立ち呑み日記・ゼリービーンズ [おやつ]

百味ビーンズが
「食べたい、食べたい、食べたい」
と、『ハリー・ポッター』が大好きな11歳のムスメ。

百味ビーンズというのは魔法界のお菓子で 人間界のゼリービーンズと同じですが、ゲロ味だのハナクソ味だのも混じっています。 よくしたもので、ハリーポッターがらみの企画展などで、そのライセンス商品が買えます。

うちも買ったことあるんですヨ。

レモンドロップ味だの青りんご味だのに混じってミミズ味だの腐った卵味だの石鹸味だの、冗談半分が入ってる。

「うげー」となるのも一興。ブラックペッパー味だのベーコン味だのおつまみになりそうなフレーバーも、あります。

ということは、しおから味だの焼き鳥レバー味だのポン酢白子味だのも混ぜるべきでは、と、開発部長さまに進言したくさえなりました。

ただなにしろライセンスもの、お値段が ちょっとあれなのはまぬがれないんですね。

「だから普通のゼリービーンズを売ってる店を検索して見つけた」
と、鼻ピクピクのムスメ。 アメリカ直輸入食料品店がパリ市内にあり、そこで 同じ製造会社のものを扱っているというんです。

ゼリービーンズは英米のお菓子。

フランスの場合「ハリポタ」でなく「ハリボ」というグミが主流で、似てはいるもののゼリービーンズとは趣がやや異なります。

ゼリービーンズ、ワタシもおとしごろの時代は大好きでした。それもそんじょそこらのではなく、「ソニプラ」のそれ。

おっと今ではソニなしの「プラ」でした。

ピナコラーダ味だのブルーハワイ味だの、大人っぽくコジャレたフレーバーがいろいろあり、学校帰りに寄り道してはウキウキ選んだものでした。

たくさんは買えません。ライセンスものではないにしろ、なんといっても「ソニプラ」の外国菓子ですから。

お菓子というよりアクセサリーを選ぶのに近い感覚。今にして思えば味より「夢」を、噛みしめていたんでしょうネ。 めったなことでは行くこと叶わない、北ウイングから飛行機で向かう先の味。

ロンドンから箒(ほうき)で向かう先の味、を、ムスメは求めているわけですが。

ロナルド・レーガン元大統領はゼリービーンズが 大好きだったそうですってネ。 大統領就任パーティーでは大量が消費され、星条旗の色にちなんだ青がなかったため、ブルーベリー味がこの時開発されたのだそうです・・

・・というようなことをウィキペディアで知ったわけですが、横に掲示されている写真にたまげました。

ホテルのビュッフェスタイルの朝食の例として、特大のガラスボールにずっしり満たされおたまが添えられている。

本場では朝からおたまでよそってワシワシ食べるものなんでしょうか。だとすると、何味かなどというのはさほど重要ではなくなります。

レモンドロップ味とミミズ味と焼き鳥レバー味と明太子味とポン酢白子味とピナコラーダ味とブルーハワイ味と
ブルーベリー味を一気にワシっと噛み砕く。

その味は、つまるところ渾然一体の
「ゼリービーンズの味」

試してみたくないこともないナ、と、オカーサン(ワタシです)も思いつつ、ムスメに頼まれるままお店に走りました。


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「あ、結婚撮影だ!」と、橋の欄干から映してみたんですが、なぜだか時代がかった色になっちゃいました。

前菜は、トマトサラダ
主菜は、仔牛ステーキ、茹でたカリフラワーとじゃがいものベシャメルソース



立ち呑み日記・どら焼き [おやつ]

