立ち呑み日記・地産地消 [買い物]

遠いほうのマルシェに行ってみると、一軒の青物屋ばかりおッそろしく長い行列が伸びていて、隣りの屋台をくの字に取り巻かんばかりになっている。

これ幸いとそのシッポをつかみました。こないだ来た時は隣りの隣りの屋台まで行列がいってましたから、今日はまだいいほうです。

なぜこんなにも人気が集まっているかというと、この青物屋さんはパリ近郊の農家なんです。

地産地消、ですネ。いちどためしに買ってみたらまあ、トマトもサラダ菜などの青菜類も、おどろくほど味が濃い。

そして、安い。スーパーの野菜売り場のトマトや青菜にはもう戻れなくなりました。

ワタシなどその存在をつい先日知ったばかりですが、界隈では有名だったもよう。行列には、やはり遠征してきている顔見知りのオカーサンオトーサンが何人も混じっています。

待たねば買えないと腹をくくっているからか、列で本のページをめくっている人が幾人もいます。

お役所や病院の待合室などで待つのと違い誰にもイライラした感じがないのは、やはり安くて滋味深くておいしいものが目前に待っているからでしょうか。

立ち働いているのは、生産者である50がらみのご主人とおかみさん、今年80になるというご主人の御母堂。

「古色蒼然ヨ、けっこうガタ来てるし」
と、御母堂を横目でちらっとやりながら、列に向かって小声でご主人。

「聞こえてるよ」
と、御母堂はぴしゃりと言い返します。そういうやりとりがまた好ましく、長い列もそんなには苦になりません・・

・・とはいっても、牛の歩みながら番が近づいてくるのはうれしいものです。土まみれのじゃがいもの箱が、いよいよ目の前に来る。

この箱の横に、前回はロケットサラダが置いてあり、列の後方まで胡麻みたいな芳香が漂いました。

このとき、待ちきれない客が次々と箱に手をつっこんで選ったので、
「ロケットはここに置いちゃだめってあんなに言ったでしょうが」
と、ご主人はおかみさんに頭ごなしにやられることとなり、本日はお店の人にしか触れない場所に鎮座しています。

それでも目の前のじゃがいも箱から、常連さんは前回買った時の紙袋をリサイクルに持参して、買いたい分を選りわけています。

(♪いーけないンだーいけないンだー)
と、白い目で見る間もなく、
「それ禁止ッ、没収!」
と、生徒を叱りつける校長先生よろしく人差し指を振り上げるご主人。「こっちがちゃんと選んであげるから」

常連さんも紙袋はリサイクルのために持って来ているわけですから空袋の束をむしろ積極的にご主人に手渡し、選ったものが入った袋のみ手に残して
「次回からはしないって約束する」

生産物を右から左に売るのは仕入れるよりずっといいね、と、一人の紳士が話しかけると、
「そうでもないぜ」とご主人。

翌日は雨の予報ですが、そうすると完熟トマト300ヘクタールの畑ごと全滅なんだそうです。

「なら傘さしかければいいのよ」
と、暢気な声で、ワタシの前にいたマダム。

いったい何百本の傘広げればいいと思ってんのよ、
と、ご主人があきれ声だすうちに、いよいよワタシの番がまわって来ました。


P1000053.JPG
昔ながらのカフェが減って、このテのこぢんまりしたお店が増えたように思いますです。

前菜は、キャビア(ひとくちパンケーキにクリームぬった上にのせてレモン)、トマトサラダ
主菜は、鶏ロート、じゃがいもロースト、いんげん塩ゆで、グリーンサラダ



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