立ち呑み日記・尾かしら付き [買い物]

ただ今単身一時帰国しておりまして(一昨日の立ち読み日記をご高覧ください)、お祝い事があり、親族を代表してワタシが鯛の尾かしら付きを買ってくることになりました。駅ビルの地下食品売り場に行けば常時二、三尾が塩焼きで並んでいる、とのこと。

鯛の尾かしら付きを目にするのは、かれこれ10年来です。

鯛はパリの魚屋でもよく見かけ、白ワイン蒸しやなんかでたまに食べるんですヨ。が、「鯛」とは思っても、「尾かしら付き」とは思わなかった。

島国日本では、鯵(あじ)や鯖(さば)などの大衆魚は一匹まんまが当然なのであえて尾かしら付きと言う必要がないところ、高級魚の鯛を切り身でなくまるごと全部というので、「尾かしら付き」と言うのだそうです。

かれこれ10年前に目の当たりにした尾かしら付きは、ワタシの初産にパリ在住日本人の友人が届けてくれたもの。

2キロもある立派な鯛で、タルト皿でオーブン焼きにしたのだそうです。身の厚い、とおってもおいしい鯛でした。

今回は小ぶりなところを一尾。

ところが、おしえてもらったおかず売り場にその姿は見えず。ど・う・し・よ・うー、と、全権大使(ワタシです)は大いにうろたえ、三角巾の女性店員さんにあわくってたずねました。

「魚売り場に鯛がありますから、ございますよ」
パックになっている鯛を、今から焼きましょうとおっしゃるんです。

これです、と、隣りの冷蔵ケースから小ぶりな鯛900円ナリを手に取って見せてくださいました。
「焼き代として別途300円かかります」

二つ返事でおねがいし、焼き上がるまでの30分ほど売り場をふらふらさまよって待つことになりました。

尾かしら付きってワタシらが子どものころは今よりもっと、のれん街の花形でしたよネ。花形というより、手の届かない存在。

「買ってー買ってー」と、どんなにねばっても許可が下りることのなかった存在。

のれん街にはきまって尾かしら付き専門のカウンターがあり、小ぶりなのからひとかかえもある特大までロウ細工の食品サンプルが並んでました。

われわれ子どもはガラスケースに顔くっつけてその雄姿を眺め、実物は結婚披露宴の折詰で、賞賛をもって取り囲んだものでした。

あれってオトーサンオカーサンがうちで待っている家族を思ってあえて残して来たのではなく、その場では箸をつけてはいけないならわしがあるんですってネ。

そもそも二の膳に出されるもので、その場でいただく一の膳とちがい二の膳のものは持ち帰るべきお土産だそうです。

やや干からびても見える折詰の尾かしら付きは、身をはずし、頭と骨をぐらぐら煮て出汁をとりうしおにして家族そろって食べた記憶があります・・

・・と、遠い目をするうちにわが小ぶりな尾かしら付きが焼き上がりましたが、それがまあ、化粧串でみごとに身体が波打ち、背びれがピンと立って、実に立派。

アッツアツの湯気があがり、今この場でかぶりついたらどんなにいいかと思いましたが、そんなことしようものならせっかくのお祝いの席が台無しですから、蒸れないよう穴をあけたラップをかけてもらい大急ぎで帰途に着きました。


P1010856.JPG
実家にて発掘。「マンハッタントランスファー」やら「クリストファークロス」やらが入ってます。

前菜は、はたはたの酢漬け、大根おろし
主菜は、鯖の干物、スナップエンドウ、蒸しじゃがいも

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コメント 2

式守錦太夫

良かったです~お祝い事でしたのね。
全権大使もマグマ大使もお疲れさまでした(笑)
もう帰国されちゃったかしら?

by 式守錦太夫 (2014-01-26 00:31) 

ぐちぐち

ハイ。
by ぐちぐち (2014-01-26 04:45) 

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