お豆腐を買いにアジア食材店に行ったらどら焼きと
「目が合った」。

ばら売りで1個1ユーロ50(約200円)はチト高いナ、と、合った目をすぐさまそらしましたが、5個入りだと5ユーロ60約(600円)。

でも日本で買ったら300円ぐらいなんでしょ、と、こういう日本の商品って、なんだかにくらしいんですよね。

それにパッケージに日本語があったとしてもアルファベットのところをよく読むとメイドインどこそこ、と、日本以外の国名が書かれていたり、時にする。

このどら焼きも日本国内で流通している商品でないのは一目瞭然で、原材料や製造元などに日本語表記がまるっきりありません。

こないだこの店で買った冷凍の「水戸」納豆が、香りもソッケもなかったので、どうせそんな代物だろうナ、と、5個入りからも目をそらすつもりでした。

が、アンコに栗が入っている、と、謳(うたっ)ているんですね。栗むし羊羹なんかもそうですけど、栗入りとなるとつい身を乗り出しちゃいませんか。

しかもどら焼きのカワの表面に、菊の御紋のような焼き印が入っているんです。叙勲の折など、皇室からどら焼きのご下賜があると聞きますが。

その御用達どら焼きがパリのアジア食材店まで流れ流れてこの棚にある、ワケないですが、生産地不明にしてはなかなか凝った風貌を持つどら焼きです。

日本製、と、パッケージには赤くでかでかと書かれているんですが、ワタシはこれに疑ってかかっています。

なんとなれば、とある国の方からおしえてもらったんですが、この国では日本製品に絶大な人気があるので「日本製」の文字がひときわ大きく印刷されているもので、その実メイドインチャイナであることがままあるんだそうです。

日本でも舶来品をたてまつった明治の時代には「日本舶来品製作会社」なる工場があったと聞きます。

「日本製」のこのどら焼きも、どの国で製造されたものやら。丸京製菓(株)なる、いかにも日本っぽい会社名はあるものの、所在地がまるで書かれていません・・

・・と思ったら、オヤ、すみのほうにアルファベットでTottoriの小さな文字。ということはホントに日本製なのかしらねえ・・と、疑いつつ、かごにとりました。

結果から先に申しますと、丸京製菓(株)は実在する鳥取の会社、どころか、どら焼き生産量日本一の老舗だったんです。

本社のある鳥取県米子市をどら焼きのまちとして活性化させ、米子市市営運動公園の命名権も獲得し、「どらやきドラマチックパーク米子」としているほど。

関係者のみなみなさま、疑ったりいたしまして、たいへんに、たいへんに、失礼いたしました。なにとぞ平にご容赦くださいませ。

丸京製菓(株)は海外進出もはたし、アジアはもとより、2011年のロンドンを皮切りに、パリをはじめヨーロッパ大陸にも上陸。Dorayakiを世界共通語にしよう、と、情熱的に経営を続けておられます。

どら焼きに目がないうちのワルガキ二匹。

5個入り袋をかぎつけさっそく手を伸ばし、フランス人のオトーサン(ワタシのオットです)もデザートでハーブティーを合いの手にぱくついたので、袋はたちまちカラになりました。


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最近できたクリームケーキの店です。とおっても流行ってます。

前菜は、胡麻油をたらしたビーツ(赤かぶ)のサラダ
主菜は、「牛の瞳」(ベーコンで巻いた仔牛細切れ肉)のトマトソース煮、クスクス、いんげん塩茹で

立ち呑み日記・ミルフィーユ [おやつ]

ミルフィーユが
「食べた、い、食べたい、食べたい」
と、11歳のムスメ。

正確には、
「ミルフォゥイユ」
が食べたい、と、フランス語で言っているんですが。

フランス語でミルフィーユだと「千人の娘」。「千枚の葉っぱ」はミルフォゥイユ、ォゥのところが日本人にはなかなかややこしいです。

だからこそ日本に上陸したときにどなた様かがフィーユに置き換えたんだと思います。その慧眼(けいがん)たるやすばらしい。

ミルフォゥイユをそのまま採用していたら、ミルフィーユというお菓子は日本にここまで浸透しなかったのではないでしょうか。

ミルフィーユは後発のお菓子でしたよネ。ワタシら世代がミルフィーユに出会ったのは、昭和50年代。

シュークリーム、ショートケーキ、モンブランが三大洋菓子の時代は、その名を聞いたこともありませんでした。

「その三大洋菓子って誰が決めたの?」
というお声が聞こえてきたようですが、今ワタシが勝手に決めました。

「エクレアとプリンとアップルパイが入ってない」
というお叱りの声も聞こえて来たようなので、ではおそれいりますがおのおのご決定いただけますでしょうか。

それらに加え、メロンの薄切り小片やカンヅメのパインやミカンが生クリームにささったスワンなどが並ぶケーキ屋さんに、ミルフィーユはありませんでした。

東京でいうと、代官山のナントカとか、自由が丘のカントカとか、コジャレのお菓子屋さんに限ってのみ、存在した。

そしてワタシら女子大生(当時、ですぞよ)はそういうコジャレの店のサロン・ド・テへきゃぴきゃぴルンルン繰り出しては、
「これってすごォいおいしィ~」
とかって言いながらケーキセットの小ぶりなミルフィーユにフォークを入れたもンです。

