立ち呑み日記・朝鮮アザミ [前菜]

「前菜、何にしようかなあ」
と、晩ごはんのしたくに立った台所で誰に尋ねることもなくつぶやいたら、
「アーティーチョークがいいナ」
と、さらっと言うオトーサン(ワタシのオットです)。

あのネ、夢や希望のたぐいとしてはうけたまわるけど、買い置きする野菜でなし、いきなりは無理なの。

アーティーチョーク、とこう辞書を引くと、朝鮮アザミ、と、あるんですが、ワタシなど日本では見たことありませんでした。

アザミのつぼみで、厚い葉が折り重なっているところを一枚ずつむしってドレッシングをつけ、歯でしごいて食べすすみます。

サトイモみたいなもっくりした肉が、ほんのちょっぴり。一枚を歯でしごいたら、すぐさまもう一枚。さらに一枚。どんどん一枚。

こうして歯型のついた葉の山をつくるうちに、フサフサの毛がみっしり詰まっているところに行きつきます。

ここを遠慮呵責なく、さながら禿げ頭にのったカツラをメリッと剥がすごとく引き剥がすと、禿げ頭もとい円形の肉が出現します。

今までの努力がむくわれる瞬間。やっとまとまった分量が口に入りご満悦、とまあ、こういう前菜です。手なぐさみのたのしさ、枝豆をプチンまたプチンとやるたのしさに通じます。

概してフランス人は、アーティーチョークに目がないですね。

「好き好き大好き」
と、身を乗り出すフランス人を、身近に少なくとも三人は知っています。

「アーティーチョークはフランスの象徴」
とさえ言い切って、胸を張る。

それが証拠に、パリのイタリア広場だかレピュブリック広場だかに立つ女神の彫像はアーティーチョークを高々と掲げている、と、おしえてもらったことがあります。

あるいは、松明(たいまつ)もアーティーチョークに見間違えるほど偏愛しているのか。

でもまあ、フランス人でなくとも、葉を次々とむしって歯でしごくのは、なかなかたのしいです。日本の居酒屋のつまみにも、ぜひにと奨励したかった・・

・・と、今、過去形で書きましたが、本日、再考をせまられることとなりました。オトーサンの希望を聞き入れ、
久々に朝市で買って来たんです。

ただ今よりたっぷり一時間かけて茹でるんですが、大きいのなんの、うちで一番大きなポトフ鍋に、かつかつで四つしか入りません。

本日は友人が一人晩ごはんに来ることになっているので、もう一つを別の鍋で、半身が水から出たかたちで
ひっくり返しながら火を通しました。

数をいっぺんに茹でるのは、これでなかなか骨です。

居酒屋といえど、もつ煮込み用の大鍋でも十個はいっぺんに茹でられますまい。メニューに加えるのにはどうしたらいいのか。

居酒屋経営者のみなみなさまに課題を残しつつ、とりあえずはおいしくいただきました。


PIC_0348.JPG
秋の日のヴィオロンのため息の・・、の、ヴェルレーヌ「秋の歌」がこうなりました。

前菜は、胡麻油と乾燥エシャロットをふった赤カブサラダ
主菜は、スパゲッティ・ミートソース、鶏ローストの残り、インゲン塩茹で


nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。