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立ち呑み日記・政治デモ [ワルガキ]

「メランションの政治デモに行く」
と、14歳のムスメ。

ただ今フランスは大統領選の選挙運動真っただ中です。大統領選は、1回目の選挙で上位2人が選出され、2回目で決選投票となります。

投票資格があるのは18歳以上、中学坊主のムスメは当然ながら「おみそ」です。

ムスメがテコ入れするメランション候補は左派、最低賃金引き上げ、同性婚の認知などを公約に掲げ、候補者中唯一の反原発派でもあります。

ムスメの言うところによると、
大統領選といえば天下の一大事、何がなんでもメランションの政治デモに加わり世を良い方へ導かねばならぬ、ついては日本語学校はサボりたい・・

「それはだめです」

政治に興味を持つのは大いにけっこう、しかしながらやるべき勉強がおろそかになるのでは本末転倒ですッ。

人差し指をふりあげる日本人のオカーサン(ワタシです)をぽかんと見ていたムスメは、数秒の時間差をもって実にくやしげな顔になり、言わんとするところを理解したようでした。

ホンマツテントー、という四字熟語が、ややむずかしかった。

けっきょく、日本語の授業にちゃんと出席して、その前後なら行ってもいい、ということで折り合いがつきました。

パリのメランション政治デモは、13万人(主催者側発表)という大規模だったようです。

「数学の先生と美術の先生も参加するんだって」
と、学校で漏れ聞いてきたムスメ。

友だち数人も行くそうで、彼ら彼女らとエイエイオーと盛り上がろう、というわけです。

夕刻、ムスメは立派なプラカードとフランス国旗を肩に担いで意気揚々と戻って来ました。こういう道具類はデモ主催者が「どうぞ」とその場で配布するそうで、選挙ってなるほどお金がかかるもンですねえ・・

相当に気勢をあげたとおぼしきシオカラ声をふりしぼり、家に入りながらおぼえたての「インターナショナル」(歴史ある労働歌です)をひとくさり。

プラカードには、メランションの公約のひとつ、
「16歳に投票権を!」

あらでもそれちょっと若すぎるんじゃないの?
と、口をはさむと、
「それは違います」

労働権は16歳からで、成人同の等賃金労働に従事するのだから投票権だってあってしかるべき、と、ムスメはとうとうとはじめます。

そのいっぱしな応援演説っぷりを晩ごはんのしたくしつつ聞き流しながら、わが14歳の日々を振り返っちゃいましたヨ。

14歳のワタシは、政治などもうまるっきり、関心ありませんでした。

その2年前、日本はロッキード事件に揺れ、「ピーナッツ」「証人喚問」なんて言葉を小学生(ワタシらです)でも知るところとなりました。

「記憶にございません」
なんて、授業で先生に当てられたひょうきんものが切り返してはクラスが大爆笑、テナことが飽きもせず繰り返されたもんです。

恥かしいかなそこからの進展は、なし。

学生運動は過去のもので、政治に関心を示すのはダサいという風潮さえ、ありました。

そんなだったからこそ、権力者への忖度(そんたく)に次ぐ忖度で一部の人だけがいい思いするような実によろしくない国柄になってしまった、の、かも、なあ、と、反省が先に立ちますナ。


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どの小さい子が落としたんだか、舗道から見えるところに置いてありました。こういう布製人形(『ドゥドゥー』ってフランス語で言います)、乳幼児が依存するものとして親が与えるんですが、日本でそういう発想ってないですよネ。ワタシもうちの子どもらを託児所に入れたときに初めて知り、びっくりしました。

前菜は、さいの目鶏肉・トマトソース和えペンネ少々(以上残りもの)・トマトのマヨヨーグルト和えサラダ
主菜は、メルゲーズ(焼いた羊肉生ソーセージ)、さいの目じゃがいもソテー、いんげん塩茹で


立ち呑み日記・極秘サンタ [ワルガキ]

14歳のムスメがムウッとした顔つきで学校から帰って来ました。

ポイとやけっぱち気味にテーブルに投げ出したのを見れば、ムスメの名前が書かれて乱雑に折りたたまれたレポート用紙からはみだす、5フラン(約700円)紙幣。

「プレゼントがこれだってサ」
と、憤懣(ふんまん)やるかたないとはこのこと。

いえね、クラスで「シークレットサンタ」をすることになったらしいんですね。

「シークレットサンタ」はクリスマスのプレゼント交換で、クラス全員からくじで引き、あたった相手にプレゼントします。誰にあげるか秘密にするところから、「シークレット」。

