立ち呑み日記・投げ売り屋 [買い物]

買い物の帰り、磁石に引きつけられたごとく、用もないのに投げ売り屋へ吸い込まれました。

投げ売り屋の商品といったら、「過去」をはらんでいるのが特徴です。「過去」とは、以前出ていた店の売れ残りなど紆余曲折の末ここへたどり着いた、というような経歴。

とはいえ売り物はすべて新品です。

(こりゃ売れなかったのも当然だわナ)
と、ナットクさせられるガラクタがまた山と積み上がっているんですね。

その山に分け入るたのしさ。

お菓子やワインなど食料品も時として並び、
(どういう理由で前の店ではけなかったんだか)
と、賞味期限を入念に点検したのちカゴにとることになります(賞味期限切れで売られていることは金輪際ありません)。

こういう店、「バッタ屋」とも、以前は日本で言いましたよネ。

「バッタ屋」と呼ぶときには、さげすみが少なからずこもりました。すなわち、正規の仕入れとは違う。

バッタ屋、今日の日本にいまだ存在しているものなんでしょうか。経済的社会的に大いに躍進し、「ディスカウントショップ」へと昇華し切った気がするんですが。

ワタシが子どものころは、家族で浅草へ行くたびに、オトーサンとオカーサン(ワタシのオトーサンとオカーサンです)が喜々としてこのテの店へ寄り道していたものでした(くっついているワタシら子どもは飽き飽きして『まだぁ?』『まだぁ?』を連発)。

浅草は投げ売りのメッカという印象でした。

近所の食料品店や駅前スーパーではついぞ見かけないメーカーのサバ缶なんかを
「持ってけドロボー!」
と、寅さんよろしいオジサンが話術巧みに叩き売っている。

それを両親はおもしろがりましたが、子どものワタシは、こういうオジサンが怖かったもンです。

しかしおもちゃもまた、買ってもらえました。「リカちゃん」のパチモンの着せ替え人形やら、メーカー不明のショベルカーやら。

いずれも街の玩具屋で買うよりうんとお財布にやさしい(今日ビ街角の玩具屋といったら絶滅して久しいですが)。

でもやっぱり品物にあふれかえったあの店内はまがまがしさがあふれ、子どもには薄気味悪かったです。

ドンキや百均に、その雰囲気はかけらもありません。それに、「安かろう悪かろう」という概念も消失し、今では質に全幅の信用が置けます。

さて、ネギとび出てたエコバック提げて入った投げ売り屋は、あいかわらず大繁盛でした。お客の大半が、女たち。

いずれも、役に立ちそうもないガラクタを
「安く買いこんで役を吹きこんでやろう」
と、熱心に物色しているわけです。

この店には女性下着やセーターなど衣類も充実していて、試着コーナーもちゃんとあります。ファッションブティックとは一線を画する、日曜大工で一角を囲ったような試着コーナーで、今あたかもマダムが春物ブラウス片手に出て来たところでした。

ワタシは、1,99ユーロ(約260円)という値段に大いに心惹かれ、見慣れないパッケージのペストソースとチョコ菓子をカゴにとりました。

(スーパーで買っても値段はそうかわらなかったかも)
と、帰りの道すがら反省しきりとなるのが、投げ売り店での買い物後のならわしでもあります。


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で、格安で買った「ペスト」ですが、ふつうにペストと思い込んでいるバジリコソースではなく、ロケットサラダでつくったものだそうで(よく読めばそう書いてある)、味が思い描いていたものと違いました(ちょっとトホホ)。

前菜は、カボチャポタージュ
主菜は、牛ステーキ、じゃがいもピューレ、いんげん塩茹で


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