「これまじやばくね?」
と、今の女子学生たちにもミルフィーユは愛されていることと思います(そういや最近、女子大生、って呼びませんネ)。

それにしても今こうして考えてみても、やはりミルフィーユの一人勝ちですね。

コジャレのお菓子屋さんは本格フランス菓子を謳っており、ということはオペラやパリ・ブレストやなんかもあったはず。

「オペラ」は長方形のリキュールがきいたチョコレートケーキ、「パリ・ブレスト」はパリ・ブレスト間の自転車競技を記念して開発されたところから輪っか型のアーモンドクリーム入りシュークリーム。

ミルフィーユ、オペラ、パリ・ブレスト、エクレア、あたりがフランスで最もポピュラーな、パン屋で気軽に買えるケーキです。

が、エクレアはあれとしても、
オペラ、パリ・ブレスト、ミルフィーユ
とこう並べてみても、日本での知名度はミルフィーユがダントツではないですか。しかもエクレアの庶民感覚に対して、ミルフィーユにはコジャレ感がある。

なぜ、ミルフィーユは後発にもかかわらずここまでの地位を獲得したのか。電通が暗躍したのか。

「おいしいから」
と、ムスメ。ではおやつに買ってきましょうかネ。

パン屋のミルフィーユは2ユーロ80(約300円)から。日本のそれの二倍から三倍もの大きさがあります。


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ガラス窓のトナカイの絵、そろそろ消してもいいんじゃないでしょうか。

前菜は、アボカド、レモンで
主菜は、鯖(さば)塩焼き、蒸しじゃがいも、いんげん塩茹で

立ち呑み日記・ウエハース [おやつ]

スーパーのお菓子売り場で、安いウエハースと「目が合った」。そいうや長いこと食べてないナ。

そして気づいたんですが・・

昭和の時代、ウエハースって今なんかよりもっとずっと大切にされてませんでしたか? ビスコ、衛生ポーロと並んでおやつの三大筆頭。

かっぱえびせんだと大人から待ったがかかる場合もあるのにウエハースだと
「安心しておあがんなさい」
テナこと言われ、幼児はにぎらされたものでした。

昭和の大人たちはなぜウエハースを全面的に信頼したのか。

(お菓子の種類が今ほどまでは多くなかったから)
と、正しいところを突かれちゃうと元も子もないんですが。

あと、箱菓子のなかでは量があってもっとも安かった部類なんですよね。

ワタシら子どもは好きだったものです。オカーサン(ワタシらのオカーサンです)もウエハースだと割に簡単に食料品店で買ってくれました。

こういう食料品店が、後のコンビニになっていきます。

ウエハースってwaferと綴る英語なんだそうですってネ。ワッフルや、フランス語のゴーフルと語源が同じだそうです。日本ではウエハーと呼ばれていたところへ複数形の「ス」がつけられるようになった。

このあたり、なかなか不思議です。複数形があいまいな日本語のなかにあって、なぜにウエハーだけは複数の正確を期することになったのか。

だって、ポテトチップなんて一枚でやめられるわけないのに単数形で十二分に通用するじゃないですか。ウエハースだっていくらでもさくさく食べられて一個でやめるのはむずかしいです。

ただし例外もあります。ホラ、デパート最上階のお好み食堂のアイスクリーム、あれには一個しかついて来ない。

あのウエハースはアイスの冷たさで味がわからなくなってくるので中休みにひとかじりして口中を休めるために一個ついて来ると聞きますが。これ、本当なんでしょうか。あるいは、こんにちもなお本当なんでしょうか。

アイスひと玉ぽっちの冷たさで味がわからなくなるなんてこと、もはやないと思うんですヨ。

デパートのお好み食堂の時代はアイスクリームといったらひと玉が当たり前でしたけど、後に「サーティーワン」が上陸し、われわれ日本人もダブルを舐めるのに十分慣れましたからね。

