立ち呑み日記・江戸小路 [追究]

今回の一時帰省は羽田発着だったんですが、羽田国際空港には江戸の町を模した一角があり、にぎやかなイベントが催されていました。

江戸の街からタイムスリップしてきたような扮装の方々が、時代劇の一シーンのごとく闊歩しているんですね。お侍さんあり、町人のお兄(あに)いさんあり、女野菜売りあり、お奉行様までも街に繰り出している。

これから飛行機で本国へ戻る外国人観光客たちがこぞってカメラ向けてましたヨ。お江戸の善男善女とともにフレームにおさまっている方もたくさん見かけました。

と、そこへにぎにぎしくやって来た、花魁道中・・

・・ウーム、と、見送りながらつい腕組んじゃいましたヨ。

けばけばしいお召し物といい、四方八方から頭にささった鼈甲(べっこう)色の簪(かんざし)といい、確かに大いなる華をもたらしますが、もうちょっとこう違った人選で、江戸のきらびやかな女性を登場させられないものなんでしょうかネ。

だって花魁といったら教養があり自らお客を選び、財力に長じた大人物のみ、それも何度も足を運んだ挙句でないと親密な関係になれない、と、喧伝されますけど、そういう側面は、マ、きれいごとで、その実像は金銭で身を売るセックス産業の犠牲者ですゾ。

極貧家庭から身売りされて借金に縛られ、お大尽から身請けされる以外に自由などこれっぽっちもなく、多くの末路は梅毒に苦しむ。

そういう、衣装だけ見たら華やぎながら悲しい宿命の女性をですね、外国人旅行者も多いところでお江戸の素敵な存在のごとく登場させるのはいかがなものか、ト、かように思うわけでございます。

他に華やぎの代打はないんでしょうか。

大店や上級武士のお嬢様なんてどうでしょう。

当時はこういうやんごとなき姫たちも海辺へ潮干狩りに繰り出したそうで、男たちはおみおつけの実にする貝を熱心に獲るというより、美女ウォッチングに精を出したものなんだそうです。

こういう深窓の令嬢は独りでは出歩かず、必ず複数のお供がつきますから、潮干狩り道中はなかなか壮観になります。

ただ、こういうお嬢様がたは自活しているわけではないんですね、女性が職業をもって当たり前の今日、海外からの賛同を得られるでしょうか。

花魁はそこいくと完全なる自活労働者です。

(大奥)
と、わが貧弱なる頭脳に天啓が走りましたね。

大奥こそ当時最高の女性キャリア集団、しかも華があること間違いなし。

御年寄(おとしより)、というのが最高身分で町屋敷を与えられることもあったといいますから、大奥連中(れんじゅう)が市中に繰り出してもおかしいことはありません。

中臈(ちゅうろう)が将軍とその正妻のお世話係で、ここから将軍の側室が選ばれるところから容姿端麗な女性ばかりだったといいます。

その下の御小姓(おこしょう)が将軍の正妻の小間使いで7歳から16歳ぐらいの少女が多かったそうで、大奥はさながらAKB48グループのごとく後続もまた控えているわけです。

どうです、むしろ花魁道中より華やぐくらい。

羽田国際空港関係者は、ぜひともご一考いただきたく、お願いしたい次第でございます。


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今が一番太陽のない季節。これで夕方6時です。朝も8時半近くまで真っ暗です。

前菜は、ニンジン千切りサラダ
主菜は、牛(フォーフィレ)ステーキ、にんにく風味じゃがいもピューレ、いんげん塩茹で

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