立ち呑み日記・パンを買いに [朝ごはん]

昨夜はおいしいチーズのおすそ分けがあり、あるだけのパンをぱくぱく全部食べてしまいました。と、いうことは朝食用のパンが、ない。

「パンがなければお菓子を食べればいいじゃないの」
と、マリー・アントワネット妃は言いましたが、また、それが実行されればワルガキ二匹は快哉を叫ぶでしょうが、子どもの分際で朝からそういう食生活はいかがなものか。

「朝ごはん代わりにマクビティひと箱空けちゃった」
なんてこと、おとしごろ期にはまあありましたけど、あくまで甘いもの食べ盛りのおとしごろ期だからです。

さて、パンが無いとなればご飯ですが、あいにくそれもなかった。そこで仕方ない、目覚ましにたたき起こされもっさりとあくびひとつして、パンを買いに出ることにします。

朝、7時。こちらはいよいよ秋も深まり、朝7時では深夜同然の真っ暗です。

あかるいあさだあいうえお、という詩が日本からいただく小学一年生『こくご』(上)の冒頭にあるんですが、パリの日本語学校では
「この文へんです」
と、質問の手が上がるそうです。

「朝って真夏以外は真っ暗なものなのに」

その暗いなかを、タッタカ歩く人影がちらり、ほらり。7時といったら早い人はもう通勤の時間です。大きい駅では既にけっこうな混雑のはず。

炯々(けいけい)と明かりのついたバスが目の前のバス停に停まり、ちらり、ほらりと人を下ろしました。その方々もそれぞれの方向へタッタカタッタカ。

いつも行く肉屋のシャッターが半分開いていて、とさっ、とさっ、と、肉を並べる音とともに采配をふるっているご主人の声がする。

のぞきこんで「オハヨー!」とやろうかと思いましたが、まあやめときました。開店前のせわしい時間ですからね。

いつも行くパン屋は6時半開店で、7時といったらとっくに通常業務中です。

パン屋の前には物乞いの若者が終日座っているんですが、さすがにこの時間ではまだ「出勤」してませんでした。

この若者は訴える目で通行人を見上げ、いくばくかの小銭を請求します。

かわいそうになあ・・と、時におめぐみがあるその合い間に懐中からスマホをとりだして指先ではじき、耳に当てているのをワタシはバッチリ目撃しています。

物乞いはこの界隈にはほかにも老若男女とりまぜ何人かいるんですが、一同は仲間で、プロ中のプロなんです。

ことに車椅子のオジサンとは顔見知りで目が合えば「ボンジュール」と挨拶するまでの仲ですが、交流はそこまで。

身ぐるみ持ってかれちゃうのもコワイですからね。

さて、パン屋は夕方には外までえんえん続く行列になりますが、朝のこの時間ではさすがにひとり、ふたり。

いつ見ても目の周りを宝塚のごとくくっきりこってりお化粧しているマダムが、今朝一番から完璧なメークでバゲットを二本、受け渡してくださいました。

窯から出たばかりのバゲットは、あっつあつです。

熱いコーヒーとバターとでのーんびり食べられたら
(さぞかしいいだろうなあ・・)
と、うらやみつつ家路を急ぎます。

「さあ起きる起きるッ」
と、ただ今より二匹を全身全霊で叩き起こす大役が待ちうけています。やれやれ。


P1010444.JPG
小春日和が続いています。

前菜は、トマトサラダ、フムス(ひよこ豆の中東風ペースト)、スティックニンジン、きゅうり輪切り
主菜は、牛挽き肉ステーキ、缶詰グリンピースとニンジン赤ワイン煮、いんげん塩茹で

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コメント 2

式守錦太夫

そうですよね、朝が明るいというのは、地域性がありますからね。
こうして私たちの「常識」はいとも簡単に崩れていくのです。

by 式守錦太夫 (2013-10-10 20:16) 

ぐちぐち

北欧なんか冬は昼まで暗いんじゃないでしょうか。
by ぐちぐち (2013-10-16 18:22) 

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