立ち呑み日記・隣りの晩ごはん [晩ごはん]

うちの隣りのドアから、晩ごはんを準備しているいーいニオイがしている。

牛肉ステーキだナ、肉は高からず安からずの部位だナ、ニンニクとローズマリーとタイムもパラッとやってるナ、表面こんがり中真っ赤のミディアムレアだナ、と、すぐにわかります。

それが、実に実に不思議なんです。このニオイ、ワタシが焼くときと瓜二つのニオイなんです。こんなことってあるでしょうか。

同じ牛肉なんだから当たり前でしょ、と、思われたでしょうが、とォんでもない。

プロはあれとして家庭でなら、百人料理する人がいれば百通りの味つけがあり、と、いうことは百通りのニオイが、あります。

たまさかに友人宅でお食事のお招きを受けた折に主菜が牛ステーキだったとして、台所から漂ってくるニオイは明らかにうちのとは異なります。

♪肉屋が違う、ハーブの分量が違う、フライパンが違う、焼き具合が違うぅ~・・
(「イミテーション・ゴールド」でいちおうお願いいたします)

みなさんだって、たとえばカレーを煮込んでいるニオイがただよって来たとして、それが自分とこのカレーかよそのカレーかはどことはなしに区別つくと思いますぞ。と、いいますか、「うちの」はそれとすぐ気づく。

うちのワルガキ二匹も、夕方習い事から帰って来たときなど、
「だと思った」
と、台所のオカーサン(ワタシです)がかき回すワイン煮の鍋をのぞきこんだりするんです。

うちはエレベーター無しの最上階なんですが、階段の途中でワイン煮のニオイに気づき、よそのお宅の晩ごはんと思ってもいいところを「うちの」とちゃあんと嗅ぎ分けるわけです。

だからこそ不思議なんですヨ、隣りから「うちの」のニオイがする。

浮気小咄だと隣りのドアからこちらのツマがはだけた洋服を直し直し出て来るわけですが、そのツマとはドアのこちら側にずっといるワタシですからね。

昨日もそうでした。

夕方、足りないものを買いに出て戻って来ると、隣りのドアからやはりいーいニオイが漂っていて、立ち止まって思わず深呼吸しちゃったほど。

それがまあ味噌汁のニオイ、それも具だくさんに煮込んだ味噌汁です。

どうです、日本人はワタシだけのこの建物でそういう料理といったらワタシ以外に考えられないではないですか。

お隣りは外国人観光客向けの日割り貸しで、しょっちゅう人がかわります。壁の向こうから漏れ聞こえてくる物音からすると、ただ今は英語圏の、小さい子連れご一家のもよう。

最近フランス派は日本ブームで、そのへんのスーパーに密封カップ入りミソスープがふつうに売られてますから、そういうのを買ってきて温めていたとしても何らおかしくないんですが。

でも心なしか、あれはワタシが作る具だくさん味噌汁のニオイなんですよねえ・・

これって超常現象でしょうか?

ドッペルゲンガーが隣りのドアの向こうにいるのか・・

「どっちでもいいから早くごはんにして」
と、フランス人のオトーサン(ワタシのオットです)にせっつかれ、深いナゾを残したまま、こちらも同じニオイをさせて牛肉ステーキを焼きはじめました。



街中の半旗をお見せしたかったんですがカメラが壊れたなりで撮れませんでした。辛く悲しいテロの翌日。学校では数分間の黙とうがあり、10歳のムスコのクラスではポール・エリュアールという詩人の「自由」という詩をノートに写し、暗唱の宿題が出ました。

前菜は、ニンジン千切りサラダ
主菜は、牛ステーキ、ベシャメルソースをかけたカリフラワーとミニマカロニ、グリーサラダ

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とんちゃん

ステーキの件はすごい能力だなと思います。
ワイン煮は子どももすごいと感心。
しかし味噌汁の件は余りにも不思議。
この謎は解けるんでしょうか?

by とんちゃん (2015-01-09 12:45) 

ぐちぐち

外国の、日本人のいない町に住んでいる友人(日本人)にこのハナシ大いに賛同され、時にあるはずもないかつおだしのニオイをかぐ、と、言われました。やはり超常現象でしょうか。
by ぐちぐち (2015-01-09 19:17) 

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