立ち呑み日記・シンデレラ [ワルガキ]

ペロー童話『シンデレラ』とグリム童話『シンデレラ』はどう違う?
というフランス語(国語)の宿題を、10歳のムスコがもらってきました。

グリム童話もペロー童話も子どものころ読んだっけかナ。

「じゃオカーサンは違いが分かるんだね?」
と、ノートも広げずハナほじってるバカムスコ。

エート、シンデレラと言われたら違いも何も、♪ビビディバビデブーが脳内に響き渡り、ディズニー一色になってしまうのは否めません。

ムスコが机に一応出したもののページを開けてもないペーパーバッグを横からパラパラしてみました。まずはフランス勢ペローのほうから。

童話は小学校低学年のころよく読んだので、
「あるところにうつくしいおひめさまがおりました」
というような平易な言い回しだった印象があります・・

・・ところがフランス語の原作は17世紀のもので、今とは違う言い回しが意外にもむずかしい。グリムはその百年後、18世紀ドイツ人ですが、フランス語なれど現代語訳なので読みやすいです。

ディズニーでは確か、母が死に、再婚した父親もまた死んでしまい意地悪な継母および連れ子姉妹のもとシンデレラ天涯孤独、という設定だった気がするんですが。

ペロー版もグリム版も、父親は健在でした。

それどころかグリム版の父親は再婚相手一家と結託して
「あの汚らしい灰かぶりが舞踏会に行けるわけがない」
とかって言い放つ。

ペロー版では冒頭に「再婚した」とあるだけの影の薄い父親で、実子にあれだけ虐待が横行しているっていうのに意に介さない(としか思えない)。

シンデレラいびりは、グリムのほうが激しいです。

「舞踏会に私も行きたい」
と慎ましく申し出るシンデレラに、義理姉はえんどう豆をそのへんへざっとこぼし、
「2時間以内に拾えたら連れてってあげる」

グリム版に魔法使いは登場せず、ハトなど鳥たちがシンデレラを助け、ものの半時間で豆を拾い上げます。意地悪姉は内心驚きながらも難クセつけて、せっかく集まった豆を、今度は暖炉の灰の中へザッ。

義理姉二人の根性悪さッぷりといったら「渡鬼(わたおに)」調で、連ドラならグリム版のほうが視聴率上がりそうです。

対して特撮映画となるとペロー。

魔法使いの杖の一振りで、灰かぶりがお姫様へ、カボチャが豪華馬車へと一気に変化するわけですからね。

グリム版は魔法使いの代わりにハトが衣装をもたらし舞踏会へといざないます。

帰るべき時間が近づくと、ペロー版では今はまだ素敵なままのカボチャの馬車に急ぎ飛び乗り、グリム版では自ら木によじのぼって飛び越えていく。このあたり、ファッションに強いフランス人、エコに関心の高いドイツ人の魂が感じられます。

そして片一方だけ残される靴。ペローはガラス、グリムは金と銀の靴です。

ペローは性善説、グリムは性悪説とでもいますか、ペローでは王子と結婚したシンデレラは義姉妹を赦(ゆる)して良縁まで世話しますが、グリムの意地悪義姉妹は財産のおこぼれをおもねて婚礼の席のシンデレラの両脇にへりついたところをハトに目をくりぬかれるという、なかなかオソロシイ結末が待っています。


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みなさんのお宅ではゴハン何合お炊きになりますか? うちは10歳と12歳のワルガキにより、毎日バゲット3本買います。

前菜は、にんじん千切りサラダ
主菜は、生クリームソースで和えた七面鳥ささ身のムニエル、マカロニ、いんげん塩茹で、グリーンサラダ


立ち呑み日記・ラジオに出演 [ワルガキ]

「今晩ラジオに出てもいいでしょ、出るからね」
と、息巻く12歳のムスメ。

NRJというFM局の、有名男性DJがナビゲートするリスナー電話参加型番組に応募してみたら、すぐさまスタッフから連絡があったのだそうな。

NRJはフランス語でリエゾン(つづけ読み)して「エネルジー」つまり「エネルギー」と発音し、当代絶賛流行中の音楽ばかり終日流している、80年代開局以来若者に人気のFM局です。

