立ち呑み日記・クロマキー [遊び]

緑色布が、どうしても
「どうッしても欲しい」
と、13歳のムスメ。

なにそれ?
と、ムスメの言っている意味がてんでわかりませんから訊ねると、なにしろ反抗期のことで実ににくにくしい侮蔑の表情を鼻に浮かべ、
「オカーサンったら無知もいいとこ」

緑色布は映画やテレビの特撮で背景に用いて人物の映像を切り取り、別の背景と合成するもの、と、こう、歯の矯正器具のせいでいまひとつ発音不明瞭な早口でまくしたてたので、
「あーあれね」と、わかりました。

クロマキー、というのが正式名称で、テレビのお天気予報などでも、この手法で天気図の真ん中に立っているわけです。

そんな専門的なもの、そのへんで売ってるものなんでしょうか。ただの緑色の布なら布屋さんに行けばいいだけですが。

「布屋じゃだめに決まってるでしょ」
と、無闇にイバるムスメ。「撮影道具なのよッ」

ムスメは映画撮影に多大な関心を抱いていて、iPadのアプリで暇さえあればミュージックビデオを作成して遊んでいます。

これがまあ、同じ人物が画面に二人登場したりなど複雑なことが実に簡単に実現できるんですね。

ワタシは学生のころ8ミリ映画制作に熱中しましたが、あのころ知恵を絞りに絞ってフィルム合成したようなことが、今はローティーンがちょちょいのちょいでそれ以上のことまでが出来ちゃうんです。

ムスメは同好の士であるクラスメートのジュリアンくんとデジカメで短編映画を制作するつもりだそう。

してそのシナリオは、
「トップシークレット」で「最終稿の段階」
だそうな。

このテの自主制作の映像がまたYoutubeにざくざくあげられていて、創造心を刺激されるらしいんですね。

ジュリアンくんはお誕生日にカメラの三脚を、ねだりにねだって買ってもらったそうです。いよいよクランクインも間近に迫ったところで、ムスメのほうも必要不可欠な緑のスクリーンを年末行事のプレゼントに
「買って。当然の権利よね」
というわけです。

インターネットで調べたところ、80ユーロ(約1万円)ぐらいからのもよう。

「フナック」という大手量販店に行ってみると、
「うちでは扱ってないんだよなあ・・」
と、パソコン画面で念のため確認してくれた店員さん。

「個人的アドバイスだけどサ」
と、このお若い店員さんはオカーサン(ワタシです)の肩越しにムスメと目を合わせ、パリのバスチーユ界隈にカメラなど撮影関連の店が集まっていること、新品でなく中古の店を狙った方がいいこと等、先輩が後輩を導くがごとくおしえてくださいました。

「バスチーユに行ってみる」
と、ムスメは息巻いていたんですが、師走は慌ただしく、ふと気づけば飛行機に乗ってあれよという間に今回は羽田空港に到着し、ただ今わが実家で時差ボケ抱え居候が始まったところ。

ムスメを連れて、ワタシも学生時代、自主映画画製作に熱中していたころ通ったヨドバシカメラ・新宿西口カメラ総合館に行ってみました。

すると、緑色の背景用布はちゃんとありました。

フチに柔軟なスチールがついていて手品のごとく畳めたり広げたりできるタイプ1万円強ナリを、約束通りムスメにおごりました。


ごめんなさい。写真がなぜかうまく入りませぬ。


前菜は、あぶった新潟の油揚げ(厚揚げみたいな油揚げ)、ふきの煮もの
主菜は、すき焼き

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