立ち呑み日記・熱燗の肴 [食前酒]

鰊(にしん)の塩漬けで熱燗をのみながら、つらつら考えた。

お醤油やお味噌の手を借りないで日本酒の肴(さかな)になり得るフランスの食べ物って、ほかにあるかナ。

「ほかに」というのは、鰊の塩漬けがどうしてどうして、熱燗によく合うんですヨ。しょっぱくてあぶらが多くてなまぐさーいところを熱い清酒がきゅーっと洗い流していく。

お腹の真ん中からぽかぽかしてきます。

鰊の塩漬けは、フランスでは茹でたじゃがいもにのせて刻みパセリとクリームないしは油たらたらやって前菜にします。

それもまた白ワインに合ってヨロシイ。が、本日は日本から持ってきた日本酒パックが開いている。ここのところ寒さが少―し緩んだとはいえまだまだ寒く、熱燗がことのほかオイシイです。

パリは都会ですから日本食品店があり、魚屋で生魚も割に簡単に手に入るので、マ、日本と寸分たがわずとはいきませんけどちゃんとした和食を食べようと思ったらそう困難なく調達することが出来ます。

そこを、かつての在留邦人にならってあるものでなんとかしよう、というわけです。

1980年代中ごろまではフラン(ユーロ以前のフランスの貨幣単位)も高く日本食材店は値が張り、大企業の
駐在員家族は別として、手近の素材で工夫したものでした。

発酵食材のシュークルート(酢漬けキャベツ)にお醤油をかけてお漬物に見立てる、テナことです。漬物は、固くなったバゲットをビールで発酵させて上手に漬けている先達もいたものです。

今はキッコーマンの卓上しょうゆがスーパーによっては並んでいるぐらいですが以前は高価で、お小皿の残りを集めて濾(こ)して大切に使ったもののようです。

デワデワ、お醤油もお味噌もなしで熱燗の肴をあつらえてみましょうか。

プータルグという本格カラスミがあるんですが、これなど文句なし。南仏マルティーグという町の特産で、薄切りをバタートーストにのせて食前酒のつまみや前菜にします。

が、たいへんにお値段の張る高級品。

庶民的なところでサンマルスランという生チーズはどうでしょうか。白菜のオシンコ風味なんです。さいの目にしてカツブシふってゆずのカワなどのせたら、素敵なおつまみになりそう・・

・・おっとっと、和の物は禁じ手でした。サンマルスランだけで、熱いところをきゅーッ。

バスク地方の羊チーズ・エトルキーは納豆の風味ですからこの二品のさいの目で十分熱いところがすすみます。

プロヴァンス産の浅漬けオリーブの実はカリカリ梅みたいで、こちらは箸休めにぴったり。同じ南仏のアンショワイヤードという、黒オリーブとアンチョビのペーストも、イケるんじゃないかナ。

これを舐め味噌の要領で、しょっぱいところを箸の先にポッチリとって舐め、またしてもきゅーッ。

この場合、フォークでなく、なにとぞお箸をつかわせていただきたい所存であります。でないと熱燗の「感じ」が、やはりどうッしても出ない。

かつての在留邦人も、割り箸を洗って何度も使っていたわけですしね(これは語学留学生時代ワタシもしました)。

どうしたわけか写真が入りませぬ。ごめいわくをおかけいたします。

前菜は、アボカド、レモンで
主菜は、七面鳥のささ身のカツ、レンズ豆煮込み、モロッコいんげん塩茹で

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