「深夜トラックの運転手さんとかによく聞かれてる番組」
と、知ったふうなムスメ・・

・・ということはなにひょっとしてベッドに入ったふりしてこっそり聞いてるんじゃないでしょうねッ、
と、目を剥きかけました。

オカーサン(ワタシです)とて実のところ経験ありますからね。自室で勉強しているふりをして、音をしぼってラジオをこーっそりつける。

「天才・秀才・バカ」という谷村新司の番組などことのほか人気で、級友にも大ファンがいました。

彼女は、親にバレるとたいへんなのでカーテンを握りしめ笑い声が漏れないよう顔に押しつけ聞いていた(当然ながらムスメにこのハナシしておりませぬ)。

「何言ってんのよ」
と、無実の罪をなじられたがごとく口をとがらすムスメ。
「ユーチューブで昼間に聞いてるに決まってるでしょ」

DJとリスナーの掛け合いがとてもおもしろく、クイズコーナーでは、
「豪華賞品があたる、かもしれないんだよ」

豪華賞品とは、「まだ発売になってないiphone」とか「まだ誰も持ってない高級ブランドバック」とかだと言うんですが、これって12歳のムスメが真に受けているだけのジョークではありますまいか。

18時ごろに打ち合わせの電話があり、本番は22時15分から30分ぐらいまで、だそうです。

「寝るしたくして歯を磨いたならいいですよ」
と、承認すると、ムスメの張り切るまいことか。

待望の18時の電話で、ムスメにはクイズの問題がメールされこれを読み上げるのが役割となったもよう。

画面のクイズを今のうちに紙に書き写し(なにしろ同じスマホでしゃべるわけですから)、晩ごはんの間もうわごとのように読み上げを練習しています。お皿のものもまた、緊張のあまり噛まずにのみこんでいるのは明らか。

「落ち着いてちゃんと食べなさい」

そしていよいよ22時をまわり、本来なら寝る時間ですがムスメは静かな場所をとトイレにこもり、家族はラジオを合わせました。

こうやって聞いてみると、DJってすごい芸ですネ。

電話口のリスナーが住む地方だの好きな動物だの、どうでもいいことを質問しながら話をグッとおもしろく展開する。

「君にクイズを出してもらうんだよね?」
と、ラジオはいよいよ始まりました。

ムスメは練習の甲斐あり、つっかえることなく棒読み完了。直後のDJトークのお蔭で、ムスメがかくもおもしろいクイズを出したかのような印象を受けます。

住んでいる町を聞かれたムスメが
「パリです」
と答えると、
「最寄りのメトロ駅どこ?」

知らない、と、答えるのであれれと思いましたが、ムスメなりに個人情報と思ってはぐらかしたんだそうです。


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8月末に撮りました。今はもうどっぷり秋です。

前菜は、カボチャのポタージュ
主菜は、仔羊腿肉ソテー、いんげん塩湯茹で、マクドナルドのフライドポテト(お昼の残り)、グリーンサラダ


立ち呑み日記・保護者説明会 [ワルガキ]

この9月に中学に上がったムスコの学級の保護者説明会がありました。

フランスの学制は6・3・3制の日本と異なり5・4・3年制、日本だったら小学校5年2学期の年齢で中学1年となります。

「今まで小学校で一番大きかったのが、今度は一番小さくなる」
と、初日に一年生とその親を前にして校長先生が訓話をなさいました。

ムスコの公立中学は敷地内に県立高校および通称プレパと呼ばれる2年間のグランゼコール準備クラスがあり、生徒3千人からがひしめく大所帯です。

公立中学は県立高校と敷地を同じくしてはいても残念ながら右から左への進学叶わないんですが、生徒たちは同じ学食で食べます。

「プレパといったら二十歳の大人ですぞ」
と、校長先生。「きみたちが小さくすばしっこからといって学食で横入りしたりなど、大きいお兄さんお姉さん方を困らせないように」

