立ち呑み日記・イカロスの翼 [おとしごろ]

「イカローーースッ!」
と、wiiゲームのアニメ画面といっしょになって8歳のムスコが雄叫びをあげる。

ただ今、「イナズマイレブン」というサッカー漫画のゲーム中ですが、「イカロス」の技(わざ)はみごと決まったらしく、神々しい光とともに、画面の少年の背中に白い翼が生え、ビャーッと飛び上がりました。

よくはわかりませんが、高いところからボールがどうのこうのして、一点入ったもよう。

「イカロス」の技はしかし、いつまでも飛び続けてはいられないんだそうです。なるほど「イカロスの翼」だけあるナ。

ホラ、ギリシャ神話の有名な一節。

イカロス青年とその父が塔に幽閉され、逃げるのに羽毛を集めてロウでつなげ大きな翼をつくった。この羽で塔から飛び立つ計画はみごと成功したが、イカロス青年は父の忠告を忘れ空高くぐんぐん上昇したために、ロウが溶け、大海原に落下してしまった・・

♪むか~しギリシャのイカロスは~・・と、「イカロス」と言われるとワタシなど子どものころNHKみんなのうたで聞いた「勇気ひとつを友として」という歌が、頭の中をぐるぐるするまでになっています。

で、ぐるぐるさせていたら思い出したんですが・・

「『メトロポリタン』に行かない?」
と、語学学校時代の二十代のアタマ、ベルサイユ宮殿の正門の前で、フランス人の青年三人組に声をかけられたんです。

『メトロポリタン』は、パリ郊外にある大箱の気さくなディスコだそう。こちらも日本から遊びに来た友人と三名、人数も釣り合っています。

が、われわれ女子三名はただ今より、ベルサイユ宮の庭園で行われる噴水ショーを見ることになっていた。太陽王ルイ14世が眺めたのと同じ噴水を、美しい照明と音楽とともに鑑賞する人気のイベントです。

そういうわけでナンパには乗れないんですが、そこはほれ、こちらもおとしごろですから、
「どうしよっかなあ・・」
と、開場までの時間つぶしにじらすような真似をしていた。

ワタシに話しかけて来たのは、ソルボンヌ大学でフランス文学を専攻しているという、真面目そうな、地味―な感じの青年。

「やっだ~」と、他の二組は、カタコトの英語でやり合っては笑い声をあげています。

「そうか、きみは日本人でフランス語を勉強しているんだね」
と、ワタシがたどたどしいフランス語で語った内容を青年は復唱しました。

「しかしいずれ本国へ帰る外国人がフランス語を勉強して何になるんだろう」
と、銀縁メガネをおさえながら、青年。

「それってイカロスの翼ではないだろうか」

あのネ、ディスコに誘おうというならもうちょっとやわらかい話題にしたほうがいいわヨ、と、ここだけはどうしたわけか、すらすらすらーッとフランス語が出てきましたね。

彼らもまあ、パリ市内の流行先端ディスコはいかにも敷居が高く、ナンパするにも気が強いフランス女へは及び腰なので、従順に違いない外国人観光客をとベルサイユ宮に立ち寄ったのでありましょう。

♪むか~しギリシャのイカロスは~・・と、このときも彼らと別れるまで、頭の中をぐるぐるしました。


PIC_0778.JPG
ムスメのメガネの関係で行った眼科の待合室からパチリ。

前菜は、胡麻油と乾燥エシャロットをふった赤カブサラダ
主菜は、鯖(さば)の蒸し焼き、レンズ豆の煮込み、インゲン塩茹で


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