立ち呑み日記・追いオリーブ [おでかけ]

ただ今ポルトガルにおりましてスペイン時間でバカンス暮らしの真っ最中ですが(前回の立ち呑み日記をご高覧くださいませ)、一同の中のスペイン勢の、オリーブオイルの使いっぷりといったらないです。

何にでもじゃぶじゃぶやる(じゃぶじゃぶ、ですゾ)。

いつだったか、速水もこみちの「追いオリーブ」がインターネットの俎上に上りましたが、あれッぱかりのたらたらなど子供だましみたいなもンです。

なにしろ初日に買った6リットル入りの「樽」が2週間持ちませんでしたからね。

まずは朝ごはん。

ポルトガルのこのあたりのパンは、外側が分厚くずんぐりした田舎風パンです。ガチガチの外側へ苦心してパン切りナイフを入れ薄切りにすると、これをトースターで焼く。

キツネ色に熱いところを賞味するというより、冷め加減にして表面をガサガサに保ちます。このガサガサをおろし金にして、ニンニクをみっしりなすりつける。


そこへ上からオリーブオイルを蛇行させながらビャーっ。それはもう遠慮仮借ないビャーっ、です。

しかるのちにトマトをうすーくうすーく切って載せ、塩パラパラ(好みで胡椒ガリガリ)、で、かぶりつくわけです。しかも一枚といわず何枚も何枚も。

やってみるとやめられない止まらない、やみつきになっちゃいました。

オリーブオイルとニンニクのあいまったところへトマトの清々しさが加わった風味が、見上げるとくっきりした青空とぴったりの相性。

フランスで、去年までも同じメンバーでバカンスをともにしてきましたが、誰ひとりこの食べ方してませんでした。

「そりゃそうよ」
と、スペイン勢を代表して、フランソワーズの息子のツマでアンダルシアっ子のアナ。
「フランス行ったらバターたっぷりぬったパンとクロワッサン食べなきゃ」

本国ポルトガル人は朝何食べてるのか。

調べたところによると、寝起きはこれといって食べずお腹の空いてくる10時ごろカフェでコーヒーと小さなサンドイッチなど軽食を食べるのが一般的だそうです。カフェは、ワタシらが滞在している小村にも5、6軒はあります。

さてオリーブオイル、焼き魚にも肉にも、お皿にとった白飯なんかにも、どんどこかけまわしちゃう。

フランスにはオリーブ油のほかに落花生油、ヒマワリ油などもよく使われますが、こちらのスーパーを覗くとオリーブ油優勢のようでした(あるいはワタシらが見つけられなかっただけかも)。

オリーブオイルは、一番搾り、搾ったのを精製したもの、その混合など種類がいろいろで、ワタシが一番安いのを右から左へカゴにとろうとしたら、
「これは混合だから風味が大人し過ぎるワ」
と、スペイン語と似ているポルトガル語のラベルを読み上げながらアナに注意されました。

一番搾りが最上等というわけでもなく、あくまで好みの問題だそうです。

ポルトガル人はオリーブオイルでどんな料理をするんだか。せっかく本国にいるのに不明のまま、西・仏・日の混合料理を毎日賞味しております。

おしょうゆは、卓上サイズのものがスーパーに普通に並んでいます。


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大西洋の水は冷たいです。

前菜は、ガスパッチョ
主菜は、チョリソとレンズマメの煮込み、グリーンサラダ

立ち呑み日記・スペイン時間 [おでかけ]

1日って朝・昼・晩という分け方だけではないのだなあ・・
と、ヒルネから目覚めた18時過ぎ、アクビしながらつくづく思いましたね。

ただ今、ポルトガルの首都リスボンから南に200キロほど離れた大西洋寄りの小村に、三所帯で一軒家を借り受けてバカンスにいそしんでいる真っ最中です。

構成員は、古い友人のフランソワーズとその連れ合い、スペインから合流したフランソワーズの息子一家、それにうちら家族。

ポルトガルなのに、スペイン時間で生活しております。

朝は9時過ぎにゆっくり起きる(ここはまあ万国共通の休日モード)。昼食が一日の正餐で、14時半ごろから。たっぷり食べ、のみ、そしてヒルネです。

ヒルネ(シエスタ)は、スペインでは気温が50度までも上昇する夏など不可欠で、
「一日に夜が二回あると思って」
とは、フランソワーズの息子オリヴィエのツマでセビリヤっ子のアナ。