「プレパの生徒ってすごーく大きいんだよ」
と、ムスコは初日にたまげて帰って来ました。「オカーサンの二倍は、ある」

ワタシは162センチですから、どんなに背が高いとはいえ二倍まではいかないでしょうけど、うんと大人っぽく感じるのでありましょう

この日もらってきた保護者説明会のお知らせには教室番号まできちんと記されていました。

うちにはムスコの二歳上にムスメがいるので今までにも何度か入ったことのある校舎、難なく指定の教室に着きます。

が、あろうことかそこには別のクラスの説明会が入っていた。フランスだなあ、と、こんな時思うんですね、どの親も自分の教室を探してウロウロしています。

そのうちにちゃんと教室が見つかり、何ごとも無かったごとく平然と会が始まるところもフランスらしいです。

こうして教室の中ほどに席を見つけてついてみると、わが生徒時代は遠くなりにけりと感慨深くならざるを得ません。

なぜというに、黒板にチョークで書かれている先生方のお名前が裸眼ではぼやけて読めない。黒板から手元のメモ帳に目を移すと、これまた瞬時には焦点が合いません。

勉強にはやはり「旬」があると突きつけられます。

それにしても改めてメガネをかけて見る黒板の字のきれいなこと。フランス人の書き文字はなかなか読みにくいんですが、そういうのとは一線を画しています。

「ノートのでかちび文字が多く見受けられますが、家庭で矯正してください」
と、フランス語(国語)の先生は手厳しいことおっしゃいました。

「今はパソコンのおかげで字が汚くても大丈夫などと思ってませんか」
と、技術の先生も割ってお入りになりました。「最近の就活の履歴書は、だからこそ手書きを求めるところが増えているんですよ」

字をきれいに書かせる、
テナ感じに、どの親も真剣にメモをとっています(ワタシも。日本語でですが)。

でもムスコのあの汚い字、前途多難だなあ・・、
と、不安がグッと押し寄せてくるのは否めません。ムスメの時で心得ているんですが、ノートやテストの筆跡も減点の対象になるんです。

いずれにしても、いよいよムスコの中学生活の始まり。フランスの中学は4年制、その後に受験はなく、後半2年の成績で高校が振り分けられます。


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歩きながらパチリ。

前菜は、野菜ポタージュ
主菜は、フランクフルトソーセージ、じゃがいもピューレ、いんげん塩茹で、グリーンサラダ


立ち呑み日記・日本文学 [ワルガキ]

12歳のムスメが、いよいよ歯の矯正リングを付けることになりました。

今回初めて知ったんですけど、歯の矯正って歯のひとつひとつに金具をじかに接着固定してするものなんですネ。

で、金具に半円形になった針金をはめ渡す。すると時間がたつうちに歯は次第に動き、2~3年後には半円に沿った美しい並びになる、というわけです。

「私もバカンスで日本に行ったことあるのよ」
と、矯正歯科の若く溌剌とした女性の先生は、治療台に見るからに緊張して横たわるムスメに明るく話しかけながらお始めになります。

「京都も東京も素敵でハマっちゃって。日本いいワァ」
と、ムスメの横でやはり息をつめるなりの日本人のオカーサン(ワタシです)に向かって歯並びのいい口許でニッカリ。しゃべりながらも手は着々と動き、一つ、また一つと金具が接着されていきます。

「私、読書が趣味で日本文学もけっこう読でるの。読んだことある?」

んああ、と、口開けたままかすかに頭を横に振るムスメ。ムスメはフランス語になっている冒険小説は大好きでかじりつくほうですが、日本語の本となるとおぼつかないことこの上なく、『ぐりとぐら』で止まっています。

「イノウエ、知ってます?」
と、先生はこちらへ目を向けました。「『猟銃』、すばらしい小説でした」

井上靖のこの短編は昨今の日本ブーム以前から訳されていて、今まで何人もの日本通から
「読んだ、素晴らしかった」
と、熱をこめて話しかけられています。

先生は村上春樹も『1Q84』三部はじめ翻訳本はほぼ全部読了しているものの、
「好みかって聞かれたら、ちょっと違うかな」

もっと昔の日本が描写してあるような小説が、雰囲気が味わえて好きなのだそうです。

「『眠れる美女』、最高だったワァ」
と、一瞬手を止めてうっとりするやムスメに向かって
「『森の』は入らない『眠れる美女』よ」

男が、寝床でぐっすり眠っているうら若き美女の横に入ってともに眠るだけなんて
「西欧の作家にはぜったい思いつかないと思う」

この若い美女ってある意味娼婦なんだけど身体は許さず眠ってるだけなの、
と、先生は事情のよくわからないムスメに説明してくださるんですが、小説の内容が12歳向けとは言い難く、横でややヒヤヒヤします。

