立ち呑み日記・上燗 [食前酒]

パリにひどい寒さがぶり返してきた昨日今日。

骨まで凍み入りながら所用で歩いていたら、矢も楯もたまらず、アレのことしか、考えられなくなりました。ほやほや湯気がたったところをとくとくとくとく・・

熱燗、のみたい。のみたいったら、のみたいッ。

が、日本から持ち帰った紙パックのお酒は、とっくのとっくの昔に全部のんじゃってます。

戸棚の奥にあるのは、後生大事ととってある大吟醸と、何かのお祝い事にとしまいこんだ、金粉入り一升瓶の「大関」、以上。

大吟醸をお燗につけるのは、どうでしょうか。かといって、ただ寒いというだけで自分に金箔をおごるというのもいかがなものか。

そうなると、アジア食材店で常時ホコリをかぶっている紙パックを買って来てとなりますが、いつからあそこにあるのかわからないあれを日本の倍近い値段で買うのも、二の足をふみます。

熱燗、のみたい。のみたいったら、のみたいッ。

考えに考えぬいた末、金箔のほうを開封しちゃおう、と、決心を固めました。とはいえ、そんなお大尽していいのか。

(いいわけない)と、地の声が心の奥底で叫び、(のみたいときがのみごろ)と、天の声が言う。

そこで天と地の折衷で、一升瓶をできるだけそおーっと移動させて金箔を舞い上がらせず、底の方でゆらゆらしているうちに上ずみだけとってお燗することにしました。

ほこりをかぶった一升瓶を、そおーっとそおーっとひっぱり出してみれば、2004年製造、の、文字。

(10年近く前のものなんだし、やっぱり開封してしかるべき)
と、天の声が背中を押してくれます。

とくとくとくとく・・と、口つき耐熱容器にそそぐと、あらまあ、鼈甲(べっこう)色になってる。これを電子レンジでチンするわけですが、ひとくちにお燗といっても、細かい違いがあるものですネ。

日向(ひなた)燗 33度
人肌 37度
ぬる燗 40度
上燗 45度
熱燗 50度
とびきり燗 55度

「とびきり燗より熱いヤマグチ燗で」
と、今生きていたら百歳をかるく越える同居の祖父は、晩酌の燗酒を孫(ワタシです)に電子レンジで準備させ、煮え立つほどに熱―いのを好みました。

草創期の電子レンジだったせいか、一合徳利を2分半も、温めました。

今、うちの電子レンジでそんなことした日には、煮えたぎって全部こぼれちゃいます。

そこでまあ、熱燗もいいけど、台所の立ち呑みですし、上燗といきましょうか。一分弱でいいナ。その間、徳利にお湯を注いで温め、オチョコなんかも、出しておく。

チン! の音を待ちかね、徳利に注ぎ入れ、デワデワ、と、キューッといきました(台所の立ち呑みですがネ)。


PIC_0894.JPG
エルビス・フレスリーの専門店がありました。

前菜は、カブと青リンゴのかつおだし入りサラダ
主菜は、鴨腿肉のコンフィ(脂煮)、レンズマメの煮込み、インゲン塩茹で

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コメント 2

式守錦太夫

あー、私も燗酒、のみたい、のみたいったらのみたい!
2004年のは、ちょこっと微妙ですが・・。
by 式守錦太夫 (2013-02-26 16:54) 

ぐちぐち

「古酒」とかって珍重するものでもないんですネ。
by ぐちぐち (2013-02-28 09:36) 

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