立ち呑み日記・Uターン [おでかけ]

秋の学期休みでピレネー山脈のふもとのふるい友人のところに居候し、この寒村へUターンしてきた別の若い友人母子と散歩しました。

彼女は同郷の幼なじみと所帯を持ち、つい先ごろまでパリに住んでいましたが、ひどい頭痛とめまいに悩まされ、「電磁波過敏症」の診断が下された。

「電磁波過敏症」は、普通の人には感じないwifiや無線などに過敏に反応してしまうアレルギーの一種です。

「生活環境を革命的に変えなければ治りませんよ」
と、お医者さんに宣告され、キャリアも何もほっぽって家族三名故郷へ舞い戻りました。

夫の一族はこの村一帯にかたまっているそうで、親族所有の避暑用別荘に住む所がたちどころに見つかったといいますから、故郷というのは心強いものです。

さしあたっての食い扶持は、夫が父親の会社のバイトでしのぎ、ゆくゆくは車で片道1時間のトゥールーズに仕事を見つけ通勤する心づもり。

彼女のほうは当面静養しつつ子育てに専念、というわけです。

久々に会ったら、頭に白いバンダナをおしゃれに巻いてました。でもこれおしゃれのためでなく、電磁波よけの特別布だそうです。

この格好でこないだ、今ともに散歩している森の小路で野イチゴを摘んでいたら、
「やれヒッピー、わしの村で何しておるッ」
と、通りがかりの老人になじられたそう。

バンダナでヒッピーという決めつけも大時代的ですが、ピレネー山脈のふもとには俗世間から隔絶して集団生活する本物のヒッピー村が今もたくさんあり、古い世代はそれを苦々しく思ったまま年を重ねてしまったようです。

「私は住民ですッ」
と、彼女は声を張り上げました(老人は耳が遠かった)。

しかし、これ以外は村での生活は快適そのものだそう。

なにしろ日課の散歩で、何かしら収穫がある。野イチゴ、桑の実、フランボワーズなどが「お持ち帰りください」といわんばかりに道端で熟れている。

村の誰か彼かの庭にイチジクやスモモがなっているのを見かけて
「獲ってもいいですか」
とピンポンすると、それはもう快く迎え入れてくれる。

どの家でも毎年のことで持て余しているんですね。地面に散らばった鳥のつつきかすをうんざり掃き片付けるより、誰かが収穫していってくれたほうが格段にありがたい。

秋口に入ってからは、栗とクルミをどっさり拾ったそうです。

散歩の収穫物は、ベビーカーのカゴに入れます。本日は、落ち葉のみっしり積もった小路で暖炉の炊きつけにする乾いた小枝をたくさん拾いました。

パリ生まれの二歳になる彼女の一人娘もまた、散歩中の食べられるものに目ざとくなったそう。

「これ食べられる?」
と、ちゃんと大人に聞いてから口に入れる決まりで、今日もそうやって道端のミントの葉を千切っています。

「ほんッとのほんッとに食べられるのね?」
と、ワタシなどもよくよく念を押してから、諦観した心境で口に入れてみました。ミントと思いこんでトリカブトだったなんて、シャレになりませんからね。

ミントは、うっすら甘く、とても香りのいい正真正銘のミントでした。

帰り際、手作りの桑の実ジャムをおみやげにくれました。


P1000121.JPG
手の届くところに牛も草をはんでいます。ナデナデするには、軽いながら電流の通った鉄線が目の前にあるので向こうがこちらに近づいてくるのを待たないとなりません。

前菜は、千切りニンジンとトマトのサラダ
主菜は、仔牛カツレツ、ベシャメルソースとマカロニ、ブロッコリー塩茹で


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