でも、ノーベル賞作家川端康成の作品ですからね。

「カワバタといったら『伊豆の踊子』も読んだわ」
と、先生はまあホント、日本文学に精通しておられ驚くばかりです。

「最後に主人公の青年が、泣きながらスシ食べるの」

スシっていうか、海苔巻きですよネ。

二十歳の一高生で孤児根性のしみついた「私」が伊豆を旅し、出会った貧しい旅芸人の一行との交流から心を和ませるようになり、東京へ帰る船中で同室となった少年がくれようとする海苔巻きを素直な気持ちで受け取る。

「あら勘違い、スシじゃなくてマキ?」
と先生。

昨今のスシブームで、マキ(巻き寿司)なんて言葉も浸透しているんです。

「そうするとアボカド入りのフトマキかしら」

先生は干瓢(かんぴょう)巻きの存在をご存知なく、説明に少々てこずりました。


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通りがかりにパチリ。奥はマドレーヌ寺院です。

前菜は、トマトサラダ
主菜は、シュークルート(牛肉および豚肉のフランクフルト、キャベツの酢漬け)、モロッコいんげん塩茹で、じゃが

立ち呑み日記・歯の矯正 [ワルガキ]

12歳のムスメが、歯の矯正を始めました。

ワタシらのころは、歯の矯正をする子はクラスにほんの数人しかいなかった気がします。ワタシなど、中二の時に転校してきたアメリカ帰国子女の子の前歯に奇妙な金具がついていて、審美的目的で矯正する、ということを初めて知ったぐらいです。

ちょうどそのころ、英語の副教材にアメリカのジュニアハイスクールを舞台にした恋愛ユーモア短編小説をもらったんですが、このなかに
「にきびだらけのナンシーが笑うと矯正リングが陽の光を反射した」
テナ感じの一文があったんですね。

要はごく一般的な、この年齢特有に垢抜けない平々凡々たるローティーン少女の描写なんですが、当時はその「一般的」「平々凡々」というのがまるで理解できませんでした。

歯の矯正って特別な子がすることでしょ?

それでも先の帰国子女の子の話など聞くうちに、ワタシも出っ歯加減の前歯を矯正してみたくて親にかけ合いましたが、鳩が豆鉄砲くらったような顔されて終わりました。

当時の多くの親には歯の矯正といったら「シェー!」のイヤミぐらいまで強烈な出っ歯を目立たなくする治療で、そこまでではない場合は無縁、というふうにとらえていたのだと思います。

費用だってうんとかかりますしね。

その後われわれ世代は成人し、収入を得るようになって念願の歯列矯正を成し遂げた方があんがいおられるのではないでしょうか。

欧米で矯正の方法や概念は欧と米とでは異なり、米では離乳食が始まった段階でもう準備を始めるものだそうです。

永久歯が生えそろってから矯正でなく、最初から歯並びよく永久歯をはやす、というふうに考えるらしいです。

ムスメの小学校時代、クラスにアメリカ人の子がいましたが、小3くらいからもう矯正リングをつけてましたヨ。それもビーズ玉みたいなカラフルな装飾付きのうんと目立つもの。

どうせ傍目にリングとわかるなら目立たなくするのではなく、逆にカワイイものとして目立たせよう、という考え方のようです。

さて、ムスメの歯の矯正は、担当の先生との面接から始まりました。

人間の上歯と下歯は、ちょうど文箱とふたのように、上歯が下歯をすっぽり覆うようになっているものだそうな。

ムスメの場合はまず上顎を内側から器具で広げ、しかるのちに上下歯列を矯正する、とのこと。

費用は健康保険でまかなえる分と任意保険の分があり、
「かけている任意保険の会社に問い合わせて金額を明快にし、納得いかれたところで開始しましょう」
と、理路整然と女性の先生。

さっそく任意保険の会社に電話してみると、よくあることらしく打てば響くように会計リストがメールで届きました。

全出費の7割がたがこれら保険でまかなえるもよう(ホッ)。

ムスメは意気揚々と上あごに器具をはめてもらいましたが、
「オカーサンには口内のねじを毎日締めていただきます」
とのことで、先生から専用ねじを渡されました。

そこでムスメの口中のぞきこむんですが、ネジ穴の小さいことといったらオハナシにならない。

それでも何とか締め方を体得し、これから半年間、老眼のオカーサン(ワタシです)は重大な責務を負うことになります。


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本日出会った顔。

前菜は、ガスパッチョ(冷製トマトスープ)
主菜は、蕎麦の実団子、ベルギーチコリ蒸し焼き、コールスロー(キャベツサラダ)。ご招待受けてベジタリアンレストランに行きました。