ポルトガルの、今われわれのいる村はそこまでの猛暑でなく日中せいぜい30度ですが、ヒルザケはまわりますし、スペインの習慣を踏襲することにしました。

ポルトガルは本来、日本やフランスと同じく昼食は12時から13時ごろ、夜は19時から20時ごろにはじまるもののようですが。

今われわれがいる村は、端から端まで歩いて10分もかからないくらいの小ささで、どことなく昭和30年代までの日本のような趣にあふれているんですヨ。

池波正太郎の随筆に、かつての日本にはひとつの町内に、蕎麦屋があり八百屋や魚屋や金物屋などの商店があって自分の町から一歩も出ることなく生活が営めた、という記述がありましたが、まさにそれ。

鄙びた村に食料品店がありパン屋があり肉屋魚屋八百屋があり、床屋やネイルサロンまでも、ある。

こんな田舎にまあと驚きましたが、中国人経営による安売り雑貨屋まであり、カフェにいたっては数軒もあります。

車の往来がほとんどなく外部から来る人もめったにいそうもないのによく経営が成り立つものだと感心せずにいられません。

角ごとにベンチが置かれ、老人たちがのんびりおしゃべりに興じている。

「ボンディーヤ(こんにちは)」
と、外国人(ワタシです)にも声をかけてくださいます。

ポルトガル人は概して小柄で、老爺の多くは森から切り出したとおぼしき、自分の背丈より高い杖をついているのがゆかしいです。

含羞というのか、ポルトガル人ってつつましやかで、人々が醸す雰囲気が日本人と似てるんですヨ。

「そう、隣国なのにまるで違うの」
とは、セビリヤっ子のアナ。

スペインとポルトガルはソリが合わないというより、隣国を存在しないものとみなすほどお互い無関心なんだそうな。

大航海時代など歴史をともにする双生児、それもお互いソッポを向いた、背中合わせにくっついたシャム双生児、と、譬(たと)えられているそうです。

さて、ポルトガルのスペイン時間で、ヒルネから覚めた18時過ぎ、車で20分ほどの海へ繰り出すことになりました。

大西洋は水が冷たいので泳げず、足をつけるだけ。

西日となる20時ごろまで砂浜でのんびりして、帰ってから晩ごはんは22時過ぎからになります。


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村の魚屋へイワシを買いに行く途中にパチリ。

前菜は、トマトサラダ
主菜は、イワシの網焼き、ニンニク風味モロッコいんげん、白飯(ショーユをかけまわして食べる)

立ち呑み日記・格安便 [おでかけ]

「け、欠航?!」
と、大荷物を引いて汗ふきふきやって来たオルリー空港で、出発便掲示板を見上げ家族一同どよめくまいことか。

ただ今より待ちに待ったバカンスで、ポルトガルへ行くところなんです。

毎年夏は、スペイン国境に近い寒村の、ふるい友人フランソワーズの家に居候を決めこんでいたんですが、相続のあれやこれやで、ついにフランソワーズは先祖代々の家を手放したんですね。

そこで、スペイン在のフランソワーズの息子一家ともども、物価の安いポルトガルに短期貸しの一軒家を見つけて集合することになった次第です。

物件探しと交渉は、仏・西・英語堪能なフランソワーズの息子オリヴィエが請け負ってくれました。寝室が7つだか8つだかある、プール付きの大きな家。が、賃料は三世帯で割れば、ちっとも高くないんですヨ。

飛行機も格安便が見つかりました。

オリヴィエ一家はセヴィリヤから、フランソワーズはともに住む地中海沿岸の彼氏の家から、それぞれ車でやって来ます。

国境を二つ越えて運転して来るフランソワーズたちはまだしも、セヴィリヤからポルトガルは目と鼻の先だそうな。

午前中ゆっくり出発して、子どもが小さいところからひんぱんにトイレ休憩し、夕刻にはリスボンから南に200キロの小村サオ・ルイに到着。

その翌日にわれわれ一家が空路で着き、リスボンの空港までオリヴィエが迎えに来てくれる算段です。

それが、勇躍出発とやってきたパリの空港で、どう目をこすって確認しても、「欠航」の文字。

「どういうことよ」
と、こういう時って腹の底から野太い声が出るもンですナ。

おっとりがたなでインフォメーションに詰め寄ると、
「目の前のこの列に並んでください」

それはもう目に入るだに卒倒しそうになるほどの大行列。漏れ聞こえてきたところによると、リスボン行きと同じくバルセロナ行きも欠航なんだそうな。

「なぜッ」
と、通りがかりの係員にすがれば、
「コンピューターの不手際です」

「明日の仕事のアポどうしてくれるッ」
と、くってかかっている人がたくさんいます。

リスボン行きは各社から何便も出ているものの、格安のこの航空会社はどことも連携していないので、
「明日以降に振り替えとなります」
と、にべもなく答えはひとつ。

弊社としましては誠心誠意、本日の宿とお食事を無料でご用意させていただきます、
と、係員が総出で両手をメガホンにして告げるうちに、大行列に蔓延していたイライラガミガミも静まって行ったようでした。