とはいえ、ムスメがもらうのはポールくんからと、ムスメは秘密裡に知ってました。

「あいつに何あげたらいいかな?」
というようにポールくんが男子仲間へ相談を持ちかけたのが漏れ、ムスメ本人の耳に届いたもよう。

ムスメがあげることになったのは、サミュエルくんです。サミュエルくんは『ワンピース』から『進撃の巨人』から最新のマンガは全て読破しているマンガ好きだそうな。

そのマンガ博士を唸(うな)らせるようなマンガをプレゼントしてみたい。

「オカーサン、日本人なんだからフランスの誰も知らないようなやつ、見つけて来てよ」
と、ムスメにおねがいされました。

そんなこと言われてもねえ・・
と、弱りながらとりあえず本屋に向ったんですが、道々、割とすぐに心が決まりましたね。漫画といったら手塚治虫、手塚治虫といったら『ブラックジャック』、ではないでしょうか。

本屋のマンガコーナーで店員さんにたずねると、ありましたありました。

ただし、1996年発行の古本(新刊と古本を並べて売る本屋なんですヨ)、でもそのお蔭で安くつき、一冊の予定が二冊買えました。

ムスメは一冊ずつ丁寧に包み、さらにそれをクリスマスっぽい包装紙で飾った靴の空き箱に入れてりぼんをかけました。

なかなかの豪華版の出来上がりです。

さていよいよシークレットサンタ当日。

サミュエルくんは、ムスメの、いかにも女子からっぽい包み紙に小躍りし、紙をびりびり破いていまだ知らぬ名作マンカに瞠目したそうな。

プレゼントは値段ではなく、見るからに二束三文なれど素敵に包装したアクセサリーとか、画用紙に自分で描き段ボールで額装したサンタの絵とか、工夫がいろいろあったそうです。

「そう、お金の問題じゃないんだよ」
と、ムスメは5フラン札をつまみあげて口とがらすまいことか。

ムスメのシークレットサンタとなったポールくんは悩みに悩み、結局何にしたらいいかわからないから
「いっちょギャグでいこう」
と、こう思いついて当日の朝オカーサンに現金せびったらしいです。

わざと汚らしく包み、渡すときの自画自賛のクヒヒヒ笑いといったらなかったそうです。

このテをギャグと思い込んじゃう男子って、いるんだよナ・・
と、オカーサン(ワタシです)はアーアと思いましたね。

このあたり、男子(といいますかオバカ男子)と女子の間には、深くて暗い川が、ある。

うちにも12歳のオバカ男子が控えておりますから、同じことやりかねないと肝が冷えて仕方ないです。


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ムスメが大親友のために用意したプレゼント、運動靴を買った時にとっておいた箱の流用です。中身は手作りのアクセサリーなど、マ、大したものじゃないんですが。

前菜は、胡麻油と乾燥エシャロットをふったさいの目切りビーツ(赤かぶ)のサラダ
主菜は、牛挽き肉ステーキ、ねじりマカロニのペストソース和え、モロッコいんげん塩茹で


立ち呑み日記・映画マラソン [ワルガキ]

お昼、映画館の出口前で14歳のムスメを待っていると、魔法学校の生徒風に身を包んだ少年少女が、一人また一人と黒いローブひるがえして弾丸のごとく飛び出して来ます。

その感じはもう映画館でなく本物の魔法学校。

急いでいるのは、ほんの1時間の昼休みにファストフードの行列を避けるためでありましょう。

「飲食物持ち込み厳禁で、入り口の荷物検査で没収されるンだってよ」
と、ムスメも梅干しオニギリのお弁当をあきらめたぐらいです。

中で買わせようというわけね、と、鼻白みましたが、このテの映画祭では盛り上がりが過ぎての飲食物投げ合いから椅子じゅうたんが使用不能に陥るのを懸念してではないでしょうか。

ただ今、グラン・レックスという大型映画館で映画「ハリー・ポッター」全8作を2日がかりで上映する「ハリー・ポッター・マラソン」2日目で、第5作『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』まで来たところです。

午前11時上映開始、途中昼夕1時間の食事休憩があり23時半まで、という2日間。

11時に着いても3階席のはずれしか残ってない、という情報を仕入れたムスメを半信半疑で早朝の7時(!)に映画館へおくりとどけてみれば、なんとまあ魔法使いたちの行列がすでに長く伸びていました。

