立ち呑み日記・英国式昼食 [ランチ]

「ロンドンで食べた朝ごはんがまた食べたいなあ」
と、12歳のムスメが言うので、よしきたッ、と、お昼ごはんにつくることにしました。ムスメは学校が近いので、お昼はいったん帰って食べるんです。

英国風朝ごはんといったらかりかり焼きベーコンと目玉焼き、それにベイクドビーンズが三種の神器。

「焼いたトマトと炒めたマッシュルームも忘れられちゃ困ります」
と、イギリスの紳士淑女に正確を糺(ただ)されそうですが、つけ合わせの野菜は前夜のいんげんとカリフラワーの塩茹でが残ってますから、これをチンして代用とさせていただく所存であります。

あれもこれもお昼から料理するのも骨です。

さてそうと決まれば肉屋でベーコンを切ってもらいます。

フランス語で言うところの「ラール」とベーコンははたして同一のものなるや? と、いうのが、実を申しますとワタシのかねてよりの疑問でありました。

「ラール」は豚の胸三枚肉塩漬けで、長方形のデンとしたかたまりから薄切りにすると日本でもおなじみのベーコンの姿になります。

が、それとは別に、茶筒ぐらいの円筒形で、白い脂身のほとんどない、赤身でいかにもあっさりしていそうなのをその名も「ベーコン」として並べているんですヨ。

この違いは何か。

「ベーコンはこれ。ラールはあれ」
と、肉屋のお兄さんとはハナシがやや噛み合いません。

そこをしつこく問い詰めると、
「ベーコンは肩肉の塩漬け。部位が違うよ」

ショルダーベーコン、と、日本では呼ばれて区別されているものらしいです。

ベーコン、と、英語でお墨付きが出ているわけですから、本日のところはこっち(ショルダー)を買ってみます。

さて、英国でベイクドビーンズといえばハインツが有名すぎるほど有名だそうですが、スーパーには格安ブランドもあり、円にしてひと缶二、三十円というおどろくべき安値だそうです。

「底辺の食事だよ」
と、英国留学が長かったフランス人の友人が涙目になって言っていたものです。

彼は学食で食べるお金もなくなるとポケットの小銭かき集めてこれを買い、人目のつかない低木の陰などでイジイジ食べたものだそう。

格安品とはいえ本来は温めてお皿にとりわけて食べるべきものを、冷え冷えのまま盛り付けもせず学食から無断で拝借したスプーンをじかにつっこんでかっこむ落魄とわびしさ・・

「ベイクドビーンズなど二度とお目にかかりたくないのさ。幸いフランスのスーパーにはないしね」

しかしそれでは本日の英国風が精彩に欠けることになります。

スーパーの缶詰棚に目をこらしてみると、「白いんげん豆のトマト煮」が、ありましたありました! しかも格安の格安とまではいかなくとも、ごく普通に缶詰値段。

缶詰はフォアグラなど特別品でない限り庶民値段です。

さてこれらと目玉焼きで、お昼のなんちゃってイングリッシュブレックファストが完成したわけですが、やはりビーンズの味が違うように思いました。

英国の、三日続けると慣れて今度はやみつきになる味でなく、フランスの、三日続けると飽きる味といいますか、南仏料理のカスレをほうふつとさせる口ざわりでした。


P1020827.JPG
(寒いなあ・・)と、バスを待ちながらパチリ。バスチーユ広場の塔です。フランス革命の後の王政復古に反対する7月革命の記念に建てられたものです。

前菜は、バジリコ風味トマトサラダ
主菜は、残りもののカレーライス、赤と緑のパプリカグリル焼き

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