立ち呑み日記・再会 [女子]

待ち合わせのパン屋の前で心ソワソワ、寒いので時折足をフミフミしてました。

待ち合わせているのは、パリに旅行でやって来た、小学校の一学年先輩。先輩とはいえ実際の交流はほとんどありません。それが東京でならまだしもパリで再会しようというんですからね。SNSの威力たるやスゴいもんです。

ミクシィの「同窓会」という、母校に登録するのをやってみたんです。

すると、その先輩がたまたま声をかけてくださった。先方はワタシをつゆとも憶えていらっしゃいませんでした。

ワタシはといえば記憶がさーっとよみがえりましたね。

先輩とワタシは苗字が同じで、先輩は二年生の中で一番背が小さく、片やワタシは一年生のうどの大木。

ある日うどの大木が校庭のジャングルジムで二年生の集団が遊んでいるのをぬぼーと見上げていたら、
「一年生? いっしょにあそぼ」
と、女子数名が声をかけてくれ、その中にかの先輩もいらした。

二年生たちは「ウルトラマンごっこ」をしていたんですね。

世は「ウルトラマン」どころか「ウルトラセブン」だってとうに終了しているのに今まだ「ウルトラマンごっこ」とはさすが年上だなあ、ト、6歳のうどの大木は7歳の先輩らをそう思ったものです。

が、「ウルトラセブン」でも「キャプテンウルトラ」でもだめだったんですね。なぜというにこの遊びの中心にいるヤマネくんという少年ののっぺりした顔がウルトラマンそっくりだった。

「ウルトラマーン」「ウルトラマーン」
と、ジャングルジムのそこかしこから声がかかるころあいをはかってヤマネくんはM78星雲に帰るウルトラマンのごとく胸を反らす、トまあたったこれだけの遊びなんですけど、ぜひともわが呼びかけに反応してもらいたく、夢中で声を出しました。

「やい一年坊主」
と、そこへやって来た、すばしっこそうな2年生の男子。「ナマイキだぞ」

「一年生だからって差別しないでよね」
と、かの先輩はじめ2年女子軍団が泣きべそ寸前のワタシの前へ立ちはだかり、弁護してくれました。

「きみら同じ苗字?」
と、胸元の名札を見て、この二年男子はうどの大木と学年一小さい先輩とを交互に指さしました。

男子ってまったく困りものです。

「『大きい一年生と小さな二年生』!」
と、今度は図書室にある人気の本の題名を連呼し始めた。

すると二年生の同姓の先輩は自尊心をいたくくじかれ泣きだしちゃったんです。これ以降、彼女は廊下ですれ違っても目を合わせてもくれなくなりました。

マ、同姓の下級生などこれといって興味の対象になりませんしね。これがめずらしい苗字だったらまだ別でしょうが「ヤマグチ」ですからね。

それから半世紀近く。

パン屋の前で足踏みして今か今かと待っていると、どうにも緊張してきました。考えてみれば初対面も同然。大人になった顔もわからないのに、果たして会えるんでしょうか・・

・・と、そこへ信号の向こうから飛ぶようにやって来るすらりと上背のある同世代の美しい日本女性。

つい昨日ジャングルジムで別れたかのごとく気軽に声をかけ合い、ランチに入ったレストランではお皿のとりかえっこなんかもしちゃいました。


PIC_0052.JPG
ワルガキらの習い事の送迎の途中にパチリ。往年のパン屋の看板もそのままなのはレズビアンバーだそうです。

前菜は、カボチャのポタージュ
主菜は、牛(フォー・フィレ)ステーキ、にんにく風味じゃがいもソテー、いんげん塩茹で

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