8月後半に宣伝告知が出て、チケット売り出しの二日目にして完売だったそうな。

そのころは夏休みの一時帰省で日本だったのでハリー・ポッター大好きなムスメは完全に出遅れ、身をよじってくやしがりながらインターネットを駆使してチケット転売者を探していたようでした。

「詐欺にひっかかったらどうしますッ」
と、心配しましたが、幸い身元確かな譲渡主を見つけ、級友に立ち会ってもらい正価で交換してきました。

「ハリー・ポッター・マラソン」は、ふつうの映画鑑賞ではなく、画面のシーンに声を張り上げたり、ともに歌ったりして楽しみます。

「こんなに観客が騒ぐ映画鑑賞ってはじめて」
とは初日終えたムスメの感想で、かくいう当人の声もガラガラです。

悪役登場には場内ゆるがすブーイング。ラブラブシーンではひやかしの盛んなピーピー。

浅草の映画館だったか、クレイジーキャッツや若大将のシリーズのオールナイト上映で、画面とともに歌ったり踊ったりするイベントが開かれていたものでしたが。

パリでは、「ロッキー・ホラー・ショー」という映画が毎週末に同様の盛り上で知られ、今年で30周年だそうです。

こういう映画のたのしみ方もいいですよネ。

観衆の大半はハリー・ポッターとともに成長した二十代前半で、14歳のムスメは下っ端の部類、とはいえ親に連れられた小学生もいたようです。

で、なぜその昼休みにオカーサン(ワタシです)が来たかといいますと、ムスメの片目のコンタクト(使い捨て)が上映直前に
「痛くてはずしたら失くしちゃった、一生のお願い持って来て」
と、懇願されたから。

代えを持って行かないほうが悪いでしょッ、
と、電話口でオコったものの、マ、仕方ない・・

・・と、待つうちに、ホグワーツ魔法学校スリザリン寮生の(扮装した)ムスメが他の生徒に混じって出て来ました。


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晴れてうれしいなあ・・と、パチリ。でもここのところすぐ曇って雨が降ります。

前菜は、トマトサラダ
主菜は、牛(フォーフィレ)ステーキ、いんげん塩茹で、残り肉とともにじゃがいものニンニン風味赤ワイン煮、グリーンサラダ




立ち呑み日記・次のバカンス [ワルガキ]

夏のバカンスも幕を閉じ、いよいよ新学期です。

一時帰省していた日本の実家の地区では8月24日あたりでもう学校が始まっているようでしたが。

フランスは9月はじまりで学年が改まるので、朝の登校時間近くに窓を開けたら、不安と期待を背中にしょいこんだ新入生がさらにもっと不安と期待をしょいこんでる感じの親御さんと連れ立って学校に向かう姿を見かけましたヨ。

うちも、去年は11歳のムスコが中学新入学でした(フランスの学制は日本の6・3・3年制と異なり5・4・3年制です)。

蜂の巣をつついたような校庭ににわかづくりの掲示板が出て、生徒と親で何百人がワッと群がるというのに、組分け告知はA4の紙一枚ポッチリ。

遠巻きにしていては仕方ないので、多くのオトーサカオカーサンがスマホで拡大して確認しようとつとめました。

「プライバシー保護上、スマホは向けないでくださいッ」
と、掲示板の横に立ちはだかる係員から厳しい一声。

しかしまあ中学の新一年生(日本なら小学5年生の2学期)はすばしっこいですから、掲示版の前に壁をなす大人たちをすりぬけ、自分の組に同じ小学校からの友だちがいっしょかどうか、素早く見極めているようでした。

あれから一年。バカムスコの学年は午後からなので、午前中はまだ夏休み期間とおぼしめし、惰眠を貪っています。

オカーサン(ワタシです)もまた、朝はいつも通に起きるには起きましたけど、過ぎ去っていくバカンスに未練たっぷり。

アーせわしい毎日ヤだナー・・
アー早く次の学期休みにならないかナー・・

・・と、やる気まったくなくパソコンの前でぐずぐずしていたら、『ル・モンド』電子版にたいへんな剣幕の記事を見つけました。

「次のバカンス期間に誰もが不満」

9月の新学期から2か月弱のところで二週間の秋休みがあるんですが、今年度のそれは例年のように週末始まりでなく週の真ん中から始まり真ん中で終わるらしいんですね。

「実に由々しきことである」
と、保護者団体も旅行業界も強い不満の声を上げている、とのこと。

なぜというに、週の真ん中からでは親たちの休暇がとりにくい。

ことに離婚している家庭だと、我が子とともに生活するローテーションが週末から週末までと家庭裁判所で采配されているので、どちらか片方は一週間丸々のバカンスをともに過ごせないことになる。

