立ち呑み日記・厚いと薄い [追究]

「カバンに入ンなぁ~い・・」
と、朝の登校直前、ただ今読みかけの分厚い『ナルニア国物語』をよっこらしょと持ち上げ嬉しげな弱り声をあげる12歳のムスメ。

分厚いも分厚い、誇張でなく『広辞苑』です。

この出版社はなんでそんなことしちゃったんだか、
と、日本人のオカーサン(ワタシです)は実のところ内心アキレているんですね。

なぜというに、ナルニア国物語全七巻が一冊になっちゃってる。

ワタシがその年齢だったらこおんなにも分厚い本、内容のいかんにかかわらず間違いなく途中で投げ出します。

なにしろ学校カバンに入らない。重くて腕が疲れる。外見(そとみ)だけでうんざりする。

東京の、生き馬の目を抜くような通学通勤の満員電車でこんな本、つり革つかんだなりの片手でなどとうてい開けません。

分厚いにもほどがあります。

が、フランスの子どもらはどうもそんなふうには考えないみたいなんですね。分厚いの大歓迎。「読んだーッ」という達成感がある。本棚に並べて背表紙を眺めるのもたのしい。本屋に平積みになっているどのジュニア小説も分厚いです。

『ナルニア国物語』は各巻ごとに分冊になっているのもあるんですが、ムスメは合冊のほうを選びました。

「紙によるんだよ」
と、フランス人のオトーサン(ワタシのオットです)がニッカリ笑い、分厚い本に立ち向かう気満々のムスメの出鼻をくじくようなこと言い出します。
「聖書読んでないだろ? 本というのは見た目の厚さではないのさ」

オトーサンとはそういう鹿爪らしいこと鼻ピクピクでスグ言い出すものですが、その実一理も二理もあるんですね。

ホントホント、紙によるんですヨ。フランスの本のページって画用紙みたいにゴワゴワ厚く嵩(かさ)がはる。日本の本と大いに異なります。

本の厚さの好みって、日本人とフランス人では違うんじゃ、ないでしようか。フランス人はお厚いのがお好き。片や日本人は薄さへと向かう。

「厚い本」とこう日本語で検索すると「分割」と、すぐさま続いて出て来るほどです。厚いと読みづらいから自分で分割製本てみしましょう、と、いうことです。

『ハリー・ポッター』全7巻だって、日本では(上)(下)の巻もあり全11冊、文庫本版となると19冊になります。

新潮や角川など文庫本がまた、フランスのペーパーバックよりひと回り小さい。

フランス文学の珠玉『レ・ミゼラブル』、ペーパーバッグは分ッ厚い全二巻ですが、一番最近出たちくま文庫で全五巻。この違いはどこから来るんでしょうネ。そのほうが売れるんでしょうか。

検索するうちに知ったんですが、日本で「薄い本」というと決まったものをさすものだそうです。コミケで売られる同人誌のエロ漫画。大方が薄いのでそう呼び称されるようになったそうな。

厚かったら「厚い本」と呼ばれたことでしょうが、やはりこれ「薄い」からこその価値じゃ、ないでしょうか。

「明るい家庭計画」だって、日本のはことさらに薄さを強調してますもんね(ってこれはあんまり関係ないかもナ)。


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1月いっぱいはガレット・デ・ロワ。近所に、味がいいのに中に入っているフェーヴが平面的でつまらない店と、味はもっさりイマイチなれどフェーヴがおもしろい店があり、後者をひいきにしておりますです。味でライバル店に負けるとわかっているのか毎回シードル(リンゴのビール)までオマケに一本つけてくれます。

前菜は、グリンピースとトマトのマヨヨーグルト和えサラダ
主菜は、鶏肉入りオムレツ、モロッコいんげん塩茹で、自家製フライドポテト

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