立ち呑み日記・頭ゴチン [買い物]

朝市の八百屋に行列してたら、
ゴッチーン、
という派手な音がして、鉄パイプを組み立てたテント屋根が全体にゆさっと揺れました。

何ごと?! と、見れば、背の高いアメリカ人観光客の紳士が、かざしたカメラに気をとられ、オデコを横棒にいやというほどぶつけたところ。

目の上にさぞかし星が回っただろうなあ、というゴッチーンでした。

朝市の屋根は、鉄パイプの骨組みの上に木材で補強したシートが載せてあるんですが、雨が降ったら上部にたまらないよう後方が低くなっているんです。

この低いところに、アメリカ人紳士はついうっかりしたんですね。

上背のある人は、
「世の中いたるところ自分より低い」
と、頭ゴチンしないよう日常的に気をつけていると聞いたことありますが、巨漢大国アメリカでそんな心づもりなど不要、ふつうに歩いていてぶつかるなど想像だにしなかったことでありましょう。

東京在の、身長190センチの友人など、電車に乗る時はもう条件反射で
「おじぎする」
と、まで言ってました。

この友人はまあ例外として、欧州に来る日本人の男性はむしろ小柄で困ることがありそうです。

仕事など縁あって日本紳士を街案内して、ひと息いれるのに入ったカフェで、小用に立って席にお戻りになるとたいてい、
(ショックを顔に出すまい)
という顔なさってる。

「つま先立ちしました?」
なんて立ち入ったこと、当然ながら尋ねませんゾ。

「便器のヘリに付きそうで不潔でたまらなかった」
と、問わずともおっしゃる方は、思いのほかいらっしゃいます。

さて、フランスで頭ゴチンといえば、シャルル8世という王様を思い出さずにはいられません。

どうです、ロイヤル級の頭ゴチンです。この王様はロワール地方のアンボワーズ城で生まれ、この城で生涯を終えたんですが、その死因が、頭ゴチンでした。

城内にある手打ちテニス場に行くのに背の低いドアを通る時、うっかり額を強打した。

城には今もその低いドアが現存していて、見学客が王の二の舞にならぬようクッションがちゃんと貼ってあります。

でも、確かにオデコぶつけることもありましょうが、この程度のゴチンでほんとうに死に至るものなんでしょうか。

死までとなると、誰かが加担して強打させなければあり得ない気が、しないでもないです。

「ゴチン」は史実として公的文書に記されているようですが、21世紀の今に至るまでバレない佞姦(ねいかん)が、あったんじゃないでしょうかねえ・・

・・テナことを、フランス人を代表してわがオットに追及するも、てんで無関心。

それでフランス人と言えるんですかッ、
と、つい熱が入っちゃいますが、シャルル8世といったらアンボワーズでは町おこし的人物なれど、フランス史の大筋からすると太陽王ルイ14世などと違い、少なくとも中学校の歴史の授業では習わない王様らしいです。

硬膜下血腫、というオソロシい病名がシャルル8世の死因らしいんですが、マルシェで買い物すませたところで先のアメリカ人紳士とたまたますれちがったらおでこにパリみやげの立派なタンコブが生成されていたので、こちらは冷せばすぐよくなることでしよう。


P1000085.JPG
まだ寒くもなく暑くもなく、週末の深夜なかなかにぎわってます。

前菜は、カボチャのポタージュ
主菜は、うずらのコニャック風味焼き、モロッコいんげん塩茹で、蒸しじゃがいも、グリーンサラダ

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