立ち呑み日記・近藤です [ワルガキ]

「近藤です、」
と、言わんばかりに髪をさっとふる10歳のムスコ。

この春先からこうです。ある日不意にやり出しました。

ムスコのヘアースタイルは、オカーサン(ワタシです)のハサミのままに結果的にそうなったコケシ風です。そのコケシの前髪が、目に入って邪魔なのかと当初は考えました。確かに毛先がまぶたすれすれまで来ている。

そこでいつものように台所の引き出しからハサミをとり出し、コケシの前髪をザキン、ザキン。

が、その直後にもう、
「近藤です、」
を、やるんですね。

「どうして?」
と問うても、いかにもフランス人らしく(さあね)と肩をすくめるのみ。

「自意識が芽生え始めたのねえ」
と、日本語塾の、アラフィー世代のワカコ先生に言われました。
「『近藤です』と言われたってわれわれ以外はもう意味わからないんじゃないかしら」

そう、かも、しれない。だいいち、朝ドラなどで見かける当の近藤正臣さまはもう、「近藤です、」をやりませんしね。

ひとはなぜ、時に「近藤です、」をやるんでしょうネ。ワタシなども子どものころはしょっちゅうでした。

なぜというに前髪が落ちてくる(気がする)。

「女子ッ、額に落ちかかった髪をどかそうと頭を振るのやめなさいッ」
と、全校朝礼の時など、号令台の教頭先生から厳重なるお説教があったものでした。

頭をふったところで髪はまた落ちてくるのみ、ピンどめでちゃんと留めるッ。

そう、パッチンどめで前髪をパッチンと留めたら「近藤です、」とはワタシなど縁がすぐさま切れました。

男子はどうだったんでしょうか。

あのころの男子は、イガクリまではいかなくてもうんと短くしている子が大半で、「近藤です、」は小学校中学年までは無縁だったように思います。

が、自我が芽生え始める高学年になり、髪を長めにする子が、出てくる。男子の「近藤です、」は、ここからですね。ホラ、フィンガー5の晃クンの髪形。あれなど「近藤です、」がとてもやりやすそうです。

「近藤です、」にはカッコつけもあるんですね。髪を振るボクったらカッコイイ・・

女子のカッコつけといえば、髪をかき上げるしぐさ、これに尽きます。

われわれもワンレンを気だるげにザバーッとやりましたよネ。それ以前のレイヤーカットないしは聖子ちゃんカットのときは耳もとから指を梳き入れました。さらにそれ以前は「おとめカット」で、顔の両横に落ちてくるひと筋をさらり。

男子の「近藤です、」、いつぐらいまで続くものなんでしょうかネ。

全校朝礼の教頭先生ならずとも、
「男子ッ(といいますかうちのムスコです)、その癖いい加減やめなさいッ」
と、一喝したい心境(じっさいしました)。

ところでムスコからは、
「オカーサン二度とボクの髪を切ってくれるな」
と、斬りつけられました。前はうちで切ってもらっていることを友だちにあんなにも自慢していたくせに(涙)。

ムスコのなかよしのジャンくんは先月あった海浜学校の直前、人生お初で美容院に連れて行ってもらい、以来、前髪を立たせ、ムースをつけて登校しています。


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この日曜日の午後、讃美歌みたいなのが聞こえてきたと思ったら、窓の下に行列がのびていました。ワタシはカトリックとは縁遠いので何の行事かは不明なんですが。

前菜は、野菜ポタージュ
主菜は、七面鳥ささ身のムニエル、レンズマメ煮込み、インゲン塩茹で

立ち呑み日記・記念写真 [ワルガキ]

そのへんに腰掛けて12歳のムスメたちを待っていたら、一番に出て来たジャンくんが幼稚園のころみたいに屈託なく横に座ったので、なんだかグッときちゃいました。

ただ今、ムスメら男子女子各3名つごう総勢6名が遊びに来た「アクアブルヴァール」へ、迎えに来たところ。

「アクアブルヴァール」は南国の楽園みたいな波の出るプールで、ウォータースライダーが何本もあり、パリの子どもたちの人気スポットです。

入場料が12歳以上29ユーロ(約3200円)ですから、近所の小公園に遊びに行くのとはワケが違う特別な場所。

ただ今年度末で、気の合うどうしで記念に「行こう」ということに相談がまとまりました。みんな家族とは行ったことがありますが、友だちだけでは人生お初です。何日も前からムスメの欣喜雀々たることか。