「あ、そ、じゃウエハースはもういらないのネ」
と、だからといってつけてくれなくなっては困ります。

やはり銀の器にスプーンをさすときはあいかわらず釈然としない心持ちでウエハースをつまみあげ、パフリとやりたいです。

このウエハースにはチョコ風味もバニラ風味も味らしい味がなく、「おいしいの?」と聞かれたらエート、と、ひと呼吸置かざるを得ない。

そうやって油断しているうちに上あごにくっついて口中の水分を奪ったりする代物。しかしそれもまた銀の器のアイスの醍醐味・・

・・なんてこと考えながら、安いウエハースをカゴにとろうとしたら、
「それやだ」
と、あろうことか、買い物にくっついて来たワルガキ二匹。

もっとチョコが濃くてお腹にたまるのでないとおやつを食べた気がしないそうです。


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この肉屋の包みの中に本日丸焼きにする鶏が入っております。右奥のやや小さな包みには頭ともみじと手羽先の先。スープをとるのに捨てずにもらってきました。

前菜は、アボカド、レモンで
主菜は、鶏ロースト、じゃがいもロースト、モロッコいんげん塩茹で、グリーンサラダ

立ち呑み日記・ペロティ [おやつ]

ワルガキ二匹がおやつに板チョコをさがして戸だなをゴソゴソしているのを見ながら、つらつら考えた。

ペロティチョコ、って、あったナ。

丸くて大きくて、オセロのこまをぐんと大きくしたように白と黒の面があって、白い面にチョコで漫画が描かれていた。チョコなのにプラスチックの持ち手がついていて、ペロペロ舐めるから、「ペロティ」チョコ。

よーく舐めて白い面の漫画をまずきれいに消してからいよいよかじったものでした。

「10円ちょうだい」
と、当時はお菓子を買うのにそうねだったものですが、10円では買えない値段でした。

でもできたら当代大流行中のペロティチョコを毎日舐め舐めしたい。

そのあたりをわが母はうまあくついて、
「漢字の豆テストが10点満点だったら買ってあげる」
と、言い渡されていたものでした。

漢字の豆テストは毎日のようにありましたから、ちゃんとがんばれば舐めることができました。

そうやって晴れがましくペロペロしていると
「こういう平べったいチョコはいっぺんに口に入れるものさ」
と、同居の、明治生まれの祖父。

いっぺんに口に入れて上あごにくっつけ、知らん顔して時折ペロペロやるものだ、と、言うんですね。

まさかァ、と、当時のワタシも思いましたが、明治時代のひとはそんなことしてチョコレートを遊び食べしたみたいです。

「やってごらん」
と、しきりにすすめるんですが、せっかくのペロティチョコ、持ち手をにぎって消えゆく漫画を確認しながら食べる方が格段にたのしいに決まってます。

漫画には女の子向けと男の子向けがあり、うちの弟など男子は女の子向け漫画のを持って舐めるのをことさらに恥ずかしがったものでした・・

・・と、あれこれ思い出して検索してみたら、ペロティチョコって、なんと今もあるんですネ。それどころか、北海道限定や東京限定などの絵柄で観光みやげとして発展しているみたいなんです。東海地区限定の絵柄など、徳川家康や明智光秀といった戦国武将です。

こういうこみいった絵をペロペロして消すのはけっこうたいへんなのではないでしょうか。それに子どもはあれとして、大人が終始ペロペロするのはなかなか根気がいります。

「ええいめんどうだかじっちゃえ」
と、すぐなりそう。

最近はおいしい本格的なチョコが出回って舌が肥えているし、後生大事とチョコをペロペロする、なんてこと、もうしないのかもしれませんネ。

うちのワルガキ二匹も、ペロペロにはいまひとつ関心がありません。

持ち手のついたキャラクター型のチョコを日本で買ってもらっても、ワタシら世代が狂喜したほどには喜ばないんですよねえ・・

・・とこう「日本で」と書きながら気づきましたが、フランスのスーパーでそういうチョコって売ってないんですヨ。チョコは板チョコが主流。それもどっしりして日本のより味が濃い。

これをパカパカ食べるわけですが、9歳のムスコはバッキリ折った一片をバターをぬったバケットにはさんで塩をぱらっとやったサンドイッチが大、大の大好物です。


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きのう通りかかった時には花などほころびてなかったんですが。一気に春に近づきました。

