立ち呑み日記・格安便 [おでかけ]

「け、欠航?!」
と、大荷物を引いて汗ふきふきやって来たオルリー空港で、出発便掲示板を見上げ家族一同どよめくまいことか。

ただ今より待ちに待ったバカンスで、ポルトガルへ行くところなんです。

毎年夏は、スペイン国境に近い寒村の、ふるい友人フランソワーズの家に居候を決めこんでいたんですが、相続のあれやこれやで、ついにフランソワーズは先祖代々の家を手放したんですね。

そこで、スペイン在のフランソワーズの息子一家ともども、物価の安いポルトガルに短期貸しの一軒家を見つけて集合することになった次第です。

物件探しと交渉は、仏・西・英語堪能なフランソワーズの息子オリヴィエが請け負ってくれました。寝室が7つだか8つだかある、プール付きの大きな家。が、賃料は三世帯で割れば、ちっとも高くないんですヨ。

飛行機も格安便が見つかりました。

オリヴィエ一家はセヴィリヤから、フランソワーズはともに住む地中海沿岸の彼氏の家から、それぞれ車でやって来ます。

国境を二つ越えて運転して来るフランソワーズたちはまだしも、セヴィリヤからポルトガルは目と鼻の先だそうな。

午前中ゆっくり出発して、子どもが小さいところからひんぱんにトイレ休憩し、夕刻にはリスボンから南に200キロの小村サオ・ルイに到着。

その翌日にわれわれ一家が空路で着き、リスボンの空港までオリヴィエが迎えに来てくれる算段です。

それが、勇躍出発とやってきたパリの空港で、どう目をこすって確認しても、「欠航」の文字。

「どういうことよ」
と、こういう時って腹の底から野太い声が出るもンですナ。

おっとりがたなでインフォメーションに詰め寄ると、
「目の前のこの列に並んでください」

それはもう目に入るだに卒倒しそうになるほどの大行列。漏れ聞こえてきたところによると、リスボン行きと同じくバルセロナ行きも欠航なんだそうな。

「なぜッ」
と、通りがかりの係員にすがれば、
「コンピューターの不手際です」

「明日の仕事のアポどうしてくれるッ」
と、くってかかっている人がたくさんいます。

リスボン行きは各社から何便も出ているものの、格安のこの航空会社はどことも連携していないので、
「明日以降に振り替えとなります」
と、にべもなく答えはひとつ。

弊社としましては誠心誠意、本日の宿とお食事を無料でご用意させていただきます、
と、係員が総出で両手をメガホンにして告げるうちに、大行列に蔓延していたイライラガミガミも静まって行ったようでした。

うちは帰れないこともないものの、往復のタクシー代と、エレベーター無しの最上階まで大荷物を今一度上げないとならないことをかんがみて、無料のご用意にあずかることにしました。

宿は空港近くの感じのいいビジネスホテル、Wifiつなぎ放題で、うちの二匹は現金なまでの小躍りぶり。ただ、お食事は同じ境遇の一同が別室に集められ、学食と見まごう、ややトホホな晩餐でした。

格安便も、一長一短ですネ。

翌日、飛行機はちゃんと安全に運行しましたが、到着の段で、着陸路を使える優先順位が低いらしく、リスボン上空をぐるぐるぐるぐる旋回しました。


P1000478.JPG
そしてこうなりました。手前右にプールがあります。

前菜は、ガスパッチョ
主菜は、ソーセージの網焼き、じゃがいもピューレ、グリーンサラダ


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