オカーサン(ワタシです)は実のところ心配で、「行ってらっしゃい」とは即座に言えませんでした。

「波が危険なのよ」
と、ジャンくんのオカーサンもまたおろおろしてました。
「興奮した群衆にのみこまれて溺れたらと思うと・・」

やっぱり中までついて行こうと思いかけましたけど、よく考えてみれば泳ぎとなったら助けるどころか足手まといになるばかり、やはり彼らにまかせるほうがいいようてす。

「アクアブルヴァール」は12歳から保護者なしでも入場できることだし、ジャンくんのオカーサンも他の子のオカーサンも、危険なまねはしないよう口を酸っぱくして許可、と、あいなりました。

そこでオカーサン代表として、地下鉄での送迎を担うことになったわけです。

窓口でみんなが入場料を払っているのを見守り、コインロッカーに必要な2ユーロ玉をそれぞれちゃんと持っているかくどくど確認していると、
「ダイジョブ。バイバイ」
と、うんざり声で、ムスメ。

いったん家に帰り夕刻の時間を見はからって戻って来たわけです。

腰かけてひと息ついたジャンくんはさっと立ち上がり、後からやってきた他の子たちと合流して、
「写真、写真」

プールには専門カメラマンがいてスナップ写真をパチパチとり出口のところで販売している、ということをこれまでの経験からみんな知っています。

今回は日本人のオカーサン(ワタシです)が一枚買う約束になっています(大きな声では言えませぬがスキャンしてみんなにあげる心づもり)。

そうと決まっていたからか、なんと十なん枚も撮らせたもよう。

「買うのは一枚だけですよッ」

みんなでパソコン画面をのぞきこんで写真選びが始まったわけですが、改めて見る水着姿の彼らの、何と大きく逞しくなったことよ。

ジャンくんのみならず小学校はみんないっしょでしたから、校外学習の付き添いなどで笑い顔も泣きべそ顔も見て来ています。

ああだこうだと比較を重ね、男子3名が女子3名をおんぶした1枚を選びました。青春真っ盛り、テナ1枚。6名のなかの2名はすでにお誕生日を迎え13歳、ティーンエイジャーの仲間入りです。

「どうもありがとうございます」
と、写真のお会計をすませたら、小学校まではブロンドのロングヘアが星の王子様みたいだったジャンくんに低い男っぽい声で言われました。


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リュクサンブール公園を歩いていたら楽隊に出会いました。この公園はフランス国会の上院(参議院みたいな感じ)の前庭なので、これからその閣議の場で演奏があるもよう。

前菜は、トマトサラダ
主菜は、鯛塩焼き、じゃがいもピューレのグラチネ(おろしチーズ焼き)、しんげん塩茹で


立ち呑み日記・コピペ [ワルガキ]

ナントカいう人の写真を
「プリントアウトしたいんだけど」
と、10歳のムスコがなかよしのピエールくんとマチスくんをともなって学校から帰って来ました。

誰なのと問えば、
「『ワールド・ウォーZ』の映画音楽を作った人」

学校で「音楽」をテーマにしたグループ研究発表で「映画音楽」を選んだのだそうです。

『ワールド・ウォーZ』はブラッド・ピット主演のゾンビ映画で、12歳以下視聴禁止のところ、今秋13歳になる上のムスメが新古DVD屋の投げ売りで買ってきたところからムスコも相伴にあずかり、ハラハラドキドキ堪能しました。

ご禁制をかいくぐったムスコはそりゃァもう英雄気取りの鼻ピクピクで、二人に微に入り細に入り解説したもよう。

そんなところからこのサスペンス映画の音楽が発表テーマに選ばれたみたいです。研究のグループは好きに組んでよく、ムスコたちはいつもの遊び仲間の男子三人組です。

他のグループはといえば、「バレエの音楽」「ジャズ」「今流行っているフレンチポップス」「おじいちゃんの時代の古い音楽」等々、だそうな。

「おじいちゃんの時代の古い音楽」って、ビートルズやらなんでしょうかネ。

すでに発表が終わったグループが何組かあり、いずれも音楽家の顔写真をプリントアウトしたのを
「このひとです」
と、高々と掲げたのだそうで、それがいかにも研究発表らしくて三人組もぜひともやりたい、と、いうわけです。

