立ち呑み日記・昔の味 [おやつ]

あれは、「モーレツ」時代のオトーサンがめったになく台所に立ったからこそ美味しく感じたのかもなあ・・、
と、カルメ焼きの残骸おテンコ盛りに思うことしきり。

不意にカルメ焼きを作ってみようと思い立ち、奮闘の末なんとかカッコがつくまでになったんですが・・
(前回・前々回の立ち呑み日記をご高覧ください)

いかんせん売れ行きが悪い。ただ甘いだけで製作者(ワタシです)とて手が伸びません。これならば再現などしようとせず、いい思い出にとどめておく方がずっとよかった。

そういう食べ物って、ほかにもありません?

ワタシなどこの年末に日本へ一時帰省し、スーパーの特売で買ったイチゴのショートケーキを食べたんですヨ。

おとしごろ時代の大好物筆頭でした。生クリームをスプーンでどんどん口に運ぶシアワセ。「ホール食い」を一度してみたいと夢見たものでした。

ところが今回、生クリームをひと舐めしただけで、そっと皿を押し戻しました。

風味がまるでないどころかロウ細工みたい。安いケーキなのは確かですが、でもそれだってあのころは十二分においしかったんです。

同時にモンブランも食べましたが、これまたがっかり。

黄色いオソバが上に渦巻いているところをぱくっといくと、われとわが身がにわかに信じ難いほどに、往年の感激今いずこ。

栗の風味もなにもなく、もっさり甘いだけです。

このがっかりってホラ、片思いの見目麗しかったセンパイに何十年ぶりかで再会してみたらメタボで風采の上がらない小男になりさがっていたときのがっかりと似ています。

「自分とてオバハンになりさがっているくせにッ」
というお叱りが聞こえてきたようですが、しかり。

オバハンになりさがるまでの間に、味覚にどんな変化があったのか。センパイの人生にもいろいろあったでしょうけど、ワタシらにもいろいろあった。

オバハン(ワタシです)の思い出の食べ物でいいますと、半切りスイカのフルーツポンチなんかもその部類です。

今生きていたら110歳になる同居の祖父が、戦前の子どものお大尽を
「ひとつやろうじゃないか」
と、高度成長期の夏休みのある日、オカーサン(ワタシのオカーサンです)がナイロンひもの網でスイカを吊り下げて買い物から帰ってきたのを目にして孫を前に言い出したんです。

大きなスイカを半分に切って中を大まかにくり抜き、砂糖と氷とサイダーを落としたところを一同で取り囲み、スプーンでこそげたり、ストローで吸ったりする。

この食べ方、『サザエさん』(単行本のほう)でも見たことある、ような、気がします。

「わーい!」
と、ワタシとオトウトはとびつきましたが、一家の嫁(ワタシのオカーサンです)は、ムウッと怒りを堪(こら)えた顔で舅の要望にこたえていたものでした。

丸ごとスイカは安くないっていうのに、ちゃんと食べればいいものを一気に半分も無駄にしてしまう。

案の定、遊び食いにつつくだけつつき、
「もうらない」

スイカ半切りのフルーツポンチを食べたのは後にも先にもこの時だけです。

これなどやはりこれからも再現しようとせず、記憶にとどめておくのが華の「昔の味」だと思いますね。


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この土曜日の半ドン授業が終わると学期休み(フランスは休みが多いんです)。家に帰るなりそのへんへほっぽらかした11歳のムスコのリュックをこっそり開けてパチリ。このあとリュックのポケットからひッどい点数のテスト答案を発見することになります(怒)。

前菜は、お椀一杯の野菜ポタージュ(昨日の残り)、トマトサラダ
主菜は、鶏ロースト、じゃがいもロースト、いんげん塩茹で、グリーンサラダ

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