立ち呑み日記・フォア・グラ [前菜]

閉店間際の肉屋にかけこんだら、ご主人が、長方形の型に入ってほかほかしたものを両手に提げて、奥から出てきました。

「フォア・グラの自家製テリーヌ、出来立てだよ」

ヘーエ今の季節にねえ、と、ご主人とテリーヌを交互につい、まじまじ見ちゃいましたヨ。ご主人は、つい先日、店を持って以来初めて、ご夫婦で春のバカンスを丸々一週間とり、南の島で静養してきたところ。

戻ってきたなと思ったら、以前にもまして精力的になり、南の島談義の声も力強く、キノコのビン詰など、肉以外のちょっとした商品の種類が増えたようでした。

フォア・グラのテリーヌはごちそうですから、毎年、クリスマスから大晦日の冬の宴会シーズンに、冷蔵ケースに並ぶものです。

それを、春爛漫に暖かくなった今の季節に打って出ようというんですから、バカンスがもたらした意気込みとやる気、いかばかりか。

日本の肉屋でいうなら、本業の肉の傍らで揚げているコロッケに加えて、普段ならおせち料理シーズンに作成する自家製焼き豚を出してみました、テナ感じでしようか。

丸のままのフォア・グラをあたためてつぶし、甘いソーテルヌの白とポルト酒とで練って型に入れ一晩冷やして固める、と、いうような工程で調理されるらしいです。

最近はしかしフォア・グラは安くなり、スーパーでいくらでも手に入りますから、年に一度の大ごちそう、と、いう風潮でも、ないんですが。

日本で言うなら、そうですね、あん肝、みたいな位置でしょうか。

最近は缶詰でも居酒屋でも、気軽に食べられるようになったものの、なじみの魚屋さんの自家製となると、なんとなあく珍重したくなる、そんな感じです。

フォア・グラのテリーヌが、みごと冷え固まる翌日の宵、ちょうど日本から友人親子が遊びに来るので、渡りに舟とばかり、5きれ、予約しました。おっと、値段聞くの忘れた、高かったら困るナ・・

「5きれで10ユーロ強、ってとこかな」

1人前2ユーロ(約200円)ですから、うやうやしく珍重の時代は、やはり遠くなりました。

フォア・グラは、フランスでは、甘―い白ワインと合わせることになっています。濃厚と濃厚を相乗させましょう、という組み合わせで、まったりが持続して、い・か・に・も・ごちそうだーッ、という風味が、口中に残ります。

しかし、もし選ばせていただけるなら、ワタシは、軽く焙(あぶ)ったフランスパンのカワにのせ、塩、それもいいほうの塩をパラッ、黒胡椒をガリガリガリガリ、っとやって、ンッ、と、噛みつくのが、好き。大好き。こちらは赤ワインによく合います。

さて翌日の宵、友人親子と、久方の再会に乾杯とあいなりました。

甘い白と、ボルドーの赤の両方開けて、濃厚なところを前菜にしましたが、生れて初めて食べたという、友人の息子さんの見目麗しい青年は、正直なところ、やや敬遠・・という感想だそうです。


PIC_4144.JPG
快晴の日曜日、公園の遊具スペースに、完全に出遅れました。

前菜は、バジリコをふったトマトサラダ
主菜は、牛肉とニンジンの赤ワイン煮、蒸しじゃがいも、グリーンサラダ 

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コメント 2

なゆ

勉強になります。
フォアグラには甘い白なんですね。たしかにあいそうな気がします。
今年はフランスワインを勉強したいと思っているので、ふむふむーという感じで。

あん肝なら安心していっぱい食べられそう☆彡
by なゆ (2012-03-26 15:17) 

ぐちぐち

あん肝と熱燗(うっとり・・)・・・
by ぐちぐち (2012-03-27 05:17) 

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