立ち呑み日記・夜はおすまし [前菜]

好きな味噌汁の実は? というアンケート記事を、身を乗り出して読みました。

1位豆腐 2位わかめ 3位ネギ 4位油揚げ 5位きのこ
だそうで、他にも玉ネギ、大根、かぼちゃ、かぶなどが挙げられていましした。

どうです、どれもこれも
(わかるなあ・・)
と、しみじみしませんか。

ワタシなどこないだ友人におしえてもらって半信半疑でトマトを入れてみたらこれがまあ、軽い酸味とあいまってことのほかヨロシかったです。それに、夏の菜ですが、茗荷とすいとんがワタシ、大、大、大好き。

で、この記事をじーと見つめるうちに思ったんですが・・

おすましは、みなさまのところでどうなっているのか。

いえね、この年末年始に一時帰省している時に、80歳過ぎの老父が晩ごはんにお椀ものを所望しながら言い出したんです。

「昔は、夜はおすましだったもンだ、おみおつけは、朝だけ」

・・・・そういや、そういや、そうだったなあ、と、遠―い昔の食事風景がよみがえりましたね。

確かに夜は、おすましでした。ワタシがうーんと幼いころ、キャベツと卵とじのおすましなんかだと、うれしかったもンです。

「薄切りチクワのおすましもよかったナ」
とは、東京育ちの老父。

しかし、いつのころからか味噌汁が夜も食卓に上るようになった。

エート昭和49年になるのか、小学生のとき房総半島の古い旅館へ海浜学校に行ったんですが、この時の三度のお食事がまさに、どんぶりめしに朝味噌汁、夜おすましでした。

が、我が家ではこのころにはもうとっくの昔に夜味噌汁になっていた。

朝がパンとコーヒーになったころにそうなった気がします。昭和40年代初頭です。おそらく同じころに、多くのワタシらの親世代が古くからのこの習慣を捨てたのでありましょう。

「義父が味噌汁は朝だけで夜はおすましと言い張るんですけど、そんな決めつけ聞いたことありますゥ?」
というような質問を、読売オンラインの大手小町で見つけましたが、
「うちもそうでしたよ」
という方の多くが、
「でももう30年以上も前のことです」
と、お答えでした。

味噌汁は歴史的に今日のインスタント食品のような略式の簡便食で、出汁を丁寧にとるおすましのほうがご馳走なので正餐である晩ごはんにはおすましをつけたものだそうです。

今や、そのご馳走のはずのおすましは味噌汁に完全におされてしまっているのではないでしょうか。

だって、考えてみてくださいヨ、
「好きなおすましの実は?」
という質問に、いくつ答えられます?

オクラと豆腐,蕗(ふき)とこごみ、ズッキーニとわかめ等々、クックパッドには満載で、どれもみんなおいしそうですが、味噌汁の「豆腐」や「わかめ」のような、誰もがナットクの定番テのがないではないですか。

かつてはそれが玉子とじであり、チクワの薄切りであったわけでしょうが、途絶えてしまった。

味噌汁とおすましはかつては日常の双璧だったのに、いやむしろおすましのほうが位もギャラも上だったのに、カレーライスとハヤシライスに同じく、一方が売れ一方が沈んだ漫才師のごとき差がついてしまった。

おすましが再浮上する時代は、やって来るんでしようか。


P1000269.JPG
春はまだまだだなあ・・と、つめたい小雨の降る朝上方を見上げてパチリ。

前菜は、カボチャポタージュ
主菜は、仔羊腿肉ソテー、ハッセルバックポテト(じゃがいもの底一枚まで千切りに包丁を入れた半生ポテトチップ風オーブン焼き)、いんげん塩茹で

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