旅行業界もまたしかりで、バカンス旅行は
「土曜から次の土曜まで」
というふうに計画を立てるのが通例のところ、これまでのように週末からバカンスが始まるのなら旅行できる週が二つあったところ一つだけとなり、商売上がったりになってしまう・・

(実になげかわしい)
と、ワタシもまたすぐさまスケジュール帳をひっくり返して今年度の休暇をしかと確認しましたね。そうやって日にちをたどっていくと、来年の夏休みまであっという間。

時の過ぎるののなんと早いことか。

それにしても新学期始まりの日に、次のバカンスにもう頭悩ませるンですから、フランス人テのは筋金入りですナ。

はっ。気がつけばワタシもその点すっかりフランス化しちゃいました。


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一時帰国した日本でスカイツリーに行ったら、地下鉄の出口のところでこの表示。なにとぞ今地震と津波が来ませんように・・と、つい祈りました。

前菜は、トマトスープ
主菜は、牛挽き肉ソテー、ねじねじマカロニのペストソース(バジリコ・松の実・オリーブ油の市販品)、いんげんとブロッコリー塩茹で、グリーンサラダ



立ち呑み日記・ポケモンGO [ワルガキ]

「オカーサン、日本語のべんきょう始めるよ」
と、殊勝なことを言い出す11歳のムスコ。

日本語の勉強ねえ・・、
と、日本人のオカーサン(ワタシです)はしぶしぶつき合わされることになります。

「ポケモンGO」、みなさまのまわりではいかがですか?

このゲームは、インターネットの使えるスマホでしか遊べないのだそうな。

「そのどこが日本語の勉強?」
と、首をおかしげでしょうが、ワタシのスマホは日本語で表示されるようになっているんです。

そのオカーサンのスマホを借りて近所へポケモン狩りに行きたい、ついては表示の日本語(主にカタカナのポケモン名)を読まざるを得ないので、そうするとこれは断じて遊びでなく日本語のべんきょうである、ト、バカムスコはかように主張するわけです。

バカンス旅行から戻ってからこのかた、住んでいるパリもすがすがしい快晴の日々が続いているっていうのに靴を履くこともなく終日パソコンの前にはりついてゲーム三昧というのもどうしたものか・・
と、こちらも頭を悩ませていたところなので、外へ出て歩き回るという点では大いに奨励したい気持ちにもなります。

ポケモンGOは、人の集まりそうなところにGPSでポケモンだかポケモンの卵だかが置かれていて、これをゲットしていく、というゲーム(らしいです)。

先日たまたまパリの植物園を横切ったら、若者たちが大挙して座りこみスマホ画面に釘付けになっているさまに魂消(たまげ)ました。

うちの前もポイントのひとつだそうで、スマホの画面をのぞきこむのに下向いた善男善女がいっぱいいます。こういうポイント周辺のカフェは商売繁盛のようです。

でも、どういうものでしょうかネ。

ワタシの旧友の東京都内の実家の敷地内にお稲荷さんの祠(ほこら)があり、見知らぬ人々が入れ代わり立ち代わり立ち入ってスマホ掲げていると思ったら、知らぬ間になんと「ポイント」にされていたそう。

信仰の対象ですゾ。

ポイントを解除する方法が公開されているようですが、迷惑をこうむっている側のほうが手間をかけなければならないのはちょっとどうかとワタシなども思います。

さて、ムスコにつき合って大きいほうの公園に行ってみれば、スマホに頭つっこんだなりで徘徊している少年少女がわんさかいました。

どの子の親もワタシ同様、部屋にこもりっきりの青白い顔でパソコンにはりついているよりは何百倍もマシだからとおくり出したんだろうナァ・・

じっさい、いかにも「おたく」っぽくでーっぷり太った若者たちがイソイソ歩き回っている姿を何人も見かけましたヨ。

この点では大いに奨励してしかるべきのような気もします。

で、考えたんですけど・・

同じように外を歩き回って健康に大いによろしく、ワタシらのような元女のコ現オバサンも夢中になれるゲームって、何かできないもンでしょうかネ。

ポイントごとに韓流スターと出会える、とか。「フィンガー5」などかつて夢中になったスターたちが当時のままに歌ってくれる、とか。

関係者はすぐさま開発にとりかかってほしいです。


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この猫背がポケモン狩りの特徴。

前菜は、メロン
主菜は、鶏ロースト、じゃがいもロースト、いんげん塩茹で


立ち呑み日記・夏休みの予定表 [ワルガキ]

