立ち呑み日記・窓から屋根へ [真夜中]

ここに窓がある。

この窓を見ると、ひとはなぜ、
「ここから屋根へよじのぼってみよう」
と、思うものなんだか。

この窓はうちの建物の屋根裏階にあり、アンテナ修理などで職人さんがここから屋根の上へ出て行く「玄関」、とも、いえます。

先日未明、何者かがこの窓から屋根に上がっちゃったんですね。その屋根の薄いトタンのすぐ下が我が家で、どん、どん、という足音でうっすら目が覚めました。

本来人がいるべきでないところに誰かいるって実に気味悪いですネ。

「飛び降りたらだめッ、早くお帰りなさい」
と、隣人が窓から叫ぶ声も聞こえてきた。

「そこまで聞いてたンならなぜ出て来てくれなかったのよ」
と、後で隣人にくさされましたが、なにしろコワくて、暑いというのにかけぶとん頭までひっかぶり、(ナンマイダ、ナンマイダ・・)の心境でした。

なにしろ薄皮いちまいのところに不審人物がいる。

うちの寝室の窓は隣人宅の一段低い平屋根の一部に面しているんですが、この不審人物は、どッすん、と、盛大な音を立ててトタン屋根から平屋根に飛び移り、スマホをとりだし誰かとしゃべっているもよう。

その影が、カーテン越しにくっきり見えます。

昨今のスマホって懐中電灯がついてますよね、それを点灯し、(ナンマイダ・・)と肝をつぶしているひとさま(ワタシとオットです。オットはユダヤ人なのでまた違うお祈りの仕方ですが)の寝室のカーテンの隙間から、無礼にものぞきこむように照らしたり、する。

それでもかけぶとんひっかぶった効果が奏し、そのままうとうとしてわからなくなりました。どッすん、と、途中、どこかへ飛び降りる音を聞いた、ような、気も、します。

後で知りましたが、うちの一階は明け方までやっている若者向けバーなんですが、その閉店後、住居階にまぎれこんできたお客の青年だったらしいです。

この青年はドラッグで気分高揚していたもよう。

窓に行きつく前に隣人宅をドンドンし、
「中に入れてくれ」
とも、やった(そうです)。

隣人はとにもかくにも警察に通報。

それから窓の外の様子をうかがうと、なんと、青年が屋根のへりに座って足をぶらぶらさせたり、下をのぞきこんではしゃいだり、していたというんです。

「目の前で飛び降りられたらと思うと気が気でなかった」
と、隣人。

そんなこんなの中でふとんひっかぶっていたわけですから、なじられて当然です。

警察官は三名並んで来て事情を徴収したそうですが、肝心の屋根の上へは、
「規則で屋根へは上ってはならないんです」
の一点ばりだったそう。

高所の危険に対する訓練が出来ていないからだそうで、上っていいのは警察の中でも特別部隊、ないしは消防士のみなんだそうです。

そうやって押し問答しているうちに、屋根から人の気配が消えたと言います。パリの建物は密集して屋根から屋根へ渡り歩くことが出来るとも聞きますが。

近隣で人身事故の噂を聞かないところによると、青年はちゃんと家へ帰ったようです。


PIC_0386.JPG
気持ちよさそうなカフェのテラスを通りがかりにパチリ。

前菜は、メロン
主菜は、鶏ロースト、じゃがいもロースト、いんげん塩茹で、トマトサラダ



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