うちは帰れないこともないものの、往復のタクシー代と、エレベーター無しの最上階まで大荷物を今一度上げないとならないことをかんがみて、無料のご用意にあずかることにしました。

宿は空港近くの感じのいいビジネスホテル、Wifiつなぎ放題で、うちの二匹は現金なまでの小躍りぶり。ただ、お食事は同じ境遇の一同が別室に集められ、学食と見まごう、ややトホホな晩餐でした。

格安便も、一長一短ですネ。

翌日、飛行機はちゃんと安全に運行しましたが、到着の段で、着陸路を使える優先順位が低いらしく、リスボン上空をぐるぐるぐるぐる旋回しました。


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そしてこうなりました。手前右にプールがあります。

前菜は、ガスパッチョ
主菜は、ソーセージの網焼き、じゃがいもピューレ、グリーンサラダ


立ち呑み日記・ギターケース [困った!]

「フランス人のテキトーさ加減といったらいやはや」
と、自分もフランス人ながら、うちの11歳のムスコのギターの先生でもある友人のあきれかえるまいことか。

友人の目の前には、バカンスにムスコの初心者用クラシックギターを携行するのに、オカーサン(ワタシです)が楽器量販店の店員さんにすすめられるまま買った、ハードタイプのギターケースがあります。

「これはフォークギター、それもより大きなアメリカンフォーク用じゃないかッ」

クラシックギター用ケースを切らしていたなら店員さんはそうちゃんと告げるべきだったし、そうでなければただのギター無知の給料泥棒かッ、と、友人はあきれかえります。

ほんのちょっと大きいようだな、
と、店員さんはムスコのと同じヤマハの初心者用クラシックギターを容(い)れてみながら独りごちていたのをワタシも耳にはさみました。

ギターに疎いワタシといえば、ケースにクラシック用やフォーク用があるとはついぞ知りませんでした。

「隙間にTシャツ詰めたらどうかしら」
と、バカンスの荷物の多いところでこちらもふとつぶやいたら、店員さんは大いに奨励してくれたんです。

「靴を買う場合を考えてごらんよ」
と、友人はため息ひとつついてから声が裏返りました。

「自分のサイズがMとして、Mを切らしているからとXLを平然と押し付けてくるのって、どうよ」

靴に足を合わせろと言われたら、マ、鼻白み、当然ながらお財布開かないでしょうナ。ギターケースとて同じことと言います。

心優しい友人は、このギターケースを押し付けた楽器量販店へ、交換についてきてくれることになりました。

クラシックギター用ストックが切れているというならバカンスの間ぐらい自分の古いのを貸してあげるからちゃんと返金してもらえと強くすすめます。

大きなギターケース抱え、対価奪還への鼻息荒く店へと乗りこみましたが、実にあっけなく、かつにこやかに事が運びました。

領収書に打ちこまれた品番が、そもそもクラシックギター用ケースになっていたんです。

「最後のひとつでしたよ」
と、地下倉庫から商品抱えて駆け上って来た、先日とは異なる店員さん。

念のためムスコのギターと同じものを容(い)れて確認したい、と、たのむと、友人は天井からずらりとぶらさがったあまたあるギターの中から瞬時に見分け、
「これだよ」
と指さすんですから、プロの目とはスゴいものです。

帰りの地下鉄ホームで、ワタシが提げたギターケースの何倍も大きなコントラバスをケースで引いている青年と行き会いました。

近くに国立音楽学校があるんですヨ。

友人は手ぶらなのに、ミュージシャンどうしって同じニオイがするんでしょうネ、二人は微笑み合いました。青年はコントラバスを初めて5年、ジャズ専攻だそうな。

二人のミュージシャンは連絡先の交換をしたようでした。

さて、ギターケースを提げて家に戻ってみれば、バカムスコは夏休みをいいことにパソコンゲームに没頭中。

「映画じゃ機関銃が入ってるやつだ」
と、オカーサン(ワタシです)の手のものをチラと見て言いました。

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バカンスにたつ前日、所用あってパッシーというお屋敷街に行きました。

前菜は、ニンジン千切りサラダ、ハム、ミックスベジタブルのマヨ和え
主菜は、ブッフブルギニヨン(牛肉赤ワイン煮)、グリンピースご飯、蒸したカリフラワーとブロッコリー



夏季休暇のお知らせ

いつも立ち呑み日記にお立ち寄りくださりありがとうございます。

こちらは夏休みに入り、インターネットの入らないところへバカンスででかけることになりました。カフェなどワイファイがはいるところが見つかり次第、更新いたします。

みなさまもよき7月をお過ごしくださいませ。

ぐちぐち

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