前菜、残ったパスタとトマトのマヨヨーグルト和えサラダ
主菜は、シュークルート(ソーセージ、酢漬けキャベツ、蒸しじやがいも)、モロッコいんげん塩茹で


立ち呑み日記・クレープの日 [おやつ]

「嘆かわしいわねまったく」
と、パン屋でワタシの前に並んでいた六十がらみのマダムがカウンターの内側に積まれたクレープををにらみつけながら、ぽつり。「クレープ1枚が1.5ユーロ(約200円)もするってどういうことよッ」

原価いくらもかからないのに暴利をむさぼって、と、さんざんにくさしておられます。確かに農業国フランスでは小麦粉も牛乳も卵もバターも格安で、原価はゼロに近い。

今の季節、パン屋でクレープが売られているんですヨ。

屋台のクレープ屋とは異なり目の前で焼き上げるわけでなく、焼き冷ましが山と積まれ、一枚二枚と買って家で温めて食べる。

2月2日が主の迎接祭というカトリックのお祝いで、クレープを食べる日なんです。

主の迎接際はイエスがはじめて教会へ出向いた日のお祝いだそうで、5世紀、時のローマ教皇が巡礼者に
クレープをふるまったところから、フランスではこの日にクレープを食べるならわしになったのだそう。

そこで2月いっぱいは、パン屋でクレープが買えるというわけです。

が、なにもパン屋で買わなくてもいいのになあ、とは、実は以前からワタシも思ってはいたんです。屋台のクレープ屋なら同じ値段で砂糖とシナモンがかかった焼きたてが買える。

しかしそうなると、手渡されたあッつあつをその場でかぶりつかないとしなしなになっちゃう。

それに、砂糖でなくジャムやチョコクリームで食べたい場合はパン屋の1.50ユーロのほうが安く上がります。

ジャムやチョコクリームは戸棚にたいてい食べかけが残っているものですからね。

パン屋のクレープを買っているのはおもに高齢の方々。1人ないしは2人暮らしで、クレープはこの季節に1枚食べたら十分、という雰囲気濃厚に、ハゲッドといっしょに買い求めておられます。

子連れのオトーサンも、せがまれるままに買ってすぐさま食べさせてますね。

オトーサンというのは子どものおやつに対して、菓子パン1個分の小銭があるならスーパーの食パンとチョコペーストを買っておけば何日も食べられる、なんていうふうには考えないものなんですね。

腹持ちからしたらスッポロのクレープ1枚なんかより、同じ値段でチョコチップがたーっぷり入った大きな牛乳パンが買えるっていうのに。

オカーサンはパン屋のクレープには手を出しません。なぜというに、それこそ原価がいくらもかからないのだし、家で作ったら1枚分の値段で何十枚も焼ける。

だからこそ、そんなに作っても食べられない方々は割高を一枚ずつ買うわけです。クレープを粉から1枚だけ焼くというわけにはいかない。卵1個をもとに生地を練ると、薄焼きで20枚ぐらいになります。

それにしてもフランス人はなぜにあそこまでクレープを偏愛するのか。

ホットケーキも嫌いじゃないけど
「クレープのほうが格が上」
などとうちのワルガキ二匹ものみならずフランス人のオトーサン(ワタシのオットです)まで、言い切る。

うちのフランス人三名はわんこクレープとでもいいますか、先をあらそって何枚も何枚も食べます。


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日本はドカ雪と聞きますがこちらパリの子ども遊園地では桜がほころびてました。

前菜は、野菜ポタージュ
主菜は、鯖塩焼き、刻みパセリをふった蒸しじゃがいも、モロッコいんげん塩茹で

立ち呑み日記・ディアボロ [おやつ]

