立ち呑み日記・ニシオギ [おでかけ]

所要あって東京のなじみのない界隈に出かけ、ハテどう帰ろうとJRの路線図を見たら、はからずもワタシが以前一人暮らしした西荻窪がすぐ近くと気付きました。

久しぶりに歩いてみるかナ、ニシオギ。

西荻窪のことを、住民はニシオギとこう略して呼び、ワシもまた住んでいたころは手慣れたふうを気取ったものでしたが。

住んでいたのはバブル期、ワタシもまた終電過ぎの残業だのタクシーがつかまらないから繁華街で呑みながら待機だの、その領収書もタクシー代も経費でまるまる落とすだの、そういうことにうつつを抜かしていた時代でした。

♪24時間戦えますか・・
と、ほがらかに口ずさんだものですが、
♪24時間戦ったら疲れるから・・
と、世紀もあらたまって久しく、世の中はすっかり変貌しました。

西荻窪は古道具屋が多く趣のある街で、あのころは週末に一週間分の食べ物を八百屋や肉屋に買いに出たりコインランドリーに行ったりすると、
(いい街だなあ・・、住んでみたいなあ・・)
と、しみじみ思ったもンでした。

住んでるくせに住んでみたいとはこれいかに、と、思われるでしょうが、なにしろワタシは二十代で昼に夜に新宿なり銀座なり六本木なりの繁華街をウロウロするばかりで、地元に根付いた生活をしていたわけではありませんでしたからね。

日本の電球は優秀で半永久に切れない、と、信じ込んでいた時代でもありました。

「それはネ、」
と、ひと足先に所帯を持ち子育てが始まった友人に諭されたものでした。
「アナタが住まいにほとんど居ないからヨ」・・

・・そんなこんなを思い出しながら歩いていると、オオオ、かつて買い物したことのある八百屋が、ある。

この店は夜更けまでやっていて有り難かったんですが、値段が高く、新鮮でないのが玉に疵(きず)でした。ただし、二十歳をみっつよっつ過ぎたぐらいでは自炊の素材の良し悪しなどいまひとつ判らない。

クリスマス近い季節の夜更けにこの店でお弁当のおかずにする緑の野菜を買おうかためらっていると、仕事帰りの若い女性が、すっかり黄色くなったブロッコリーに正価をお払いになりました。

「菜の花なんて久しぶり」と、その彼女。

「これ、ブロッコリー」
と、ご主人はお財布を開かせてから嗤(わら)うんですからいやですが、言われた彼女も別段気にもせず、
「どっちにしてもからし和えにはなるワ」
と、黄色いのを胸に抱えて帰って行きました。

その背後から何も買わずそーっと店を出たワタシ。

ワタシは、銭湯の前にあった八百屋の高齢のご主人の、
「んまいよーこれ」というセールストークが好きだったもの
ですが、その八百屋も銭湯も、とっくの昔になくなっています。

地上げ屋跋扈の時代は商店街に隙間がどんどんできましたが、今では瀟洒なマンションが連なり、その一階が店舗になっています。

マンションは瀟洒でも店舗はいずれみごとにニシオギ調で、どこか古ぼけ、肩の力が抜けて気取らない雰囲気がほんとうに素敵です。

「お宅の店こないだテレビに紹介されてたでしょ」
「あら観てくれたァ?」
と、かたわらを通りがかったご婦人がお二方、立ち話をお始めになりました。


P1020527.JPG
銀座でパチリ。

前菜は、トマトサラダ、メロン、茗荷
主菜は、牛肉とピーマンの鉄板焼き、冷やし中華


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