13歳のムスメが、いつになく真剣に机にかじりついている。

成績審査会議もとっくのとうに終わっていて、焦って予習復習するべきものもこれといってないのにと背後からのぞいてみれば、「夏休み予定表」なるものを書いているんですね。

こちらは9月始まりの年度末ですから、まるまる二か月以上、宿題から完全に解放された夏休みです。

それなのになぜ予定表? と、さらに顔を近づけたらわかりました。

スレンダーボディー
という目標を掲げ、毎日運動するつもりだそうです。

その連日のメニューの綿密さといったらスゴいです。

〇月〇日、6時半起床 腹筋200回、スクワット300回、ジャンプしてしゃがんで床に両手ついて足伸ばしてまたジャンプする、というの400回・・

「ジャンプしてしゃがんで・・っていうのはうちの中ではやめてちょうだい」
と、慌てたオカーサン(ワタシです)。

うちの建物は築350年の古色蒼然、ただでさえ水漏れなど諸問題が起こりやすいところ、そんなに暴れられた日には床が抜けちゃいます。

以前、階下の隣人が大音量でハードロックをかけていたら、壁づたいに振動してうちの居間の壁づけ本棚を支えていた釘がゆるみ、ドタリバサバサパサーッと棚がくずれ落ちたことがあるほどなんです。

「じゃ、毎日公園まで走って行くことにする」

この夏運動するから買って買って買ってェ・・
と、さんッざんの示威運動の末、H&Mでビキニの上みたいなスポーツ用ミニTシャツとジョギングパンツを何足か、ムスメは手に入れています。ジョギパンにミニTシャツの艶姿で家の中にこもっていたって仕方ないですからね。

ムスメの夏休み予定表を見ていて、遠―い日の、わが夏休み予定表を思い出しちゃいました。

あのころはわら半紙に青インク(今わら半紙ってまだあるんでしょうかネ)。夏休みに入る二週間ほど前に配られ、宿題や部活や家族旅行などの予定を書きこんで、いったん先生に提出して評価を受けた記憶があります。

「〇〇さんの予定表が素晴らしい」
という先生お墨付き「A+」の成績で教室の掲示コーナーに貼られたのを、ザツでオオザッパ過ぎるわが予定表(「B-」)と見比べ、ため息ついて見とれたもンです。

〇〇さんの予定表は、
「8月1日 算数問題集p21、漢字書き取りp54からp56、日記」
のように、1日にやる分を明快に、隙間なくみっしり書きこんであります。

(でもこれホントのホンットに守れるのかなあ・・)
と、実のところ疑いました。

予定表って、予定立てただけで満足しちゃうテナ側面も、あると思いません?

さて、こちらの中学はいよいよ夏休みに突入です。

ムスメは、6時半起床なんてとォんでもない、お昼すぎまで惰眠むさぼり、目が覚めればすぐさまIPhoneにかぶりつく。

腹筋とスクワットは、気が向いたときにベッドの上で形だけちゃっちゃっとやる。

おニューのジョギパンとミニTは
「パジャマにちょうどいいみたい」

マ、夏休みですしネ。

ムスメの綿密な予定表は、もう使わない今年度のノートやプリント類とともにあっさりゴミ箱行きとなったもようです。


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はっ。写真撮り忘れてたと大急ぎで窓からパチリ。今日はやっと来た夏日で、とおっても暑かったです。

前菜は、すいとん入りカレースープ
主菜は、カワだけ炙(あぶ)った生サーモン、ミニマカロニのゆかり和え、いんげん塩茹で

立ち呑み日記・さらば、先生 [ワルガキ]

「オカーサン、予定変更!」
と、年度末の授業最終日の前日、13歳のムスメが息せき切って学校から帰って来ました(こちらの学校は9月始まりで6月が年度末なんです)。

最終日は教科ごとにジュースやお菓子の持ち寄りパーティーなので、ムスメはレインボーケーキを焼いて持って行くつもりです。

マ、その大方の作業はオカーサン(ワタシです)がやらされるわけですが。

レインボーケーキはここ数年世界中で流行しているらしき重ねスポンジケーキで、「レインボーケーキ」とこう打ちこみ画像検索なさると、世にも毒々しいのがずらららーっとご覧になれます。