夕刻、学校から帰ってきた11歳のムスメがカバンを置くのもそこそこに、シロップを炭酸水で薄めてごくごく飲んでいる。

フランス人は好きなんですヨ、シロップ割りジュース。シロップは、かき氷にかけるシロップと色といい濃さといいよく似ています。

イチゴ、グレナディン、カシス、ミントなどが定番で、これらをカルピスの要領でコップに1センチほどとり、サイダーないしは炭酸水をじゃーっと注ぐ。

最近はカルピスもカルピスウォーターが主軸ですから、日本ではコンクジュースを知らない方も多いかもしれませんネ。

今日ではジュースといったら果汁100パーセントが当たり前ですが、それ以前はカルピスのほかにもトリスコンクなど希釈して飲む濃縮液がいろいろ出ていたものでした。

そう、「希釈(キシャク)」なんて難しい言葉を子どもも知っていた。

果汁何パーセントなどというのはさして重要ではなく、無果汁と堂々と記されていようが純然たるフルーツジュースとしてあつかいました。

これらのコンクジュースは、砂糖の代わりに添加していたチクロという安価な人工甘味料が人体有害物質であると判明して使用禁止となり、廃れていきました。

今ムスメが飲んでいるのは、真っ赤なグレナディン。

グレナディンはザクロですが、こういうシロップでは「グレナディン色シロップ」とでもいいますか、レモン・フランボワーズ・イチゴなどの混合濃縮甘味液で、カンにもイチゴやフランボワーズの写真がついています。

フランス語でこういうシロップの炭酸割りは、「ディアポロ」といいます。

ムスメが飲んでいるのをフランス式に言うと、ディアポロ・グルナディーヌ。カフェの飲み物メニューにもあり、夏など澄んだ赤も涼しげに、テラスで飲んでいるひとをよく見かけます。

緑は、メロンではなくミント。ディアポロ・マント(ミント)は歯磨きの味で、ムスメに言わせると「うげー」。慣れるとけっこうイケるんですが。

ミントシロップを炭酸でなく、水(ロー)で割ったのが、「万太郎」(と、まさにこう発音)。これも夏のカフェのテラスでよく見かけます。

ミントシロップは食通の友人に言わせると、ウイスキーのロックに、ほんの、ほんッの一滴隠し味にたらすと微妙な甘みと香りがついてとても爽やかになるものだそうです。

あとカフェの飲み物では、イチゴシロップを牛乳で割ったレ・フレーズ、これなんか日本のイチゴ牛乳そのもの。

ただ、以前は昭和の時代のイチゴ牛乳みたいな目にも鮮やかなレ・フレーズを見かけたものですが、最近は万事自然ブームですから、ピンクがややくすんであっさりしている気がします。

ムスメがただいま何杯もおかわりしているシロップにも「着色料無添加!」と、デカデカと書かれています。

オカーサン(ワタシです)もひと口飲んでみようかなあ・・と、ちらっと思いましたが、まあやめときます。オサケが入ってないのならつまンない。あともう少しで食前酒の時間だし。

ビールとサイダーとグレナディンシロップを混ぜた食前酒が、「モナコ」です(ワタシは敬遠。どうせなら普通に生、おねがいします)。


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ただ今バレンタインデーの夕刻。昨日の写真にチラっと写っているケーキと比べていただきたいんですが、これ売れ残っちゃったらどうするんでしょう。

前菜は、トマトサラダ
主菜は、七面鳥ささ身のカツ、じゃがいもソテー、いんげん塩茹で


立ち呑み日記・ヤクルト [おやつ]

ヤクルトが
「飲みたい、飲みたい、飲みたい」
と、さわぐワルガキ二匹。

先日、野暮用あってオカーサン(ワタシです)だけ単身一時帰国したんですが、そのおみやげに
「ヤクルト買って来て」
とまで、たのまれたんです。

なんとなれば、
「パリで買うより安いから」

ヤクルトはフランスのスーパーにも普通に売ってるんですヨ。5本パックで3ユーロ50(約420円)という値段。

ユニクロや無印の製品なんかもそうなんですけど、日本製品を海外で買うのは割高なんじゃないの、と、つい二の足を踏んじゃうんですよねえ・・

そこで二匹は日本から持って来てと言うんですが、近所のスーパーで売っているものを23kgの重量制限のある荷物に詰めてくるというのもどんなものか。

日本のおみやげは結局、ファンタグレープ二本ずつということになりました。

フランスにはファンタオレンジはあってもグレープは存在しないので、日仏両方を知る子どもは
「すごくおいしい飲み物」
として大いに珍重しているみたいです。

さてヤクルトですが、二匹の声を尊重し、スーパーで2パックカゴにとりました。おやつに、朝ごはんにと飲むわけですが・・

一本また一本さらに一本と、二匹は遠慮仮借なくすぐさまおかわりして飲む。

マ、飲むために買って来たのだから別にいいんですが、ワタシが子どものころはヤクルトをそんなふうにパカパカ立て続けに何本もは飲まなかったです。

飲みたくともとっている本数が決まっている都合上、一日一本(キッパリ)。

ヤクルトを、いよいようちもとると決まった時は、うれしかったもンです。幼稚園の、なにちゃんチもかにちゃんチもヤクルトをとっていた。

「ガラスビンからプラスチックになったんだぜ」
「うん、うちも今朝からプラスチックのびんで来たよ」
「上のフタ何色だった?」
なんていう会話を、意味わからず指くわえて聞きました。

