、ワタシらにしてみればモロッコとチュニジアとアルジェリアの違いは分かりづらいですもんネ。

パリで、アニメをはじめとする日本文化大好き!  という、おもに若者に出会うことがよくありますが、かならずしも市民の全員が全員日本通というわけでもないんですね。

ニッポンではチョンマゲで帯刀している、とは、さすがに思わないでしょうが、アジア諸国の区別はあいまいです。

「日本でネム食べて来た?」

ネムはベトナムの揚げ春巻き。フランスは歴史的にベトナムと関係が深く、ことに1970年代にベトナム難民を多く受け入れ、彼らが生活の糧にベトナム料理店を営んだところからこの一品料理が浸透することとなり、今では学校給食にのぼるまでになっています。

東京にも今や200軒あまりのオッシャレなベトナム料理店があるそうですが、いまだ行く機会に恵まれません。

「日本は、ネムでなく、スシ」

スシSushi、とこう言いながら、緑のアボカドと黄色いタクアンが芯のフトマキを思い浮かべられても
(違うんだけどなあ)
と、思いましたけど、本場もののお寿司はどうあっても想像つきますまい。

パリの街角を見渡せばここにもあっちにもあったベトナム料理店は1990年代後半ごろに姿を消し、テイクアウト中華へとって代わりましたが、こういう店にはスシもネムも置いているんです。

「運転手さん、パリでモロッコ料理のおいしい店ご存知?」
と、今度はこちらから訊ねてみました。

「妻」
と、ひと言。「外へ食べに行く気は起きないね」

モロッコ、チュニジア、アルジェリアのマグレブ三国のなかでモロッコは料理が格別においしい国とよく耳にしますが、家庭料理もまた抜きんでているのでありましょう。

男は黙って妻が食卓に出した料理を食べる、と、80歳を過ぎたワタシの父など日本の男は家庭料理の味つけには無抵抗のような気がするんですが、マグレブの、ことに古い世代の男は、厨房に立つ家族へ、
「この肉をこうしてああして・・」
と、細かく口出しする、と、聞いたことがあります。

運転手さんチはどう? 
と、聞いてみたかったんですが、ちょうどそこでタクシーは懐かしきわが家の前に着きました。


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また日常に戻ります。
みなさま、あけましておめでとうございます。今年も「立ち呑み日記」をどうぞご贔屓に何卒よろしくおねがいいたします。

前菜は、トマトとゆで卵のサラダ
主菜は、フォーフィレ(牛肉)ステーキ、小粒じゃがいものニンニクソテー、いんげん塩茹で


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