肝心の発表内容はというと、三人組は本日、情報科学の教室で
「もう全部できてるよ」

三人でいろいろ調べてまとめ上げるとはなかなかやるわね、と、感心していたら、
「まあね、ウィキペディアをコピペした」
と、言うではないですか。

「ちょっと、それは研究とは言えないんじゃないの」

「みんなこうしてるんだよ」
と、三人は平然と言い放ちます。

でもそれはやっぱり、「研究」とは言えないんじゃないでしょうか。

昨今の学生のレポートがコピペばかりでゆゆしき問題である、というフランスのニュース番組を、つい先日観たばかりです。レポートがコピペかどうかを判断するソフトを開発した研究者も、番組には登場していました。

「大学では初年度にレポートの書き方を教える授業が必要である」
と、いうような発言も重く取り上げられていました。

今の小学生は生まれながらにパソコンがあり、コピペは大学生以上にもう当然のことなんですね。

「ウィキペディアに書いてあることが本当の本ッ当とどうして言えるのッ?」
と、ちびすけたちについ詰め寄っちゃいましたヨ。

しかしまあ、日ごろゲームばっかりやっているムスコの生活態度からすればゾンビ映画を発端に映画音楽家までたどり着いたことで、よしとしましょうかネ。

オカーサン(ワタシです)のパソコン画面に三つ頭を並べ、これと気になった画像をどんどこ「印刷」にポチポチやりそうになっているところへ、
「ちょっと待ったーッ」

カラーインクは値が張るので、無用のプリントアウトだけは
「おねがいだから避けてちょうだい」

三人は顔写真を入念に比較し、
「一番カッコイイ顔」
と、意見が一致した一枚が、A4版で出て来ました。


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やれやれと席をとったカフェの目の前をパチリ。

前菜は、トマトサラダ
主菜は、仔羊腿肉ソテー、ニンニク風味じゃがいもピューレ、いんげん塩茹で


立ち呑み日記・ガム禁止 [ワルガキ]

12歳のムスメが、そりゃもう必死にガムを噛んでいる。

「ガム買って」
と、スーパーについてくる時は、かなッらずレジの前でねだります。

「子どもってなんでああグミが好きなのかしらねえ」
と、先日10歳のムスコのスポーツ遠足に付き添いで行ったら、担任の先生が教え子たちを眺めながらしみじみ言っていたものでした。

一人の男の子がオランジーナ味のグミひと袋を持ってきたのに級友自ら自発的に列をつくり、一つ、またひとつ、ありがたく拝受しては口にほうり込んでいる。

グミのために自発的に整然と列をなしている、
という点に先生は大いに児童心理学的関心をお持ちになり、デジカメをとりだして証拠写真をパチパチとっておられました。

しかしこの年ごろの子どものいるオカーサン(ワタシです)としては、「子どもはグミが好き」という先生に、ひとつだけ進言したいです(実際言いました)。

子どもは確かにグミが好き。でもそれは
ガム禁止だから、
というのもあるんじゃないでしょうか。

今回のスポーツ遠足も、ふだんの学校生活でも、ガムは「禁止」、どころか「絶対禁止」です。

先月、ムスコは十日間の海浜学校に行きましたが、その説明会でも真っ先に、持ち物の中に
「ガムは絶ッ対に禁止ですッ」

なぜというに、フランスの子どもは噛んだガムを口から出すと机の裏や耳の裏にピッと貼り付けるんですが、これが割に簡単に床に落ち、踏まれた日には後の掃除がただならないことになる。

同じ理由からではなかったでしたっけ、シンガポールは国をあげてガム禁止。

その気持ちは、まあわかりますね。

うちなんかもトイレのゴミ箱のゴミを捨てようと大型ビニール袋にざっとあけたその底にガムが歯型もにぎにぎしくごろんとくっついて固まっていることがしばしばあり、(もーオまったく・・)となります。

「ガムは紙に包んで捨てるッてなんべんゆッたらわかるのッ」

ムスメは目下、風船をなるたけ大きくふくらませるのに熱中しています。大きい風船の中にもうひとつ、小さい風船をふくらませる。

こういうことに血道を上げるおとしごろって、あるんですよネ。

ワタシがムスメのとしごろのころは、口の中でパチン、パチンと鳴らす練習に多大なる時間を費やしたもンでした。

クラスメートがやっているのを見て自分もと専念したわけですが、考えてみれば、ワタシの通っていた女子校は厳格では右に出る者のいないようなところで当然ガム禁止なのに、なぜだったんだか。

