立ち呑み日記・二度つけ厳禁 [おでかけ]

学生時代からの仲間たちと一軒目の店を出て渋谷の道玄坂を
「どうしようか、もう一軒行っちゃおうか」
と、テレンコ歩いていたら、軒の提灯が揺れている店に吸い寄せられました。

抗(あらが)うことなく6名のれんをくぐります。するとこの店は、大阪名物串揚げで知られたところだったんですね。

「ソースの2度つけ厳禁」、ワタシももちろん聞いたことがありますが、ついに実際に体験することとなります。

「うち初めてスか?」
と、固い丸イスに腰を下ろして卓を囲むと、頭に手ぬぐい巻いた青年に聞かれました。

初めて。ご指南よろしくおねがいいたします・・

青年は、ソースの2度付けは厳禁であること、串揚げは一本から注文できること、ハイボールには「チンチロリンハイボール」というのがあってどんぶりにサイコロ転がす「チンチロリン」でいい目がでると特典があること等々、オジサンオバサン連に噛んで含むがごとく説明してくれました。

その口調の端々に、関西弁がにじんでいる。渋谷の真ん中で、食べ物のみならず雰囲気まで大阪をもたらすとはすごいことです。

一軒めでみんなお腹がドフドフになるほど生ビールをつぎ込んだので、冷酒なり、サワーなり、おのおの好みでたのみます。

ワタシは、「チンチロリンハイボール」にしてみました。

チンチロリ~ンとどんぶりにサイコロが転がる音も清々しく、ヨッパラったアタマには理由が何だったか定かではないながら、みごと半額とあいなりました。

さていよいよ串揚げの注文です。

「ししとう」「ハーイ」
「レンコン」「ハーイ」
「アスパラ一本揚げ」「ハーイ」
と、誰かが要望を述べると、同調するひとが手を挙げます。

一軒目でたくさん食べたから、というのもありますけど、われわれも寄る年波、野菜ばっかりに人気が集中。

出会ったころは、学食のたまり場でサービスランチの大盛りだの、スパゲティセットのおテンコ盛りだのを平然と平らげていたものでしたが。

あッつあつの串揚げが来る前に、キャベツの大盛りと、アルミのお弁当箱に入ったソースがやまずって来ます。これが名にしおう2度つけ厳禁のソースなり。

ソースはドロリンとしているのかと思いこんでいたら、意外にもさらっとしてます。

「へいお待ち」
と、串揚げが次々とやって来ました。

そのカリッと揚がっておいしいこと。ソースなしでも十分なくらいです。オレオの串揚げなんていうのもあり、クッキー生地に油が十二分にまわってとおってもヨロシかったです。

で、時にソースに浸し、時に何もつけないでハフハフかじりながら思ったんですが、ソースのお弁当箱にスプーン添えさえすれれば2度つけモンダイはカンタンに解消されるんじゃないでしょうか・・

・・そうするとでも、大阪庶民の味の「感じ」が半減しちゃう。

「人生って、学生時代に思ってたより短いね」
と、仲間の一人が、ウズラの卵を串からはずしながら実感こめて言い出しました。

ウン。一同異議なし。

「すみませーん、『チンチロリン』もうひとつ」
と、来し方行く末をしみじみ思う間もなく、仲間の一人が店員さんを呼びとめました。


P1000035.JPG
夏休みもおしまい。しばしサヨナラ日本、また次の機会に。

前菜は、トマトサラダ
主催は、フォーフィレ(牛肉)ステーキ、じゃがいもソテー、いんげん塩茹で、グリーンサラダ

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