生地を六等分ないしは七等分して食紅で彩色したのを順次焼き、クリームチーズを糊にして虹の色の順番に重ねたケーキ。

表面には粘土みたいな市販の白い砂糖ペーストをのばして覆い、カラフルな砂糖ペーストでデコレーションする算段です。

ムスメは、表面に、
「雨の後は必ず晴れる」
という、ムスメ言うところの「ロックな」一文を書くつもりでいました。

今年はセーヌ河が氾濫するほど雨降りましたしね。

ところが前日になって、この立食パーティーの時間であるドイツ語の先生がこの授業をもって定年退職を迎えるという情報を得て来たというわけです。

そこで予定変更し、
「〇〇先生、定年おめでとうございます」
と、文法あぶなっかしいながらドイツ語で書くこととあいなった次第。

先生との別れって、なんだか胸が苦しくなりますネ。

♪さようなら子どもたちよ・・
という、往年のミュージシャン、ピエール・バシュレの「オールヴォア(またお目にかかりましょう)、先生」が不意に脳内で響き渡り、グッときちゃいます。

ピエール・バシュレはホラ、映画「エマニエル夫人」の主題歌のミュージシャン。

同じ別れでも、二度と会えない状況の、「アデュー(さらば)、先生」という歌も、フランスにはありました。

「スターアカデミー」というスター育成のテレビリアリティ番組に出演した生徒一同が集大成で歌った曲で、この番組が終われば先生もまた追い越すべきライバル、感謝をこめながらも「アデュー(さらば)」という、凛とした決別の言葉がきいています。

この歌の流行った2004年は、学生運動に身を投じた団塊世代が定年を迎えた時期で、曲の中で彼らの青春歌「インターナショナル」を想起させる旋律が含まれていのが、これまたグッときちゃいます・・

・・とこうやたらとグッときて、どうせならもっとグッとなっちゃおうと日本の歌を検索してみると、これが意外にも、リタイヤする先生へのはなむけの歌って、「無い」んですヨ。

卒業式でよく歌われるという「ありがとうさようなら」では確かに先生への別れと感謝が3番にありますが、友だち(1番)、教室(2番)との並列です。

これはいったいどうしたことか。

「チップス先生さようなら」
のような話は、日本では生まれないのか。

やっぱりその、万事世知辛い世の中、定年で悠々自適とはいかないからでしょうかネ。

レインボーケーキもまた、日本ではいまひとつ流行ってないみたいです。


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 ひゃー、壁の修理中。命綱はついているみたいです。

ピエール・バシュレ「またお目にかかりましょう、先生」は、これです。
https://www.youtube.com/watch?v=hLltsfvK2bY

スターアカデミーの「さらば、先生」は、こちら。当時ハリー・ポッターブーム真っただ中、ふつうフランスの学校に制服はないんですが、英国風の制服を着くずしています。
https://www.youtube.com/watch?v=TyrZWgkL5Yo


前菜は、ホワイトアスパラ、マヨヨーグルトソース
主菜は、鶏ロースト、じゃがいもロースト、いんげん塩茹で、グリーンサラダ




立ち呑み日記・耳をそろえて [ワルガキ]

「オカーサン、ぼくの理科の教科書どこやった?」
と、そのへんをひっかきまわしながら、オカーサンのせいで失くなったかのような口吻(こうふん)で、11歳のムスコ。

「知りません」

家族というのは探しものがすぐに出てこない場合、
「オカーサンが片付けたからだ」
という言い逃れをまずしますナ(子どものワタシもそうだった)。

この日はフランス人のオトーサン(ワタシのオットです)も、大分前に仕事で制作したビデオテープを
「こないだまでそのへんにあった、はずなのに、誰かがどこかへ片付けた」
と、不意に言い出しました。

そのへんってどこよ、誰かって誰よ、と、ツマ(ワタシです)の口はどうしたって尖らずにいられません。
「そんなに大切ならちゃんと自分でしまっといたらどう?」

さて、ムスコの教科書です。

こちらはただ今年度末で、ことにワルガキ二匹の通う中学などはバカロレア(大学入学資格試験)の試験会場に使われるため、早々と夏休みに入ります。

今週はいよいよその秒読みで、一年間使った教科書を学校に返却することになってるんです。

フランスの小中学では教科書は学校から貸与されるもので、表紙の裏に代々の一年間所有者の名前が書かれたカードが貼ってあり、9月の新学期にまずここへクラスと名前を記します。

