立ち飲み日記・食ぶたい [追究]

「うちにかえったらぴざがたぶたい」
と、ただ今海浜学校に行っている10歳のムスコから手紙が来ました。

10歳にもなるっていうのにひらがなのみ、しかもた「ぶ」たいとはなんともオハズカシイ日本語力。

「べ」のほうが「ぶ」よりは書くには簡単なのにねえまったく、と、日本人のオカーサン(ワタシです)はアキレ嘆きつつ何度も読み返しました(なにしろムスコからの手紙ですからネ)。

2日に一度更新されている海浜学校のサイトによれば、生牡蠣やら手長海老やら、画面のこちら側でヨダレがでちゃうほど土地のおいしいものが小学生の分際でお皿に上っているようなんですが。

そうはいうもののこうやって何日間か日常を離れるときまって食べたくなるものって、ありませんか。

ワタシなどパリに住み始めのころは、数日間のフランス国内小旅行でも住まいに戻るなり、
「お寿司、お寿司・・」
と、目の色変えて和食レストランへとびこんだものです。

ふだんパリでそういつもお寿司を食べているわけでなし、何もそこまで飢餓感つのらせなくてもよさそうですが。

オペラ座界隈の日本人街でラーメン屋とみるやとびこんでいる日本人観光客のみなみなさまも同じでありましょう。

日本ではあんなにも
「ラーメン、ラーメン・・」
とはならないのに、外国に出るとなぜかとおっても食べたくなる。

「お寿司、お寿司・・」だったワタシの飢餓感はしかし、この地に長らく住まううちにまるっきりわき上がらなくなりました。

なぜというに、大方の食べたいものは自分で作れるようになり、レストランも八百屋も肉屋も魚屋もアジア食材店も街のどこにあるかちゃんとのみこんだから。

それでも一時帰国が目前に迫ると、着いたら
(あれも食べたいナ)(これも食べたいナ)
と、日本のおいしいものがいろいろ頭に浮かべます。

ひところは、そういう食べたいものを思いつくままノートにメモしたものでした。

1996年年末の一時帰国直前のメモがたまたま手元にあるんですが、その筆頭は、おでん、です。なにしろ寒い冬のこと、つみれ、ごぼう巻き、ちくわぶ、あたりをお皿にとってハフハフしたいなあ・・

味噌煮こみ
には、先頭に☆マークまでついてます。

豚カツ+キャベツの千切り、
うちはオトーサンがユダヤ系で豚肉料理を遠ざけるので、なおさら恋焦がれたんだと思います。

秋刀魚塩焼き、
秋刀魚はフランスにはないので、これはなんとしても食べたい。焦げ目がプシューッとなったところへダイコンおろしでぱくっといきたい。

豚の三枚肉なべ、ちくわの煮たの、などは、わが実家の懐かしのおかずです。

しかしこのメモから20年近くたった今、これらを書いた時のような、胸の奥底からグーッと突き上がってくるような、
「食べたいったら食べたいッ」
欲望は、ずいぶんと薄まっています。

なぜというに、秋刀魚だけはまああれですが、食べようと思ったらパリで自分で何とかできるまでになったから。

トシを重ねるとはそういうことなのかもなあ、
と、なんだかしみじみしながら、さっそくムスコのためにピザシートとモッツァレラチーズとトマトソースをスーパーへ買いに出ました。


PIC_0307.JPG
 この写真を撮っているワタシの背後はくっきり青空なんですが。不穏な向こうをパチリ。

前菜は、ベトナム春巻き、中華春巻き(レタスとミントと紫蘇の葉を薬味に巻いて食べる)
主菜は、鶏ささ身の中華風和え、チンゲン菜の塩あぶら炒め、白飯

nice!(3)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 3

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。