ヤクルトは以前は「パンピー」のようなガラス瓶入りで、1968年に今のようなプラスチックになったそうです。

その後、晴れてうちにもヤクルトが二本ずつ、毎朝届けられるようになります。ヤクルト宅配のピークは1972年だったそうで、まさにそのころワタシもヤクルトとは親密な関係でした。わが一本をグーッとあおる晴れがましさ。

ヤクルトの空きびんで夏休みの工作なんかにロケット、つくりませんでした? アポロが月に下り立ったのが1969年、われわれ子どもは工作というとロケットを作ったものでした。

しかし蜜月は長きにわたっては続きませんでした。いつしか冷蔵庫に一本残り、二本残り、家族の誰も手をつけないままだぶつくことになった。

年齢が大きくなるにつれなぜかうとましくなり、いつとるのをやめたのかもわからないまま目の前から消えていきました。

十代に入ると飲み物といったら「カフェオーレ」だの「アメリカン」だの「アイミティー」だのばかりに心奪われ、無常にもヤクルトのヤの字も思い出しませんでした。

それが社会人となり、オフィス街にヤクルトレディがワゴン引いて現れていることを知った驚きと懐かしさ。

今、オフィスでは何が一番人気なんでしょうネ。


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なんだかパリではないみたい。バスチーユの船着き場です。

前菜は、トマトサラダ
主菜は、鶏ロースト、じゃがいもロースト、いんげん塩茹で

立ち呑み日記・鈴豆腐 [おやつ]

日本食材店に行ったら、高いほうのお豆腐と、「目があった」。このお豆腐は「鈴豆腐」という名称で、鈴木さんという方がパリ近郊で製造販売しているものだそうです。

鈴木さんは30年来パリで管理職として勤め上げ、定年を期に日本で数年間豆腐修業をなさり日本人学校のあるパリ近郊の町に拠点を構えて「鈴豆腐」をお起こしになったのだそう。

一丁入魂、とでもいいますか、入念につくられた高級豆腐として在パリ日本人の間で評判です。それだけに、お値段がちょっとあれなのも確か。一丁4ユーロ以上(約560円)します。

「鈴豆腐」の、おからのほうは買ったことあるんですヨ。

1ユーロ50(約210円)でどーっさり。炒りおからにしたり、ハンバーグに混ぜたり、たいそう食べでがありました。

この日も、もしやおからがあるかなと、冷蔵カウンターをのぞいたんですね。するとおからはなく、スターのほうが燦(さん)然と冷えていた。

「目が合った」からには運命に身を任せましょう。おからがエコノミークラスならビジネスクラスへ昇進です。さてどうやって食べよう。

鍋に昆布を敷いて湯豆腐、と、この季節ならみなさまの多くが湯気もうもうをご想像なさることと思います。

ウン、それいいナ。熱燗なんかも欲しいナ。さしつさされつ、なんていう、艶っぽい光景もすぐさま思い浮かびます。

が、フランス人のわがオットに、それは期待できなかった(涙)。鍋の間合いが合わないんです。

オットは無類のスープ男ですから、
(うまい、うまい)
と、昆布だしのつゆを前菜のスープとして深皿によそいどんどんさらっちゃう。

そんなことしたら湯豆腐にならなくなります。

おまけに、肝心の豆腐を
「味がない、歯ごたえがない、オナカイッパイにならない」
と、三悪の権化のごとく毛嫌いする。

オトーサンがそうだからか、ワルガキ二匹もまた豆腐に対してはなはだ邪険な態度に出るんです。二匹は納豆は大好きだっていうのに、どうしてこうなんだか。

日本の子どもは、あそこまで豆腐を嫌わないんじゃないでしょうか。

「わーい今日は湯豆腐だー!」
と、焼肉と同様に欣喜雀々、とはまあならないにしても、ご飯にお豆腐をのっけてくずしながら食べるのは、日本の子どもで嫌いな子はいないようにも思うんですが。

