立ち呑み日記・とり入る [困った!]

暑いさなかに買い物から帰ってやれやれと氷水をのんでいたら、玄関の呼び鈴が震えるように鳴りました。

誰かと思って開けると、呼び鈴以上にうちふるえているお隣りのアメリカ人女性。

「ハトが家の中に入ってきて出ていかないの、おねがいなんとかしてえ!」

暢気なハトもいるもンだなあ、と、おっとりがたなでお隣りに行きました。するとあらまあ、物置きがわりの暖炉の棚の上に、灰色のがちょこんととまっている。

あまつさえくるっとした目をこちらへ向け、きょとんとします。

「き、気味悪くて近寄れないのッ」
と、ワタシの背後で隣人。

その気味悪さわかるなあ、と、ワタシなども思いますね。羽をばさっとする感じがオソロシイ。ワタシなど蝶と蛾が大のニガテなんですが、何がいやかって、翅(はね)ぐらいオソロシイものありません。

いずれも胴体のみだったらダイジョブなんですが(たぶん)。

でも、鳥は蝶や蛾などと比較にならないまでにダイジョブなので、隣人宅の居間を勝手に物色し、古新聞をまるめました。

「それよりこっちのほうがいいと思う」
と、隣人はデッキブラシをさかさまにして手渡してくれました。

このデッキブラシをハトの足元につっこむと、ばさり、と、羽を動かして素直に乗っかって来ました。そのままそおーっと窓際へ行きパッと振ると、ハトはたちまちに飛び立ちました。

これにて一件落着。ワタシも残りの氷水を飲みに帰ります。

その飲み干したコップをテーブルに置く間もなく、
「オーマイガッ」
と、カタカナで書いたような英語が聞こえてきました。

「た、たすけてェ!」
と、這うようにやって来た隣人は泣きべそ寸前です。
「さっきのハトが、ま、また入ってきたのよッ」

また同様にデッキブラシの柄で追い詰め、窓からえいっとやりました。外は30度の暑さですが、隣人は目の色変えて窓という窓を閉めにかかります。

そういや『サザエさん』でも家の中にスズメが入って来るシーンがあって、波平さんは手を叩いて喜んでたけどなあ・・と、思い出しましたね。

波平さんが、お正月に縁側に面した茶の間で年賀状を見ていると不意に鳥が家の中に入って来る。
「オオ、とり入るといってこれは縁起がいい!」

このハナシをしたら、隣人は目に涙をため、
「ならよかった、ほんとうによかった・・」
と、抱きついてきて心から感謝するんです。

なにもそこまでと恐縮していると、口に出すのもおぞましいというごとく隣人がためらいがちに話し出したんですが、アメリカでは鳥が家の中に入って来ようものならそりゃァもう、ひッどく悪い兆しなんですってネ。

死人が鳥になって語りかけに来た、とか、その家の誰かが死ぬ予兆、とか、「死」に根差したヨロシクない迷信が多々あるのだそうな。

調べてみたら、風水でもまた吉兆なのだそうです。

風水ではでも、鳥が家に巣をつくるのはとてもいい兆しだというんですが、こっちはどうでしょうか。

以前、うちの窓の下の雨どいにハトが居ついたことがあり、その小枝を編んだ巣の見事さに見とれるうちにあれよという間にどこもかしこも糞だらけとなり、大いに閉口したものでした。


PIC_0382.JPG
ただ今22時。夏は日が長いです。

前菜は、トマトとゆで卵のサラダ
主菜は、鶏丸焼き、じゃがいもロースト、いんげん塩茹で、グリーンサラダ



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コメント 2

式守錦太夫

人助けをなさいましたね~、これも吉兆!
蝶とか蛾の、羽なし胴体だけでモソモソしていたら、
私は隣人に助けを呼びに行きます(笑)
by 式守錦太夫 (2015-07-08 21:03) 

ぐちぐち

胴体だけならワタシが助けに行けます(たぶん)。
by ぐちぐち (2015-07-09 02:23) 

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