立ち呑み日記・少年は橋を渡る [ワルガキ]

この9月から、9歳のムスコのなかよし三人組のチェス教室の送迎という大役をおおせつかりました。

チェスはパリの小学校のクラブ活動にもあり、三人組は昨年度トーナメントに出場してみたところから大いに士気あがって学校とは別に習おうということになった次第。

トーナメントの成績は三人ともこれといってぱっとしなかったんですけどネ。

さて、まずノアくんをノアくんのオカーサンからあずかり、次いでオリヴィエくんの住むアパートまで行くんですが、ここまでは特に問題なしです。

少年二人は闊達におしゃべりしながら時に肩を組んだりして、いかにも少年らしい。

日本人のオカーサン(ワタシです)の受難が始まるのは、オリヴィエくんのアパートまであと100メートル、というところから。

少年の一人が不意にたーッと走り出す。

「待てよーッ」
と、もう一人が追いかけるんですが、かけっことなると信号もろくすっぽ見ないで飛び出したりするので、背後を追いながら気が気でないことおびただしいです。

「コラーッ、走らなーいッ」(フランス語で絶叫)

少年二人のどたどたした足音を聞きつけ、オリヴィエくんが転げるように住まいの建物のドアから出てくると、ここからが真剣勝負です。

(フランス版『スタンド・バイ・ミー』って感じだナァ・・)
と、当初の当初は三人並んだ背後からうっとり眺め入ったものですが、そのうっとりはものの一秒で雲散霧消しました。

少年二人と三人とでは大違い。二人きりの、肩を組み合うような熱き友情の感じはなくなり、三人組となるとオレらが天下、粗野で乱暴もいいところ。

品行不良にはまあ目をつぶるにしても、興奮のあまり見境なく車道にはみ出したりと危険この上なく、はらはらのし通しです。

前回の三人は「こじきの真似をしよう」ということになり、道行く見知らぬひとに三本の手をつき出して哀れっぽい声を出してはギャハハハと大騒ぎするので、
「いい加減にしなさいッ」
と、背後から野太い声で一喝も二喝もしました。

今回はノアくんの発案により、ツバとばし。

「よしなさいッ」
と、三喝に四喝。

でも、汚くて下品とはいえ危険よりはうんとましです。

もっとも神経を使うのが、セーヌ河の橋を二つも渡らないとならないところ。欄干に肘を並べ下を行く観光船に向かって中指が六本たつのは、とりあえず大目に見ます。

観光船の甲板を狙ってツバをとばしはじめたのも百歩ゆずりましょう。が、興奮あまってノアくんが跳びはねて欄干から大きく半身を乗り出したので、そのTシャツの首根っこをがしっとつかみ、引き戻しました

「落ちたら死ぬわよッ」

三人ともちょっと止まりなさい、と、ここで仁王立ちとなり、このままでは今後三人いっしょにチェス教室に連れて行けなくなるであろう旨、眉間にシワのよったコワい顔で、こんこんと諭すことになりました。

三人とも、一人ないしは二人のときは聞き分けのいい、良い少年なんですがねえ・・。それが三人よるとこのありさま。

毎回、二本目の橋を渡り終えたところで、
「やれやれ」
と、独り言が日本語でつい出ちゃいます。やれやれ。


P1020694.JPG
歯医者へ行く道すがらパチリ。

前菜は、トマトとおろしエマンタールチーズのサラダ
主菜は、白ワイントマトソースで煮たウサギ肉のベーコン包み、じゃがいもピューレ、いんげん塩茹で

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