(憧れのセンパイが使ったのに当たりますように)
と、日本の中学生だったら胸ときめかしそうですが、フランスの生徒はどうでしょうかネ。

カードに男子の名前が多い教科書は、なかなか手荒に扱われて来た気がしないでもないです。

年度の初日に、手垢しみついてニオイ立つような一式ごっそり抱えて来ると、どのオカーサンも以前の透明カバーをはがし、新しいのにつけかえる作業を余儀なくされます。借りものですし大切に扱わないとなりませんからね。

そして一年。

教科書は回収され、次の9月になればまた新しい一年間所有者が表紙裏のカードに自分の名前を書きこみ、そのオカーサンが透明カバーをつけかえる、というわけです。

教科書返却日は学年によってこの日と決められ、
「貸与時と同様の状態で」
「CD付きの場合、破損なきよう所定の位置に付けて」
「一冊たりッとも欠くことなく」
持って行くことになっています。

教科書を返却すれば、さながら武士の廃刀令に同じく、もう真剣勝負(勉強)したくともできない。

最終日の授業までちゃんと予習復習したかったなあ・・
と、ムスコは心にもないことを言い放ち、実に晴れ晴れした顔をしたものです。

ところが、前夜になって理科の教科書だけどうッしても見つからない。理科の授業は先生が独自のすすめ方をなさり、教科書は一度も学校へ持って行ったことがないんです。

ということは、家のどこかにある。

机を探し本棚を探し、ソファに腹ばいで宿題をやったところからソファの上掛けをはいで探しても、ないッ。

いよいよ泣きべそに限りなく近づき、床に落ちて折り重なったクッションをやけのやんぱちでパンッと蹴り上げたら、
「あった」

いくらなんでも蹴りつけるものではありませんッ、
と、こちらも鹿爪らしくやりましたが、とりあえずホッとしました。


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アメリカ・オーランドの凄惨なテロをうけ、パリ市庁舎に追悼のリボンとアメリカ国旗(小さくてわかりづらいけど見えるかナ)が掲げられています。

前菜は、ホワイトアスパラ(初物です)
主菜は、鯛のそぎ身ムニエル、チキンライス、じゃがいもピューレ、モロッコいんげん塩茹で

立ち呑み日記・ソルフェージュ [ワルガキ]

「オカーサン」
と、晩ごはんの準備にあたふたしていたら、深刻な声、と言うよりもはや涙声で、13歳のムスメ。
「明日ソルフェージユの期末試験なのに書き取りが絶望的」

ソルフェージュというのは日本語に訳せば音楽理論ですが、コンセルヴァトワールで楽器と抱き合わせになっている授業です。

コンセルヴァトワールは地方自治体が母体の公立音楽教室で、登録すれば誰でも音楽やダンスや演劇が習えます。

「のだめ」が通ったのはその親玉の、国立のほうのコンセルヴァトワール、こちらはそうおいそれとは入学できない最高峰。

「地元のコンセルヴァトワール」
と、最高峰と区別するために言ったもりします。

で、その地元のほうのソルフェージュですが、このせいでコンセルヴァトワールは敬遠という子どもが多いのもまた事実。

ドとレの間は1度である、なんてことを、楽器にまだ触ったこともない子が机上でめんめんとやらされるわけですからね。

楽器の練習はたのしくても、いつ果てるともなくソルフェージュが覆いかぶさってくる。しかも試験も落第も成績表あり、二度落第しちゃうと永久退学、というなかなか厳しいことをつきつけられます。

