立ち呑み日記・さらばFAX機 [真夜中]

とうとうファックス電話機を粗大ゴミに出しました。

ピーピョロロロー・・と、耳をつんざく鋭い音でファックスが届くことも、久しくないですしね。また、送信されても、どこかが壊れたらしく、受けとれない。

電話として使っていましたが受話器もまた寿命が来ていて、だましだましでないと聞こえない。時にまったく聞こえない。

それもこれも今日でおしまい。

このファックス電話機を据えたのは、13、4年前でしょうか。それまで使っていたものが赤い光をピコピコさせたまま突然ウンともスンとも言わなくなり、すわ一大事と机からガバッと立ちあがりざま買いに走ったものです。

ワタシはまるっきり売れてないフリーライターなんですが、このとき、原稿納品と校正のやりとりの真っただ中でした。

「仕事道具なんだからファックスはちゃんとした事務機をお買いなさいよ」
と、結婚でパリに移住する時、属していた編集プロダクションの辣腕社長にじゅうじゅうと言われたものでした。

ところがまあ、フランスのファックス機の値段の高いことといったらオハナシになりません。

そのころ日本では家庭に普及し始め、確か3万円くらいからあったものですが、フランスでは家庭用のものでも円に換算すると10万円だか平気でした。

その前年、ワタシがまだ編集部にいたころ、パリ在住のジャーナリストの方に原稿を依頼したところ、
「ファックスでのやりとりとなるがよろしいか」
と、念を押されたので、日本では当たり前のことですから
「もちろんよろしくおねがいいたします」
と、答えました。

つつがなく原稿をいただき、校正まで何度もファックスのやりとりがあり、後で経費としてファックス送信代を一通一通の領収書とともに請求されたのには、なかなかたまげました。

そのころパリでは、会社はともかく個人事務所にファックスは浸透しておらず、国際電話も値が張りますから必要に応じて郵便局に出向いて送るものだったようです。

この時代を分水嶺としてフランスでも家庭用ファックスが普及し始め、ワタシも清水の舞台から飛び降りる心境で、メーカー名不明の格安品を一台買いました。

格安といっても日本の倍はしました。が、あっという間もなく故障。

それから何台故障しては買い換えたでしょうか。買い換えるたびに価格が安くなっていく感がありました。

日本の仕事開始の時間にあたる、こちらの午前3時から4時のしずまりかえった時間にきまってけたたましく電話が鳴り響き、ピーピョロロロー・・と、届いたものでした。

こちらから送る時は、なにしろ国際電話ですから、
「一秒でもはやく入れーッ」
と、念じたもンです。

今、家電量販店にはもうファクシミリは置いてないもよう。そう、ファックス草創期は、ファックスでなく「ファクシミリ」ってちゃんと呼んでましたよネ。

ワタシら世代は、バブルからこのかたファクシミリの栄枯盛衰に立ち会ってきました。

今、古い仲間を切り捨て断腸の思い・・かというとそうでもなく、スペースが片付いてスーッキリしました。


P1010589.JPG
そしてこうなりました。

前菜は、ニンジン千切りサラダ
主菜は、鶏ロースト、じゃがいもロースト、いんげん塩茹で、グリーンサラダ

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コメント 2

式守錦太夫

うちもFAX機は壊れたままです。
NHKでは最近まで「ファクシミリ」と呼んでいましたが、
いつの間にか、省略形の「ファックス」になってしまいましたね。
by 式守錦太夫 (2013-11-08 23:20) 

ぐちぐち

粗大ゴミに出したらスッキリしますぞ・・
と、進言しようと思いましたが、日本は粗大ゴミに少なからずお金がかかるんですよね。
by ぐちぐち (2013-11-09 07:49) 

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