立ち呑み日記・コキール [晩ごはん]

そういや長いことコキール食べてないナ、
と、歩きながらこつ然と思い出しました。

似たものどうしのエビグラタンは、前回一時帰国の折に学生時代の友人とデパート楼上の洋食屋さんで食べました。

海老の入ってないふつうのグラタンならうちでわりにしょっちゅう作って食べてます。が、コキールはとんとご無沙汰。

ワタシが子どものころは、たまさかに食卓に上ったものでした。

オトーサンが仕事帰りに駅ビルののれん街あたりで買った、閉店時間間際の投げ売りか何かだったンじゃないでしょうか。

そしてもうひとつ、こういう温めればいい出来合いおかずって、電子レンジの普及と関係があったのだろうなあ、と、今となっては思いますね。

うちの台所にも電子レンジが入っていたので、コキールもチンして食べました。

「コキールとグラタンの違いとはだね、」
と、オトーサン(ワタシのオトーサンです)は食卓でエバりくさって説明したものです。
「グラタンにはマカロニが入ってる、コキールには入ってない」

かわりに貝のふちにじゃがいもピューレが絞りだしてあるのがコキールであるぞ、と、無暗にエバる。あのころのオトーサンというのは理不尽なまでにエバりました。

(どうせならグラタンのほうがよかったな)
と、思いながら、ワタシなどフォークでつついたものでした。

なぜというにせっかくおいしいホワイトソースにマカロニが入ってないのではあまりにもたよりない。

ふちを飾るじゃがいもピューレはホワイトソースとあいまって歯ごたえがなく、「食べたーッ」という満足感に乏しいキライがありました。

今となればそれがなぜだかよおくわかります。コキールは温かい前菜で、これ一品でオナカイッパイにするものではない。

フランスの魚屋に売ってるんですヨ。それもホタテ貝にぽってり詰まり、ワタシが子どものころ食べたのと寸分たがわぬ様相で・・

・・おっと、すこーし違います。上に三日月型のひと口パイがひとつのっかっている。

これを人数分買ってオーブンで温めるわけですが、出来合いって味が濃いですよネ。ずいぶん前に一度だけ買いましたがしょっぱすぎて閉口し、以来遠目にその存在をながめるのみになりました。

コキールはそういうわけで発祥はフランス料理でありましょうが、日本へはアメリカ経由で入って来たんでしょうかネ。

コキー「ル」という英語風の発音。フランス語ではコキー「ユ」です。

読み方間違ったんじゃないの? と、学生時代、フランス語勉強し始めの生意気盛りには鼻を明かしたぐらいまで思いましたが、そういうわけでもないんじゃないでしょうか。

だって、ミルフィー「ユ」も、とらば~「ゆ」も難なく定着した。それ以前の戦後まもなくには『それい「ゆ」』という雑誌が少女たちの心をつかんでいた。

いずれも~lleと綴ります。

コキールのことせっかく思い出したんだから今晩あたり食べてみようかナ、と、考えてみないこともないものの、やっぱり手がのびないのがコキールのような気がします。


PIC_0170.JPG
リュクサンブール公園のボードレール像です。この像のところまで「行こう」と思うと迷ってたどり着けないのに、何にも考えず歩いていると不意に現れるから不思議。

前菜は、バジリコをふったまずいイチゴのサラダ
主菜は、ハンバーグステーキ、マカロニ、モロッコいんげん


nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。