とはいえ日本人でも豆腐を嫌う人は嫌うみたいです。

豆くさい。
嫌う理由の大半は、これ。

そういう方々には、パリのアジア食材店のkinugoshiなぞをすすめてみたいです。ツルンと清々しい食感とともに豆くさいどころか味は透明感いっぱいとでもいいますか、無きががごとし・・

・・それだって十分おいしいんですが、上等の鈴豆腐を、晩ごはんまで待ちきれず皿にあけそのままスプーンですくって食べたら、味の濃厚なこと、たいへんよろしゅうございました。


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地下鉄で買い物に行きました。

前菜は、アーティーチョーク
主菜は、鱒(ます)の塩焼き、レンズ豆煮込み、いんげん塩茹で

立ち呑み日記・丸と四角 [おやつ]

「お歳暮でもらったドイツのお菓子なんだけど」
と、日本の友人から写真付きメールが来ました。「これ知ってる? 食べ慣れるとやみつきになる味なの」

貼付の写真をと見れば、森永エンゼルパイみたいなチョココーティングした丸いお菓子が重なっています。

ハハーンこれはフランス語でいうところの「パン・デピス」。

ワタシもドイツのハンブルグ出身の友人の帰省みやげに丸いこれをいただいたことがあります。かの地ではスーパーなどそこかしこで売られ、気軽に食べられているそうです。

「ジンジャーブレッド」と、英語ではいうそうですが、中世からヨーロッパ各地で作られているお菓子で、ハチミツと丁子やシナモンなど各種香辛料がたっぷり使われています。

風味はホラ、お仏壇に長いことお供えしてあったカステラを下げていただくと、お線香がプーンと焚き染めたにおいがしますよね、まさにその味。

「それっておいしいの?」というお声が聞こえて来たようですが、
「おいしいです」

食べ慣れるとやみつきになる味。

「ひと口めは正直言ってワキの下のニオイかと思った」
と、友人は正直なところを告白してますが。

そのニオイの正体は香辛料のなかのクミンでありましょう。

さてこの丸いドイツのパン・デピスの写真を(おいしそうだナ)と眺めていて気がついたんですが・・

フランスでスーパーなどに出回っているパン・デピスって、四角いんですヨ。カステラみたいな長方形で、一枚ずつ包丁が入ってる。

ベルギーのブリュッセルにも、『地球の歩き方』などにも紹介されているパン・デピスの有名店があるんですが、ここのも棹(さお)です。丸いのだってもちろんあるのでしょうが、ぱっと目につくものは四角いんですね。

ドイツの丸とフランスやベルギーの四角、この違いってどこから来るんでしょうネ。

お正月のお餅もまた、関西は丸、関東は四角。関西人は人との当たり方など全般に「まるこーてやらかい」ものを好むのでおもちも丸い輪(和)になり、うなぎもまたまむしどんぶりが主流なんだそうです。関東は四角いうな重のほうが好まれます。

では丸と四角では、どちらのほうが歴史が古いんでしょうか。

丸、じゃないでしょうかネ。

郵便ポストがまずそうではないですか。丸くずんどうだったのが、1970年代以降、四角い、近代的なデザインになった。

四角くなったことで収納量が3割増したそうで、四角いビルの林立する街並みにもすんなり溶け込みました。

日本では見かけることが少ないですが、マッツォットというユダヤのクラッカーが中欧風は四角く北アフリカ系は丸いんですが、いちど本場イスラエルの全工程手作りのかまど焼きをいただいたら、これが丸かったんですヨ。

めん棒で一枚ずつ手延ばしする都合上、丸くなる。

つまり当初丸かったものが、のし餅を効率よく切って関東風に角が出来ていくように大量生産に向かううちに四角くなっていく、ト、こういう経路ではないでしょうか。

ちなみに、フランスの四角いパン・デピスも慣れるまではワキの下のニオイがします(ってそんなことわざわざ念を押すこともないナ)。


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寒いながら晴れました。

前菜は、ニンジン千切りサラダ、ベルギーチコリのサラダ
主菜は、ほろほろ鶏ロースト、じゃがいもロースト、カリフラワーのトマトソース

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