立ち呑み日記・どてかぼちゃ [前菜]

かぼちゃのスープを煮込みながらつらつら考えた。

唐茄子、って言ったナ、昔、かぼちゃのこと。

ワタシが4歳まで生きていた同居の祖母は、唐茄子が大好物でした。こっくりと濃い味つけで煮て、煮崩れたところがお正月のきんとんみたいになる、唐茄子。

唐茄子イコール甘辛煮で、マヨ和えサラダだの洋風料理になるとは思いもよりませんでした。

祖母は初孫(ワタシです)のために広告の裏へ絵を描いてくれるんですが、松と帆掛け船、なんていうのといっしょに、ごつごつした唐茄子も一つ覚えのごとく描いてくれたもンです。

ヘタつきの細長いひょうたんみたいなのをまず描き、その左右に同じような細長いのをくっつけていってごつごつした形にふくらませていきます。

「仲良きことは美しき哉」
の色紙にある、まさにあんな感じ。

武者小路実篤の色紙や絵皿って、昭和の時代は食べ物屋だの友だちや親戚の家の茶の間だのでしょっちゅう見かけたもので、うちにもご飯茶碗がありました。

そういえばあれ最近とんと見かけなくなりましたネ。

見かけないといえば、昭和の時代、誰かをののしるときに
「このどてかぼちゃッ」
なんて言ったものですが、これなどももはや死語ではないでしょうか。

どてかぼちゃッ、の時代のかぼちゃと今のかぼちゃとは違うものだそうです。

祖母が好んだ唐茄子は、白樺派の文豪がさかんに描いておられた時代は一般的でしたが、今日では別の品種に完全にとってかわられているそう。

今のかぼちゃはごつごつしてませんよネ。

唐茄子は甘み少なくねっちりして、醤油と味醂で濃く煮つけると味がよくしみこんだようですが、今のかぼちゃは糖度か高いため薄味で十分、かつほっくり仕上がるものだそうです。

と、いうことは、幼い日に祖母と食べた、あの唐茄子の煮つけの味には二度と出会えない。

パリでもアジア食材店に行けば、煮つけにぴったりのかぼちゃが売ってるんですヨ。唐茄子でなく、今の日本のかぼちゃ。

「このためにわざわざバスでここまで買いに来たのよ」
と、そのレジで前に並んでいたマダムが大きいところを胸に抱えて、おっしゃってました。

バカンス先のイタリアで味をおぼえたのだそうですが、あちらでは一般的な野菜で、つけ合わせによく食べられているのだそう。

隣国フランスではまったく普及してません。

フランスのかぼちゃは、今、スープに煮込んでいるオレンジ色のもののみ。ホラ、ハロウィーンの飾りにするあれです。火を通すと水っぽくずくずく崩れるので、煮つけには不向き。

そこでスープ一辺倒ですが、作り方はカンタンです。

鍋に焦げつかないよううっすら水を張ったところへカワを剥いて適当に切った実をどんどん入れて蒸し、ずくずくに崩れてきたらバターちょんちょん、場合によっては砂糖少々も足し、牛乳でのばしてミキサーでガーッと粉砕。以上。

玉ネギやニンジンを加えるレシピもあるようですが、経験から言ってそういうものを加えると野菜スープに近づいていまひとつかぼちゃの影か薄くなるので、ここは単独でいったほうがいいみたいです。


P1010397.JPG
本日も秋晴れ。

前菜は、トマトサラダ
主菜は、牛挽き肉ステーキ、ブランダード(鱈とじゃがいものニンニク風味ピューレ)、いんげん塩茹で

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