立ち呑み日記・移動祝祭日 [困った!]

薄皮をはぐように、すこーしずつ日常に戻って来ています。

とはいっても、警察官や迷彩色の軍人が機関銃胸に抱えて警備しているのに出合うなかでの日常ですが。

今日たまたまノートルダム寺院前広場に来たら、鉄パイプの柵で迷路のごとく区切ったところで、重装備の警察官が、それはもう入念に手荷物検査したのち通してましたヨ。

パン屋も肉屋も魚屋もスーパーのレジも、あれだけしゅんとしていたところへ軽口が戻って来ました。

今、みんな笑いたいのだなあとしみじみ思いますね、と、いいますか、「笑うべき」と、みんなが奮起している感じ。

フェイスブックを開けると、フランス勢はほんの昨日までトリコロールにライトアップされたエッフェル塔やフランス国内はもとより世界各地で歌われる「ラ・マルセイエーズ」が続々現れて来たものですが、今日はハッキリ違いました。

youtubeからひいたショートコントやおバカ映像が躍っている。

コントも、宗教や政治をもとにしたヒネリのきいたものでなく、往年の喜劇映画の抜粋など安心して見られるものばかり。

友人の、お箸が転げても可笑しいおとしごろのイザベルなどは、ストッキングをかぶった半裸の男が電線音頭みたいなのを早回しで繰り返すだけの、おもしろいんだかそうでもないんだかの映像をシェアして、心境をコメント欄に綴ってました。

「これ見てmdrじゃない私って鬱?」

mdr(mort de rire)とは英語のlol(lots of laugh)に同じです。

「希望は微笑みを呼ぶが、時に微笑が希望を呼ぶ」
という言葉をシェアしている友人もいました。

ウン、ホント、笑うと心があったかくなるよナ。

「私はテラスにいます」
というスローガンのように(昨日の立ち呑み日記をご高覧ください)、今宵はカフェのテラスでボジョレーヌーヴォーをクイっといきながら笑っているでしょうか・・

・・と、こう書いたところで窓を開けてみたところ、うちの界隈は飲み屋が多いんですが、小雨がやんだところでまあまあの人出。

風に乗って笑い声も聞こえてきます。

「フランス人は古来からお祭り気質なんですッ、ヘミングウェイの『移動祝祭日』、アータがたご存知ない?」
と、テレビのインタビューでデヴィ夫人風に毅然とお話しになった70代のごくごく一般的なマダムのコメントがふるっていて、ほんの三日のあいだにフェイスブックで何万件とシェアされ、そのことがインターネットのニュースでもとり上げられたほどです。

アタクシたちフランス人は呑み、食べ、はしゃぎながら、何千万人のイスラム教徒の自由信仰を尊重してともにあるのであってああいう暴虐は断じてみとめないのよッ。

このマダムの一言が引き金となり、目下、『移動祝祭日』が本屋に品切れ状態なんだそうな。

『移動祝祭日』は、1920年代初頭にパリで過ごしたヘミングウェイの青春譚です。酒場でたっぷりのみ、街角のカフェで憩い、ある時は仲間たちと自動車で田園へドライブへと、まばゆいパリの日常が描かれます。

この本、通常は年に8000部ほどしか売れないところ、今年は1万5000冊まで増刷が決まっているそうです。


P1000157.JPG
信号を待ちながらパチリ。

前菜は、トマトとさいの目エマンタールチーズのサラダ
主菜は、タラそぎ身フライ、ニンニク風味じゃがいもピューレ、いんげん塩茹で

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