練習の甲斐あって、ワタシも鳴らせるようになりました。

よく噛んだガムを平たくのばし上前歯の全面と下前歯の後方に張るようにして、舌先で「鼓を打つ」ようにする。

よく鳴るガムとそうでないガムがありました。

そのうちにこういった噛みながらのなぐさみにも飽いて、幼少時は辛くて食べられなかった「クールミントガム」がおいしくなり、「うめぼし」に瞠目し、「花の香りのイブ」やら「ブルーベリー」やら「シナモン」やら、ありとあらゆる風味を噛みに噛んでいつが分水嶺だったのか、ガムに関心がまるっきりなくなりました。


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パン屋のショーウインドーをパチリ。

前菜は、メロン
主菜は、ニンジンと牛肉のロゼワイン煮込み、じゃがいもピューレ、グリーンサラダ

立ち呑み日記・忘れ物2 [ワルガキ]

「二人も忘れた人がいるの?!」
と、芝生の円座で、10歳のムスコの担任の先生が素っ頓狂な声をあげました。

ただ今パリ郊外の、ヨットやカヌーのできる池もある広い公園にスポーツ遠足で来ているところ。

こちらは年度末で、小学校最終学年のムスコのこういう付き添いは今後一生二度とないだろうと感傷こめてのこのこくっついて来たわけです。

子どもたちはグループごとにカヌーとヨット、その後は遊歩道を半周しながら、ゴルフ(のまねごと)、サッカーのシュート、やり投げ、方位磁石読みなど各コーナーで続々挑戦していきます。先生方および付き添いの大人はコーナーごとに立ち、説明したり行くべき方向を示したり。

そうやってみんな半日がんばり、いよいよおたのしみのピクニックを迎えたんですね。

「お弁当持ってこなかった」
と、そうしたらモハメッドくんから問題発言。女子のグループでは、唇をきゅっと結んだエミリちゃんが意を決したように手を挙げました。

ほんとにまあ、なんで忘れたんだか。遠足のお弁当ですぞ。

恥かしさ、心細さ、お腹ペコペコなのにノドに大きな玉が詰まっている苦しさ、二人の心境察して余りあります。

食費に事欠いて持たせられない家庭もありましょうが、二人に限っては明らかにうっかりミスです。エミリちゃんは、お菓子と水は持ってきたそうです。

「オレオ食べるからいいです」
というエミリちゃんに
「サンドイッチをしっかり食べます」
と、先生はぴしゃり。

一昨年の、今12歳になるムスメの時までは学校からお仕着せのランチパックが支給されていたんですが、これが実にまずまずしく大半が手をつけられないまま捨てられる運命だったので、昨年度より各自お弁当持参になったもよう。

その旨口語調で簡潔に記されたプリントが事前に配布され、保護者署名の上提出してあるんですが、忘れた子の家庭はこの文面を読み違えた、の、かも、しれない。

いずれにしても二人このまま指くわえさせているわけにはいきません。

「サンドイッチは二つ持ってきたけど、どっちもハムなのよ」
と、困り顔でモハメッドくんを見つめる先生。

モハメッドくんはイスラム教なので豚肉はダメなんです。サンドイッチは、エミリちゃんに行きました。

モハメッドくんへは、付き添いオトーサンの一人がポテトチップの大袋をまるまる差し出し、日本人のオバサン(ワタシです)はツナマヨと梅きゅうの巻きずしを分けてあげることにしました。

フランスはスシブームで、前回お弁当が要りようだったときにムスコの巻きずしがなかなか人気だったようなので、多めに持って来てあったんです。

そのうちにみんなでとりかえっこが始まりました。みんな、友だちにまわすぶんをあんがいいろいろしのばせて来てるんですネ。

ハムサンドひとつ分お腹に入らなくなった先生も、まわってきたプチトマトを遠慮なくつまんでおられるようでした。

モハメッドくんとエミリちゃんにはチョコパンやブリオッシュなどもやって来て、十二分にオナカイッパイになったようでした。

そのあとグミとキャラメルがまわり、歯が抜けた子が三人も出ました。


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バスの中からパチリ。

前菜は、トマトサラダ
主菜は、ニンジン入り牛肉の赤ワイン煮、じゃがいもピューレ、グリーンサラダ


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