まな板の鯉になっているムスメがふるふるおびえる「書き取り」というのは、ソルフェージュの授業の中でもムスメがもっともニガテとする「聴音」です。

ワタシもピアノをならっていた子どもの頃やらされましたヨ。先生が短いメロディーを弾いたところでノートに音符を書き連ねていく。

いちいち音符を黒く塗りつぶしていると次の音が聞けなくなるので音符の玉は斜め線でいい、なんてコツも習いました・・

・・とこう言うと音大受験生並みみたいですけど、ワタシはバイエルですぐさま挫折したクチなのでうんと簡単な聴音です。

今回の試験は、テープ(というか今はパソコンですネ)から流れる音のつながりを聞いて、手元に配られた穴あきの楽譜に音符を書きこむものだそう。

シャープ、フラットもあるので、耳の練習を付け焼刃で
「オカーサンおねがい、手伝って」
というわけです。

授業では先生がピアノで、ドならドとまず明示してポーンと弾き、それを基点に短いメロディーが始まるのだそう。

ヤマハの小さいキーボードを持ち出し、ド・ミ・ソ・ドー、ぐらいの短い音を弾いてみます。

それがまあアキレるほど出来ない。ふだんいつでもどこでもデタラメ英語を駆使してヒットチャートの歌をあれだけ調子よく歌ってるっていうのに、どうしてなんだか。

ムスメはハープを選択しているので、ピアノの音には慣れていないから、かも、しれない。

「音と楽譜がむすびつかない子って、いるものよ」
と、オカーサン仲間の一人が言っていましたが。

その彼女も子どもの頃いやいやソルフェージュの授業に通い、聴音のときはさされないよう身を縮めていたそうです。

さて、公開処刑でも受けるごとくうちふるえてソルフェージュの試験に出向いた当日。ムスメは実に晴れ晴れとした顔で帰って来ました。

全問正解とはいかないにしても、あてずっぽうの回答がみごと的中して落第は免れたんだそうです。


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この土曜日の宵からサッカー・ヨーロッパリーグが始まるもよう。カフェもかきいれどきです。

前菜は、メロン
主菜は、七面鳥ささ身ソテー、カレーライス、いんげん塩茹で、グリーンサラダ

立ち呑み日記・毎朝滝クリ [ワルガキ]

近眼の13歳のムスメのかねてからの念願を受け入れ、ついにコンタクトレンズをみとめることとあいなりました。

ムスメはこれまでに携帯電話など高価なものを不注意により紛失しており、
「持ち物の管理ができない人にコンタクトレンズなど使えますかッ」
と、これまでに何度ぴしゃりとやってきたことか。

でも、思い起こせば、ワタシも中学に上がるなり級友にコンタクトのコが何人もいたんです。メガネに縁のないワタシには別世界の、大人の持ち物にうつりましね。

休み時間に級友が目からとってまたはめるのを、固唾(かたず)をのんで見守りました。

手のひらのくぼみに蒸留水を数滴落とし人差し指の腹で小さく透明なレンズを丹念に洗うさまなど、
(大人っぽいしぐさだなあ・・)
と、憧憬したものです。

級友は一瞬にして瞳にパカっとはめました。

「高価なものだから絶ッ対になくしちゃいけないの」
と、よく見えるようになった目をパチパチして、自分自身に言い聞かせるように言っていた声が耳によみがえります。

ムスメもその年齢に達したわけです。

老眼以外のメガネに無縁のオカーサン(ワタシです)はコンタクトレンズの入手法に明るくなく、とりあえず眼科に連れて行って処方箋をもらい、紹介されたメガネ屋さんに行きました。

そのメガネ屋さんは懇切丁寧につけ方をおしえてくださる、とのこと。ムスメの期待と不安の高まるまいことか。

片方の手で眉毛のほうから上まぶたを上げ、利き腕の中指でアカンベーしたところへすかさず人差し指でパカッとさしこむ、というのを、何度もシュミレーションします。

ところがムスメは瞳がどうっしても閉じちゃう。

「そうじゃなくてこう」
と、お店の方はご自分の眼球を生々しくむき出してお手本を見せてくださいます。

よく、コンタクトレンズをつけたまま眠ってレンズが眼球の反対側にまわっちゃった、なんてオソロシいハナシを耳にしますが、あれはハナシ半分で、たいていは瞳からそう遠くないまぶたの内側の白目に貼りついているものだそうです。

ムスメはふとした拍子に片目だけ成功。
メガネなしでこんなにくっきり見える、と、片目であたりを見回して大感動です。

とはいえ、片目だけではどうにもならず、お試し用を家に持ち帰って練習することになりました。しかし、鏡をニラみつけてアッカンベーしているまぶたがどうがんばっても閉じ加減になる。

こういうとき、最近の子はyoutubeで研究するものなんですネ。コンタクトレンズのつけ方を解説している映像がいくつもあり、これらをじーと見ていたようでした。

そのひとつを採用し、まず鏡に向かって斜めに座わりました。その斜めっぷりといったら、滝クリもかくや。

で、鏡に写っている白目のところにペタっとやり(白目のところだとなぜかちっともこわくないんだそう)、しかるのちに鏡の一点を凝視しながらすうっと正面を向くとアラ不思議、コンタクトレンズはしぜーんとずれて瞳の上におさまる。

コンタクトレンズになったら、体育の時間にメガネを気にしいしい身体を動かさないとならないわずらわしさから完全解放されたそうです。


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日本でも報道されたようですが、セーヌ河の水かさがまだまだ増すようです。1982年以来だそうです。

前菜は、トマトとオイルサーディンのサラダ
主菜は、鶏ロースト、じゃがいもロースト、いんげん塩茹で゛
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