立ち呑み日記・バターロール [晩ごはん]

金曜日の晩ごはんで、ハラをむしっては口に運びながら、つらつら考えた。バターロール、そういや長いこと食べてないナ。

ハラというのはユダヤの安息日の始まりである金曜の夜のお祈りで食べるお供物パンです。

キリスト教では葡萄酒とパンはキリストの血肉ですが、ユダヤ教では神の恵みである葡萄と神への捧げものであるパン、と、いうふうに考えるものだそうです。

ハラは三つ編みにして焼いてあり、バゲットやパン・ド・カンパーニュなどカワのかたいフランスのパンとは一線を画した柔らかさ。

三つ編み型バターロール、テナ感じで、そしたら急に本家のほうが食べたくなっちゃったんですよねえ・・

バターロールはパリのパン屋でついぞ見かけることはありません。ハラもまたユダヤ人街以外ではお目にかかれませんが。

バターロールって、食パンよりずっと心ウキウキしませんか?

ひところは喫茶店のランチセットで、
パンまたはライス、
なんてときにパンにするとたいていバターロールでした。

今でこそデパ地下にさまざまなパンが席巻してますが、昔はバターロールこそがパンの主役でした(と決めつける)。

そうそう、ワタシが小学校高学年のころ、昭和50年代最初頭ですが、
「ちゃんとした洋食のマナーを身につけなければ」
というので、ちゃんとした洋食のレストランへ家族そろってくり出したことがありました。

目の前にずらっと並んだフォークとナイフは必ず外側からとる、なんてことをオトーサン(ワタシのオトーサンです)が得々と一説ぶつなか、コンソメスープから始まりました。

洋食はコンソメスープから始めるものである、と、当時のアラフォー世代は信仰にも近い形で思い込んでいたんですね。

そこへ小皿でパンがやって来たんですが、これが自明の理のごとく、バターロール。こういう店では万にひとつの例外もなく、バターが親指大に丸められて銀の器で出てきますね。

バターロールに銀器の丸いバターは実によく似合います。

ほかほかと温かいバターロールをひと口大にちぎり丸いバターをぬりつけて口にほうりこむといくらでもはいります。

バターロールはしかし本来はバターをつけなくてもすむよう、バターを折りこんであるものなんだそうです。

だから、「バター」ロール。

「ロール」というのは、アメリカで小さな丸パンをさし、それより大きいものを「ブレッド」と呼ぶのだそうな。ホラ、シナモンロールとかコーヒーロールとか、ああいう丸いのがロールパンです。

ヨーロッパからの移民がパンの製法をもたらしてプレーンの「ロール」がまずあらわれ、何事にも簡便さを追究するアメリカ的発想から、朝などバターをぬるひと手間を省こうとバターを折りこんでコクを出したのがバターロール、なんだそうです・・

・・以上のことはウィキペディア日本語版に教えてもらったんですが、驚くかな、「ロールパン」の項目にフランス語版がないんですヨ。

パンといったらバゲットとクロワッサンでしょうがッ、という確固とした自信と大いなる驕(おご)りがそうさせている、ような、気が、しないでもないです。


P1020071.JPG
接近し過ぎのような気も。でも十分な隙間があいているとパリっ子は批判の目を向けるんです。「詰めていけばもう一台ぐらい停まれるのになんという空間の無駄遣いッ」とかって言う。

前菜は、スモークサーモン
主菜は、鴨肉のコンフィ(脂煮)、フライドポテト、キャベツのサラダ

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